町工場の今後、3つの課題とは -体験工場イベント「スミファ」

2019/11/23~24にかけて墨田区でおこなわれた、「スミファ」へ工場見学とワークショップに参加させていただいた。スミファは、墨田区の町工場が参加するオープンファクトリーとワークショップ、スタンプラリーなどが企画される町工場体験イベントだ。

筆者が体験したオープンファクトリーでは、様々の業種の町工場の現場を見ることでき、そして見えてきたことがある。

オープンファクトリーとは

オープンファクトリーは、モノをつくる工場側が、モノをつくりだしていく現場を公開・紹介することで、来場者にモノづくりが行われていく過程を現場で体験してもらう取り組みだ。

普段は関係者以外、もしくは社員以外が入ることができない仕事現場を公開し、交流をおこなう。それによって、自社製品や生産現場に対する生の声を聞いたり、見学者側はモノづくり、現場の価値を楽しみながら学ぶことができる場となっている。

また地域にとっても、活動者同士の結びつきや発信力を高めるためのきっかけにもなっている。

オープンファクトリーから見る町工場、3つの課題

さて、オープンファクトリーに参加して感じたことがいくつかある。

新旧様々な機械が入り混じる工場

どの町工場を見ていても、導入から20~30年たった古い機械から、最新の機械まで様々な機械が工場内で動いていた。

古い機械と新しい機械の工程間をつなぐのは人間なので、新しい機械が入ればその新しい機械の使い方に慣れることとその工程の間を埋める部分も柔軟に対応できる。しかし、それは私が思い描いていたスマートファクトリーとはほど遠い。

全自動化ではなく部分的に最適化されたものをどのようにつなぐか、という部分はまだまだ人間が埋めていかなければならないのだろう。

また、新しい機械と古い機械は年数にもよるが大きな操作画面の変化がないものから全く新しいものまで、形は様々だ。新しい機械を導入すれば、例えば精度や制作できる数は増えるかもしれない。しかし、そういった大きな変化が見られない機械を見比べていると、単純に最新機種を導入すれば、ビジネスが大きく変化するわけでもないことがようやく理解できた。

プロの知見と見えない技をどう伝えるか

どの工場にいっても工程ごと、もしくは機械ごとのプロが存在していた。それは、長年つきあってきた機械そのものの特性や癖をその人が熟知しており、そういった部分が見える形になっていないのかもしれない。

ボタンを押せば、誰でも同じ部品ができるような機械であればさほど難易度は高くないのかもしれない。しかし、特に古い機械、手動でレバーを押し、力を加えるようなものはその微妙な調整の部分をどのように伝えるのかが難易度の高い部分だ。

匠の技を伝えることは難しいことは理解していたが、それ以上に日常的に行われている動作に隠れた見えない技があり、そしてその技の継承はもっと難しい。

どこの工場も人手不足が深刻化している

町工場を回っていると多くの工場の入り口に「パート募集」の張り紙が見受けられた。人口減少にともなう省人化が叫ばれるこの時代でも、既に現場では人手が足りていないところが多い。

かといって、簡単に機械を導入することは初期費用も、維持費もかかる。だからこそ、パートや臨時職員の募集をするものの思ったように働き手が集まってこないというのも現実だ。機械ひとつでできることは限られるため、1点目であげたように工程と工程の隙間を埋めるのはまだまだ人の手が必要だ。

町工場で起こる変化

さて、工場の機械にセンサーをつけて、完成部品をカウントするといった典型的なソリューションはよく見るチャレンジだ。

しかし、いわゆるレトロな機械につけた場合、その部品が1動作で完結するとは限らない。その機械を扱う人間が目で判断し、完結する必要がある。

どういうことかというと、加工部品を挟む、加工のレバーを引く、レバーを引きあげる、加工部品をチェックする、ここまでで問題なければ晴れて1つ完成とカウントできる。

しかし、単純にセンサーが機械の動き、ここでいえば、レバーの上げ下げのみでカウントアップしたとしても、作成した部品が失敗していたら、そのカウントアップ数値を戻す必要がある。

考えてみれば当たり前だが、現場にいかないとその機械が「誰が」「どのように」「いつ操作しているか」などは知ることができない。それは、スマートファクトリーを考えるうえで非常に重要なキーポイントであることが、今回のオープンファクトリーで知ることができた。

スマートファクトリーと一言でいっても、そのアプローチ方法はその工場ごとに、あるいは工程ごとに変わってくるだろう。町工場という場所で、スマートファクトリーを実現する難しさを知ることができるのも、このオープンファクトリーで中を自由に見学できる機会があったからだ。

町工場で、スマートファクトリーをいきなり実現させることは課題からも難しいと感じたが、一方で多品種少量生産を実現できるのもこの町工場の強みであることがわかった。どの町工場でも「小ロットで対応が可能」という話を聞くことができ、1点モノ作成に取り組む工場もあった。

現在、話題となっている2.5次元舞台※1衣装のパーツも、こういった町工場で制作されているらしい。(※1 アニメや漫画、小説等を原作として舞台化したものを2次元と3次元の間を指し、2.5次元と呼ぶ。その舞台はおおよそ2.5次元舞台とよばれる)

こういった少量生産の強みを生かして、デバイスを作りたいスタートアップを支援している町工場もある。

浜野製作所では、スタートアップ支援として、デバイス試作など様々なものづくり企画に取り組んでいる

実際に、スタートアップ支援を含め様々な取り組みを行う浜野製作所では、町工場の見た目から町工場へのイメージを変えようとカラフルで、きれいな工場づくりに取り組んでいた。

町工場においても、少しずつビジネスにおける変革が起こりつつあることを感じさせられた。

Previous

過疎化する地方、デジタル技術は救世主になるか

工場を身近に感じる、オープンファクトリーイベント

Next