DNPの学習支援プラットフォーム「リアテンダント」、AIで小学校の評価テストを自動集計・ビッグデータを蓄積・分析するモデルを開発

小学生の通知表作成の材料となる「評価テスト」は、各教科の単元・期末ごとに行われるテストのことで、全国の小学校の8割が、教材会社の提供する評価テストを採択し、実施している。

教員は、解答用紙を採点するにあたり、丸付け、総得点・観点別得点の集計、入力を行っている。一般的には手作業で集計した結果を一度紙に転記した後に入力作業を行うため、クラス全員の解答用紙の集計・入力作業だけでも1回のテストでおよそ20分を要す。年間では1教科で16回程度、4教科では約70回のテストが実施されており、教員は2,000枚のテストを約1,400分かけて集計する計算となる。(※)

学期末などには深夜残業での対応が多くなり、文部科学省(以下、文科省)における教員の過重労働対策の中でも、テストの採点は大きな業務負荷の一つとして捉えられている。

また、2020年1月に成立した文科省の重点施策「GIGAスクール構想」として注目を集めている「個別最適化学習」の実現でも、採点の業務負荷は大きな課題だ。個別最適化学習とは、個々の児童の学力特性を明らかにし、児童に応じた指導を行うことであり、設問別の正誤情報など詳細な蓄積された採点データ(以下、スタディ・ログ)を基とした分析が求められている。

しかし現在では、小学校における評価テストの採点結果は、総得点や観点別の得点管理にとどまるのが一般的であり、詳細なスタディ・ログの集計・入力を行うには、年間2,400分以上必要という計算となる。これらの実施は多忙な教員の業務としては現実的ではなく、テストの採点結果は通知表を付けるためだけのものとなっており、スタディ・ログに基づく指導まで至っていないのが現状である。

このような中、大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、学習支援プラットフォーム「DNP学習クラウド リアテンダント(以下、リアテンダント)」で、ほぼすべての小学校で日常的に実施されている評価テストの採点結果をAIで自動集計して、ビッグデータとして蓄積・分析するモデルを開発した。

リアテンダントは、蓄積されたスタディ・ログを分析し、その結果に基づきさまざまな教材やサービスを提供するプラットフォームサービスだ。教員は、丸付けした解答用紙をスキャナで取り込むだけで、採点記号と部分点をAIで自動的に認識し、データ化する。これにより、従来行っていた採点結果の集計・入力作業が大幅に効率化できる。

多くの学校では、教科ごとに異なる教材会社の評価テストを活用しているが、リアテンダントは複数の教材会社のテストを共通のプラットフォームで扱えるため、教材会社を問わず、評価テストのスタディ・ログの蓄積・活用が可能となる。

また、設問別の正誤情報といった詳細なスタディ・ログを教員の負荷なく蓄積でき、個々の児童の傾向やクラス間比較などがグラフや表形式によって可視化できる。通知表作成の効率化だけでなく、従来教員が行えなかった、詳細なスタディ・ログに基づく指導ができる。スタディ・ログをもとに、児童ごとに優先して復習すべき問題を抽出し、タブレット対応ドリル教材や紙のドリル教材といった異なる復習教材を提供することも可能だ。

DNPは、2020年2月に政令指定都市・中核市を含む7自治体で、小学校の評価テストによるスタディ・ログの自動集計・蓄積・活用に関する実証評価を開始した。同実証は、青葉出版、教育同人社、新学社、日本標準など、評価テストを発行する主要7社中5社の協力のもとで実施しており、実証校の教員は、テストの集計・入力作業時間が最大で85%削減されたと評価している。

DNPでは、今回開発した分析機能の評価をさらに進めて、2020年度夏以降に順次サービスを開始する予定とした。

※ 1クラスあたりの児童数30人、1教科あたり16単元のテストを4教科行う場合の試算。なお、所要時間は実証校教員へのヒアリングにもとづく。

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