植物から音楽を奏でる先端テクノロジーを体験! Singing Natureメンバーインタビュー

IoT時代の到来で色々なモノと人がコミュニケーションするようになっている。

腕につけたウェアラブルデバイスが1日の活動量を教えてくれたり、ロボットと会話をしたりなど、身の回りにあるモノたちがインターフェースになりはじめている。今は、AmazonのEchoに向かって「Play music」と話かければ音楽を聴くことができる時代だが、今後は自宅にある観葉植物に「癒される曲をかけて」とお願いすれば、葉や花が自ら音を鳴らしてくれるかもしれない。

3月1日、植物から音楽を奏でる先端テクノロジーを活用した楽曲プロモーション体験「Singing Nature」ができる植物公園が東京・青山のニコライ バーグマン フラワーズ&デザイン フラッグシップストア 2Fにオープンした(3月3日まで)。

Singing Nature
植物スピーカー

植物から音楽を奏でる先端テクノロジーが搭載された「植物スピーカー」は、パソコンやCDプレーヤなどを繋いで音楽を再生すると、剣山に触れている葉や花から音が流れる仕組みだ。

このデバイスは2002年に特許を取得したもので、真新しいモノではなく直接インターネットと繋がっているモノではないが、IoT時代のインターフェースを考えるヒントになるかもしれない。

 

発明者の古賀 敬司氏に植物スピーカーについて話を伺った。

Singing Nature
植物スピーカー発明者 古賀 敬司氏

 
-植物スピーカーはどういう仕組みなのでしょうか。

古賀氏: 剣山の下の磁石とコイルを音の入力に合わせ振動させ、その振動を針を通して植物に伝えると音が流れます。実際に葉をさわると振動しているのがわかります。

特許を取得したのが2002年なのですが、剣山がうまくできなかったり小型化するところに時間を費やしました。このサイズで販売を始めたのはおととしで最近なのです。

会場全体でまんべんなく音が溢れているように聞こえる理由は、平面スピーカーのようにスピーカーの近くで大きな音が聞こえるわけではなく、遠く離れていても音が聞こえる特徴を備えているからです。そうすると音が会場全体に広がり、音がどこから出ているかわからない状態になります。

もともと剣山は植物を入れても倒れないようにするために重い鉛を使っていたのですが、エネルギーが鉛に吸収されてしまって音が出ませんでした。それを新潟にある石崎剣山製作所にお願いして、針の根元の部分だけを樹脂に変えてもらいました。そうするとエネルギーで出てくるようになり音を出すことに成功しました。

 
-花からも音が出ているのでしょうか?

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この花からも音が出ている

古賀氏: はい、そうです。本当はもっと大きな花である上向きのテッポウユリのセレネという花の方がいいのですが、時期的に手に入りませんでした。

 
-セレネという花は、ラッパの形をした蓄音機のようですね。

古賀氏: まさに、そうです。一番最初に試したのはバラなのですが、色々な花で試してみてユリがいいとわかりました。ユリでもカサブランカのように花びらが分かれているより、ラッパの形をしているユリの方がいい音が出たのです。

オランダやニュージーランドから花を輸入して、全国のユリ生産農家に販売している中村農園に6年間通って、どのユリから音が出るのか試させてもらいたどり着いたのがセレネでした。さらに実験を続けてわかったのが、横を向いていると音が減衰してしまい、上を向いてる方がいいということでした。

そして、葉っぱであれば東南アジア原産のカークリコという植物がいいということにたどり着きました。

Singing Nature
カークリコ

今回はスリランカから取り寄せましたが、このデバイスを購入いただいてもカークリコが買えないと音が出ませんので、カークリコを販売できるルートを作ろうとしています。

 
-IoTの世界で考えると、例えばセンサーで検知してこのデバイスの近くを通った人が女性であれば、女性が好むような音楽を流せたりするといいなと思います。

古賀氏: いいですね。その曲が気に入ったら購入できる仕組みもあるといいかもしれません。

 
-今度はどのような活動をしていく予定なのでしょうか。

古賀氏: 私はANAに勤めていますので、これまでは個人の活動だったのですが、社員提案制度でバーチャルハリウッドという組織があります。植物スピーカーを使って社会貢献活動をしたいと思い、応募したところ採用されました。

社会貢献活動のひとつとして、カークリコという草は東南アジアの雑草なのですが、それを換金作物として育ててもらうことで、恵まれない子どもたちがいる学校の教育支援にできないかと思っています。また、荒地でも育ちますので沖縄の赤土問題に貢献できるかもしれません。植物スピーカーを通して、今後も緑を増やす活動をしていきたいと思っています。

 

音楽を制作した音楽家 大沢伸一氏によると今回の新楽曲「Photosynthesis #1」は、ピアノ、バイオリン、チェロを使った中高音で構成し「植物で何を鳴らすのかという意味を考え」て制作したという。実際に低音を鳴らしてみると、音が再現せず聞こえない状態になるそうだ。

最後に、今回の「楽曲を奏でる植物公園」を監修したフラワーアーティスト ニコライ・バーグマン氏にも話を伺った。

 

Singing Nature
Flower Artist ニコライ・バーグマン氏

 
-葉から音が鳴るということを聞いた時にどう思いましたか?

バーグマン氏: 話を聞いただけでは「どうかな?」と思ったのですが、実際に聞いてみて驚きました。1度体験しないと理解しにくいことですが、試してみると楽しかったです。

今回のコンセプトは音が中心ということで、「ドームに入って葉から音楽を聞くという不思議な環境」というアイディアが一発で出てきました。私イコール花というイメージがあると思いますが、花だと意識が花に集中してしまうので、音に集中してもらうためにグリーンのみを使用しました。カークリコは2~300枚使用しています。

Singing Nature
ドームに入って葉から音楽を聞くという不思議な環境

 
-植物とテクノロジーのコラボレーションはどう思いますか?

バーグマン氏:面白いと思います。花を通して色々新しいことができるのは僕も嬉しく、今回のコラボレーションはすごくよかったと思っています。

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