「ファストDX」でレガシー企業の顧客接点を変えていく ――オプトデジタル 代表取締役 野呂健太氏インタビュー

「ファストDX」の伝道師として社会を変えていく

小泉: オプトデジタルが注力しているのは、どのような分野でしょうか。

野呂: 私たちはミッションとして「企業のデジタルシフトを柔軟さと実行力で実現する。」と掲げており、「ファストDXカンパニー」としてレガシー企業の顧客接点を変えていくことを目指しています。業界でいうと、自治体や不動産、金融機関などです。例えば、銀行ではいまだに口座開設に紙を使っているところもあります。そうした手間となっている業務をすべてデジタルに切り替えていきたいと思っています。

企業が事故対応などの窓口を新たにつくろうとした場合、ウェブページや自社アプリをつくることが多いです。でも、それではあまりお客様に使ってもらえないのです。1回の問い合わせのためにアプリをダウンロードしようと思う人は少ないからです。LINEであれば、友だち追加のみで使えます。

小泉: LINEでできるのは非常に便利ですよね。先日、厚生労働省から新型コロナウイルスのアンケート(「新型コロナ対策のための全国調査」)がLINEで送られてきていましたね。相当な回答数があったとか。

野呂: はい。1回の調査で約2,500万人から回答があったということです。そのようなプラットフォームは他にありません。

プラットフォームはあくまで手段です。その手段をいかにうまく、セキュアな環境に組み込むかという発想が大切です。現状、企業がLINEを活用してつくっているサービスの多くは、マーケティング活用や簡易なチャット機能を使ったサービスなど汎用的なものばかりです。

LINEというコミュニケーションの入口をうまく使えば、もっと深く、便利なサービスをたくさんつくることができるはずです。そのことを「伝道師」として企業に伝え、支援していくのが弊社の重要なミッションの一つです。

「ファストDX」でレガシー企業の顧客接点を変えていく ――オプトデジタル 代表取締役 野呂健太氏インタビュー
株式会社オプトデジタル 代表取締役 野呂健太氏

小泉: ところで、家電が故障すると、エラーが記号で表示されることありますよね。あれが非常にわかりにくいのです。そのような場合の問い合わせも、御社のサービスで便利にできませんか。

野呂: それは、実は私も最近考えていたことです。先日、自宅のエアコンが壊れて、メーカーに電話したのです。すると、オペレーターから、「何色のランプが何回点灯していますか?」、「リモコンにどういうコードが表示されていますか?」と聞かれるわけです。

これは非常に手間です。ランプやリモコンの表示内容などはスマートフォンのカメラで撮影して、チャットで送れば、すぐ把握できるはずです。電話じゃなければいけない理由はありません。そもそも、画像と動画の方が情報として正確なはずです。

小泉: それこそ、カジュアルに画像認識技術なども使えるのではないでしょうか。一枚の画像からAIがすべてを判断しなくても、大まかにこれはこういうケースだ、と分類することは簡単なAIでもできますよね。

野呂: それは学習さえさせれば簡単にできますね。

小泉: こうした例はいくらでもありそうなものですが、なぜなかなか変わらないのでしょうか。

野呂: 多くの場合、企業は顧客接点のメインであるコールセンターをコストセンターと見てしまっています。事業の売上高や営業収益に直接寄与していないと考えているのです。ですから、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって見直されつつあるものの、設備投資の対象になりにくく、デジタル化が遅れてしまうのです。

小泉: 日本の企業はコスト削減が得意というイメージもあるのですが、逆なのですね。

野呂: それは分野によります。おそらくコールセンターの場合は、「電話でやっていることは他に置き換えられない」という固定観念があるのだと思います。なので、私は「もっと便利な方法を楽に導入できる」ということを伝え続けていきたいのです。実際に、損保ジャパンでは電話でやっていた業務を、セキュアなLINEのチャットでやり取りできる環境に変えることができたわけですから。

小泉: もちろん、人間が対応した方が丁寧な場合もあります。でも、それによってお客様を待たせてしまうこともあるわけですよね。

野呂: はい。たとえば、飲食店の電話予約などがそうですね。LINEなどのアプリを使ってきめこまやかに予約できるしくみがあれば、お客様と従業員の双方が幸せになると思います。

小泉: ぜひ、変えていってほしいです。

野呂: ありがとうございます。デジタルはあくまで手段ですから、必要に応じて組み込めばいいと思っています。餅は餅屋で、商品の査定などの画像認識を使ったサービスであればAIの画像解析に特化した企業のシステムとAPIでつなぎこめば、自社で開発しなくてもかまいません。色々なところから素材を持ちこみ、うまく組み合わせてお客様が本当に欲しいサービスを提供できることが私たちの腕の見せどころであり、「ファストDX」が意味するところです。

小泉: 本日は貴重なお話をありがとうございました。

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