AIoT のパワーを解き放て―― AIとIoTを統合したAIoTを今すぐ導入すべき理由とは?

AIが人を採用する時代の光と影

1962年に大学新卒者向けの求人情報誌「企業への招待」が創刊されてから58年が経過しようとしている。

当時は、情報誌、新聞広告、折込チラシといったペーパーメディアが、学生を求める企業と就職先を探す学生の橋渡しをしていた。そして、学生は分厚い就職情報誌に付いているハガキを送って入社案内を入手し、簡単な履歴書を郵送し、企業からの連絡を待つというのが一般的だった。

しかし、1998年頃からIT技術の革新が行われ、ペーパーメディアは、今ではリクナビやマイナビといったWEBメディアへと姿を変えた。

WEBメディアの登場により、学生は、情報を入手するコスト、企業に応募するコストを減らすことができた。そのため、学生は多数の企業へ応募するようになった。実際、キャリタス就活2020の就職活動調査によると、学生1人あたりのエントリー社数の平均は23.1社となっている。

一方、企業の採用担当者は採用シーズンになると目が痛くなるというほど、大量のエントリーシートに目を通さなければならなくなってしまった。そうすると、エントリーシートのチェックに多くの時間を割かなければならず、結果として1枚あたりのチェック時間は短縮され、応募者の資質を見抜くことが難しくなってしまっているという実態がある。

そこで、近年では、マンパワーの削減、合否基準の統一、優秀な人材の抽出といった目的で、採用活動にAIを活用する動きがある。実際、ソフトバンクやサッポロビールは既に書類審査でAIを活用しているようだ。

書類選考で使われるAI「プライオ」

書類選考AIツール「プライオ」
source:プライオ公式ページ

プライオはマイナビと三菱総合研究所によって開発された書類選考AIツールだ。プライオにはAIエンジン「HaRi」が活用されていて、過去のエントリーシートや選考情報をもとに応募者の「優先度」「人物像」「辞退可能性」を予測するサービスだ。もう少し具体的にどのようなサービスが見ていく。

  • 優先度
  • どのエントリーシートから読むべきかという優先順位を明らかにする、というもの。その結果、業務効率化につながる。

  • 人物像
  • エントリーシートの記述内容から学生の人物像を様々な観点から可視化するというもの。その結果、客観的な判断が可能となる。

  • 辞退可能性
  • 辞退する可能性の高い学生を5段階で予測し可視化するというもの。結果、辞退可能性の高い学生に対して、個別面談や次回の選考ステップへの優先案内など、時宜を得たアプローチが可能となる。

このように様々な予測が可能になると、「エントリーシートを読むために膨大な時間を費やしてしまっている」「評価する人によって基準がばらばら」「毎年、辞退者が多い」という悩みが解決する。

なお、プライオを利用する企業は、マイナビ、三菱総合研究所へエントリーシートを送る際、エントリーシートに含まれる個人情報は全て削除しなければならない決まりとなっているようだ。

採用面接で使われるAI「SHaiN」

最近では、書類選考だけでなく、面接においてもAIが使われているようだ。

AI面接ツール「SHaiN」
source:SHaiN公式ページ

タレントアンドアセスメントは、24時間365日いつでも、世界中どの場所でも面接することを可能にしたAI面接サービスを提供している。簡単に行ってしまえば、AIが人間の代わりに面接を実施するというものだ。

具体的な使用の流れだが、企業は面接を受ける受験者情報を登録し、受験案内メールを送信する。受験者は案内メールを受け取った後、SHaiNアプリをインストールし、面接を受ける。受験者はAIにより様々な質問を投げかけられ、回答する。面接終了後、AIがバイタリティ、イニシアティブ、対人影響力、計画力、ストレス耐性、理解度など全11項目を評価し、それを参考に企業は合否を判定する。

対面で面接を実施しようとすると、面接をする場所が必要になるが、AI面接であれば、スマートフォンがあれば十分だ。また、採用担当者と受験者との間で日程調整を行う必要もないので採用活動を短縮化できるというメリットもある。

AIを用いた採用活動の失敗例

しかし、AIを活用するには注意が必要だ。

Amazonは2014年からAmazonのAIを使用した人材採用システムの開発に取り組んだが、2017年にこのプロジェクトを中止した。

なぜ中止となったのか。

Amazonはエンジニアの採用をAIにさせるため、過去10年間の履歴書のパターンを学習させた。しかし、開発された学習モデルに中立性がない、という欠陥がみつかる。

実は過去10年間にわたって提出されたエンジニア志望の履歴書の大半は男性が占めており、その履歴書を学習してしまったAIは「女性」を好ましくない特徴だと結論づけたのである。そのため、評価する履歴書に「女性チェス部の部長」や「女子大卒」といった女性に関する単語が履歴書に記されているだけで、評価が下がることが確認されたのだ。

Amazonはこうした偏りを排除するため、プログラムを修正したものの、AIが候補者に対して、他に不公平な扱いをしていないかどうか確信を持てなかった。その結果、このプロジェクトは中止となった。

リクルートキャリアの「就職白書2019」によると新卒採用活動におけるAIの導入について、導入している企業は2.3%だったようだ。前回の調査から1.9ポイントプラスとなっているようなので、今後、導入する企業が増えていく可能性はある。

しかし、AIを採用活動に取り込んでいく流れに乗りたいと考える企業には、AIを使いこなすための知識が求められる、というのも留意しておきたい。

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