プレス工場でのIoTを活用した生産性改善

本記事は、アドバンテック株式会社の協力のもと制作しております。

プレス工場においてIoTを活用し生産性を改善する方法を紹介する。

プレス工場とは

プレス工場とは、プレス加工を行う工場のことだ。材料をプレス機によってセットした金型の形状に曲げ加工やせん断を行う。

プレス機には上下に分かれた金型がセットされ、金型の間に材料をセットし、材料を上下の金型で強い力で挟み込むことで材料を変形させる。

金型の形状によって製品形状が決まり、段取り替えの際は、金型を交換することで対応している。

プレス工場におけるポイント

このようなプレス工場では、大きく2つのポイントがある。

プレス機の生産性が作業員に依存する

多くのプレス機は自動化されておらず、作業員1人が1台のプレス機を操作して作業を行う。

手の挟み込みを防止する目的で、左右2つのスイッチを両手で押すことで稼働するようになっているため、プレス機が動作している間に別の作業をすることや、複数台のプレス機を1人の作業者が同時に動かすということが出来ない。

そのため、プレス機の生産性は、そのプレス機を操作する作業者に依存する。生産性を改善するためには、設備よりも作業者の生産性を改善する必要がある。

作業者の生産性を改善するためには、作業現場が、作業者にとって働きやすい環境であることが重要である。

また、生産進捗を可視化する必要がある。プレス工場は、プレスを行う際の製品を撃ち抜く音が大きく、耳栓が必要な職場であることが多い。

そのため、プレス機で作業者がそれぞれ作業を行っているとき、自分の担当分の生産の進捗はわかっても、横の作業者の進捗や生産現場での進捗を確認することは難しい。

金型の管理が重要である

プレス機において製品形状や仕上がりを決めるのは、金型である。金型に異常があると、製品に不具合が生じたり、生産停止しなければならなくなったりしてしまう。

金型には、メンテナンス頻度や寿命が使用回数によって決まっていて、この回数を守り、メンテナンスや交換を行うことが不具合発生を防ぐためには必要である。

金型の使用回数を管理するためには、その金型を使用しているプレス機のショット数を正しく管理する必要がある。しかし、段取り替えの際に金型を交換してしまうため、プレス機のショット回数と金型の使用回数は紐付かず、正しく管理していないと、どの金型が何回使ったものなのかということがわからなくなってしまう。

IoTを活用した解決方法

上記にあげたポイントに対し、IoTを活用し改善する方法を紹介する。

作業者の生産性を改善するためには、職場環境と生産進捗の可視化を行う

工場内に温湿度センサーや二酸化炭素濃度センサーを設置し、職場環境の可視化を行う。設備の稼働などの外的要因によって、設定値と実測値にどのくらい差があるのかを確認するだけでも、職場環境を向上させるきっかけになるだろう。

また、それぞれのプレス機からデータを取得し、ある程度の固まりで生産進捗の可視化を行うことで、生産計画の変更や負荷の調整を行うことができる。また、こうした生産進捗の可視化は、作業者の士気を向上させるという効果もある。

生産進捗を可視化するには、ショット数を測定する必要がある。プレス機はショット数がそのまま生産進捗に直結するからだ。

プレス機には、ショットカウンターがついていることもあるが、その多くは確認しづらかったり、外部にデータを送ることが出来なかったりする。そこで、ドグをカウントするセンサーや下死点を検出する近接スイッチを設置し、プレスのショット数を測定する。

金型の管理を行うためには、プレス機のショット数と金型の属性の紐付けを行う

それぞれの金型に属性をもたせることで、生産実績との紐付けを行い、どの金型がいつ使われていたかを把握することができる。プレス機ごとのショット数と金型の使用時間という、2つのデータを組み合わせることで、金型がいつ何回使われたものなのかがわかるようになる。

この取得したショット数の履歴を漏れずに管理するために、金型をePaperで管理するという方法がある。ePaperは、NFCを通じて、ショット数の履歴を書き換えて保存することができる。

アドバンテック製品を使用した管理方法

プレス工場でのアドバンテック製品を利用した管理方法
プレス工場でのアドバンテック製品を利用した管理方法

職場環境の可視化

WISE-4210-S231を置くことで、現場の温湿度を無線で送信することができる。

その他、現場環境に応じて、アンモニアやCO2濃度を測定するセンサーを設置することで現場環境を取得することができる。

取得したデータは、設備の稼働状況を表示する画面に合わせて表示させることができる。

生産進捗の可視化

WebAccessを使用することで生産進捗を可視化する事ができる。

しかし、得たい情報を画面にきれいに表示させるには、作画に関する知識が必要になる。

アドバンテックのパートナー企業である日本ラッド株式会社が販売している「Konekti EX」を使用すると、標準として、工場全体の稼働状況、プレス単位のショット数表示、設備単位の負荷を表示させる事ができる。このようなパッケージソフトを使用することも簡単に可視化するためには重要である。

表示させるアンドンとしての画面は、タッチ付き52インチ画面やパネルPC32インチ、タッチなし84インチなどのモニターを採用することも良いだろう。用途に応じて使い分けることが可能であり、大画面を使用することで、状況把握の他にも現場の士気向上にも貢献するだろう。

金型の属性の紐付け

アドバンテックでは、LEO−DシリーズというePaperを用いて金型を管理することを推奨している。バッテリーが不要で、NFCリーダーを使用することで、表示内容を更新することができる。

ショット数のデータと連動させ、履歴を残すことで、適切なタイミングでメンテナンス時期を判断することができるようになるだろう。

クラウドにデータをあげて、WISE-PaaS/APMと連動できれば、消耗時期を事前にアラート発報することが可能になる。