IBMと山形大学、AIを活用してナスカ地上絵を発見

南米ペルーのナスカ台地の地上絵は、1994年にユネスコの世界文化遺産に指定されたが、当時確認されていた動物や植物などの具象的な地上絵は30点程度だった。山形大学では、2010年から、人工衛星画像の分析と現地踏査によって、地上絵の分布および共伴する土器の調査を開始し、2015年までの調査で、40点以上の具象的な地上絵を発見した。

しかし、地上絵の分布調査が未だ充分ではなく、ナスカ市街地の拡大に伴い、地上絵の破壊が進んでいる。地上絵の保護に向けて、その分布状況を正確に把握することが喫緊の課題となっている。

山形大学の坂井正人教授らの研究グループは、航空レーザー測量などにより得られた、ナスカ台地全域に関する高解像度の画像分析と現地調査によって、主にナスカ台地西部に分布する複数の小道に沿って、具象的な地上絵が集中的に描かれたという仮説を得た。現地調査の結果、人や動物などの地上絵を新たに142点発見した。

仮説を立てた場所以外にも地上絵が分布する可能性はあるが、高解像度の三次元画像というビッグデータのため、目視で画像から地上絵を見つける作業を実施した場合、膨大な年月が必要になる。

そこで、2018年から2019年に実施された日本IBMとの共同実証実験では、高解像度な空撮写真等の大容量のデータを高速に処理できるAIサーバー「IBM Power System AC922」上に構築されたディープ・ラーニング・プラットフォーム「IBM Watson Machine Learning Community Edition」でAIモデルを開発し、山形大学が持つデータの一部を分析したところ、新たな地上絵1点を発見した(トップ画像参照)。

このような共同での実証実験の成果を踏まえ、今回、山形大学とリモートセンシングとAIを研究してきたIBMワトソン研究所は、共同研究を実施するために学術協定を締結した。

今後、山形大学の過去10年間の現地調査のデータを同社の3次元時空間データを高速かつ効率的に解析するAIプラットフォーム「IBM PAIRS」上で整理し、これらのビッグデータをAIで分析する。AIを利用して、地上絵の分布状況に関する予備調査を実施し、現地調査と合わせて、ナスカ台地全体を網羅した地上絵の分布図作成を進めるとした。

Previous

UACJ・SAPジャパンなど4社、開封検知付アルミ箔を使用した服薬管理システムを共同研究

ブロックチェーンを活用したIoTの事例

Next