13万基地局を整備、5Gの商用化が始まった中国の勢い

アメリカ、韓国をはじめとして続々と5Gの商用化が始まっており、オーストラリア、中東諸国、欧州諸国、北欧でも正式に5Gサービスが展開されている。

そして、ついに中国が11月1日に5Gを商用化した。

中国はもともと、2020年に5Gの商用化を始める予定だったが、米中対立に起因する中国経済の落ち込みを懸念したため、2ヶ月前倒しして5Gを商用化した格好だ。

超高速、低遅延、多数同時接続を特徴とした5G。日本では来年の春に商用化されるが、ここで一旦、中国の動向を確認しておきたい。

中国の大手通信キャリア3社

人口約13.8億人を擁する中国の携帯電話加入者数を見てみたい。国際電気通信連合の資料によれば、2017年時点で携帯電話加入者数は14.7億人となっており、普及率は100%を超えている状況だ。

これが「固定」電話加入者数となると、1.9億人となり、普及率は13.7%になる。つまり中国の通信産業はモバイルを中心に発展してきているということになる。

なお、日本のドコモ、ソフトバンク、KDDIのように、中国の通信産業の主要なプレイヤーは3社おり「三大運営商」と呼ばれている。

以下に、各キャリアの利用者数および5Gの最低月額プランと最高月額プランについて記載したい。

※1元は15.4円で計算する。

  • 中国移動(チャイナモバイル)
  • 利用者数は約9億人。最低月額プランは1,970円で、30GBまで利用できる。最高月額プランは9,200円で、300GBまで利用できる。

  • 中国聯通(チャイナテレコム)
  • 利用者数は約3億人。最低月額プランは1,990円で、30GBまで利用できる。最高月額プランは9,220円で300GBまで利用できる。

  • 中国電信(チャイナユニコム)
  • 利用者数は約2.5億人。料金プランは中国移動(チャイナモバイル)とほぼ同じだ。

金額については、ほとんど横並びで違いは見られなかった。

先行して5Gを商用化したアメリカユーザーの反応

中国で商用化が始まった11月1日の時点で、「三大運営商」には1,000万人を超える5Gの申し込みがあったという。

この1,000万人という数字は日本人からすると大きく見えてしまうが、既に述べたように中国の携帯加入者数は14.7億人いる。事前申し込みをした1,000万人は、全体加入者数からみると、1%にも満たないということになる。

意外な数字だ。これは仮説に過ぎないが、ユーザーはまだ5Gに切り替えるかどうか様子見をしているのかもしれない。

4Gから5Gに切り替えるために必要な5Gに対応したスマートフォンの代金は軽視できないので、不具合などがあれば避けたいところだ。

参考までに5Gの商用化が先行しているアメリカのユーザーの反応を見てみたい。

アメリカのマルケス・ブラウンリーというテックレビュアーは、大手通信事業者のベライゾンのネットワーク環境で、5Gに対応したスマートフォン「Galaxy S10 Plus(17万円)」にて、通信速度を計測し、その様子をYouTubeで公開した。

5Gの基地局の真下で通信速度を計測した結果、1Gbps(1,000Mbps)~2Gbps(2,000Mbps)の速度が出たようだ。アメリカ国内における4Gの平均通信速度は27Mbpsなので、5Gがいかに高速なのかが分かる。

なお、5Gの通信速度は理論値で20Gbps(20,000Mbps)であることを考えると、今後、さらに高速化していくのだろうと思われる。

ここまでは、5Gのユーザーは4Gでは体験出来ない高速なインターネットを環境を利用できるという話だが、実は、5Gはその真価を発揮する場面が限定的であるという側面を持つ。

なぜか。それには周波数帯が関係している。

高速かつ大容量な通信を行うためには周波数帯域幅を広げる必要がある。そのため、4Gは3.6GHz帯で使用されてきたが、5Gは3.6GHz~6GHz帯や28GHz帯といった高周波数の帯域で使用されることになる。

しかし、周波数帯は高くなればなるほど、電波は真っ直ぐ進む性質が強くなる(直進性という)。実際、前記テックレビュアーのマルケス・ブラウンリーが、5Gの基地局が見えない建物の角に移動した際、それまでは1Gbps~2Gbpsまで出ていた速度が240Mbpsにまで落ち込んだようだ。

このようにアメリカにおいては未だ5Gは、その真価を充分発揮できていないという場面が見られる。

そのため、中国においても、このような直進性の持つ課題をクリアーできているのかなど様子見をしているユーザーが多いのではないだろうか。

振り返ると、3Gから4Gへ切り替わるタイミングでも、4Gに繋がったと思えばすぐに3G通信に戻ってしまうなど、安定性に欠けると感じたことがあったように思う。

5Gの普及を進める中国の勢い

中国ユーザーはまだ様子見である可能性を述べたが、裏を返せば、5Gにまつわるインフラが今後整い出し、14億人が5Gを使い始めたら、世界最大規模の5Gネットワークが誕生することとなる。

中国政府系シンクタンクによれば、2030年には5Gが2千万人近くの雇用を創出し、その他諸々含めると、約260兆円の経済効果をもたらすようだ。

実際に、先月21日に、中華人民共和国工業情報化部の陳肇雄(チェン・ジャオシオン)副部長は、第6回世界インターネット大会5Gフォーラムで「中国はすでに約8万6,000基の5G基地局が建設されており、年末までに13万基建設される見通しだ」と発言しており、5Gの普及に向けた取り組みを進めている。

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