日本国内の売上高は厳しい環境の中、前年比1%増を達成ーボッシュ・グループ年次記者会見2020レポート

自動車部品メーカーのボッシュ株式会社は、2020年6月8日にボッシュ・グループ年次記者会見を開催した。

ボッシュは、2020年は元々の厳しい状況の予想に加え新型コロナウイルスの影響もあり、さらなる厳しい状況が予測されるが、「Invented for Life」をスローガンに掲げ、これまで通りのロードマップを進め、良い社会と生活に役立つソリューションを提供するとした。

日系自動車メーカーへの売上は10.2%増

日本国内の2019年の業績
日本国内の2019年の業績

ボッシュ・グループのグローバルでの売上高は777億ユーロとなり、前年と同水準を維持した。その売上高の約8%に相当する61億ユーロを研究開発費として投じたという。これは、ボッシュの目指す未来のモビリティ「PACE」(パーソナライズ化、自動化、ネットワーク化、電動化)における技術革新や、IoTやAIのような将来の成長分野へ投資される。

日本における第三者売上高は、約3,300億円だった。グローバルの自動車市場が縮小し、厳しい環境になったが、日本においては前年比約1.0%増となった。売上高の90%がモビリティソリューション事業が占めており、横滑り防止装置やセーフティシステム向け製品などが売上に貢献した。

また、ボッシュの全世界における日系自動車メーカーへの売上は、2013年からこれまで前年比、年平均2桁の割合で増加している。2019年もまた前年比約10.2%で成長しており、日系自動車メーカーの世界での自動車生産台数が前年比でやや減少したことを踏まえると、日系自動車メーカーに対するボッシュの売上が拡大したことを意味している。

しかし、2020年は自動車業界にとって厳しい1年になると予想しているという。新型コロナウイルスの影響により、状況が流動的であることから、現時点では業績見通しの公表は控えるとしている。

日本国内の事業のハイライト

自動化により交通事故を限りなくゼロに

ボッシュの試算では、横滑り防止装置(ESC)と自動運転技術を使用することで交通事故を防ぐ可能性は高めることができる
ボッシュの試算では、横滑り防止装置(ESC)と自動運転技術を使用することで交通事故を防ぐ可能性は高めることができる

ボッシュが自動化を進める最大の理由は、交通事故を限りなくゼロに近づけるためだ。

ESCは量産開始から25周年が経ち、2億5,000万台以上を生産してきた。ボッシュの試算では、横滑り防止装置と、アメリカ自動車技術者協会(SAE)が定義するレベル1の運転支援システムを組み合わせることで、ドイツ国内での交通事故を最大45%防ぐ事がわかっているという。さらに、レベル2以上の部分的な自動運転により、交通事故の26%を防ぐ、または衝突被害を軽減できると試算しているとしている。

さらなる事故削減効果が期待される運転支援システムとして、側方レーダーを活用したシステムがある。ボッシュは、2020年に新世代の側方レーダーの量産を開始する。これにより現行システムを補完し、より高度な検知を可能にするという。

電動化されたサステイナブルなモビリティを提供

ボッシュは2022年に燃料電池の市場投入を予定
ボッシュは2022年に燃料電池の市場投入を予定

地球環境に配慮したサステイナブルなモビリティを提供するためには、排出量の削減に注力する必要がある。

ボッシュでは、高効率の内燃機関からeモビリティ、燃料電池に至るまでの様々なパワートレインを手頃な価格で提供することを念頭に置いた開発を進めているという。パワートレインとは、エンジンで作られた回転力を駆動輪へと伝える役割を担っている装置類のことである。エンジンやクラッチ、トランスミッションなどが含まれる。

電動化におけるひとつのソリューションとして、2019年にローリングシャシーの提案を開始した。ローリングシャシーは、ボッシュの電動パワートレイン、電動ブレーキシステムや電動ステアリングなどをフレームに搭載している、電気自動車向けのプラットフォームだ。

このローリングシャシーはベントレー社と共同で開発を行っており、駆動可能な状態で提供できるため、開発における時間短縮や効率性の向上に貢献するという。

また、ボッシュとベントレーはピニンファリーナ社と戦略的提携を締結した。この提携で、電気自動車のプロトタイプの構築から生産開始までに至るまで、開発工程すべてを網羅することが可能になった。

ボッシュではまた、燃料電池パワートレインの開発も積極的に進めている。2022年に燃料電池の市場投入を予定しており、日本市場向けに燃料電池コンポーネントを開発中だという。

ネットワーク化を強化する新事業部を設立

コネクテッドモビリティソリューション事業部を設立
コネクテッドモビリティソリューション事業部を設立

2025年までに、グローバルで4.7億台の車がネットワーク化されると予測されている。ボッシュは日本においてもこのビジネスチャンスを獲得すべく、2020年にコネクテッドモビリティソリューションズ事業部を立ち上げた。同事業部は、ボッシュが展開するネットワーク化にまつわるソリューションを統合し、包括的なサービスを提供することを可能にする。

2020年2月からは、駐車場向けセンサーの提案を開始した。

このセンサーを駐車スペースに簡単な接着剤で設置すると、センサーが空き状況を検知し、検知した情報を無線でサーバーに送ることで、駐車スペースの空き情報がマップデータにリアルタイムで取り込まれる。ドライバーはインターネットなどからこのマップデータにアクセスし、空きスペースの予約ができるという仕組みだ。

駐車スペースの検索がより簡単になり、ドライバーが駐車スペース探しにかける時間を短縮するだけでなく、駐車スペースを探す際に排出するCO2の削減にも貢献する。

世界有数のAIを駆使したIoT企業へ

ボッシュが進めるネットワーク化は、モビリティだけではなく、製造業、ロジスティクス、スマートホーム、農業に至るまでの、多岐にわたる業界にビジネスを展開しているという。

ボッシュは、世界有数のAIを駆使したIoT企業に成長することを目指しており、こうした勢いを更に加速させるために、2020年1月にIoTを中核とした活動を集約する新たな子会社Bosch.IOを設立した。

Bosch.IOは日本において、スマート農業サービス「Plantect」を展開している。Plantectは病害予測AIが特徴のサービスであり、ハウス栽培における生産性や作物の品質の向上に貢献するとしている。

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