SAPジャパン、IoTを活用した建物ごとの震度計測および震度ビッグデータ活用システムを提供開始

SAPジャパン株式会社は、白山工業株式会社と協力して、スマートフォンアプリを使った簡易な震度計をビルや住宅などの建物に設置し、日常的に起きている軽微な地震の揺れのデータを収集・解析することで、大地震の際の建物の揺れ方を把握・予測するシステム「my震度」を開発し、本日7月27日から無償提供を開始したことを発表した。

SAPジャパンでは、取得したデータを各スマホ震度計オーナーにフィードバックするとともに、地図上にマッピングし、震度ビッグデータとして提供することで、地域防災や都市行政、学術研究などに役立ててもらうことを想定している。さらに将来的には対象範囲をアジアや世界に広げ、日本の耐震・防災技術のグローバル展開を支援していくことを視野に入れているという。

世界有数の地震国である日本は、すでに数千か所に及ぶリアルタイム地震観測網を、国の研究機関が構築している。しかし、従来の地震計が計測しているのはあくまで「地面の揺れ」だ。一方、国内外の大地震の際に多くの人的・経済的損失を発生させている「建物の揺れ(による倒壊)」については、地震計が高価であることもあり、これまで計測するという発想がなかった。

しかし地震計のトップベンダーである白山工業は、スマートフォンに内蔵されている加速度センサーに着目し、これを利用して簡易な震度計を安価に作る基本技術をすでに確立していた。そこでSAPジャパンは白山工業とともにこの「my震度」システムを共同で構築し、顧客企業やパートナー企業、地方自治体、研究機関・大学等とも協力して、広く社会実装していくことにした。さらに今年10月以降は一般消費者にも同システムを提供し、まず国内では3年間でスマホ震度計1万台のネットワークを構築することを目指すという。

「my震度」のシステム概要は以下の通り。

・「my震度アプリ」をインストールしたiPhoneなどの端末(*1)を建物の壁に固定し、スマホ震度計として活用。
・軽微な地震が発生すると、その際の震度等のデータをネットワーク経由で「my震度サーバー」に収集・蓄積し、地図上にマッピングして一覧表示する(*2)。
・my震度サーバーは、クラウド上の超高速インメモリープラットフォームSAP HANA® Cloud Platform上に構築され、蓄積された震度ビッグデータは超高速インメモリー技術を利用して高速かつリアルタイムに分析・処理することができる。

同システムの活用により、スマホ地震計を設置した建物の住人(個人や管理組合)やオフィスビル・工場・店舗の所有者は、軽微な地震の際の揺れ方や、近隣の建物との揺れの違いを見ることができ、そこから大地震の際の揺れの予測や備えが可能になる。自宅だけでなく、例えば両親が住む実家など、離れたところの家屋の揺れを見ることもできる。また地方自治体や消防・警察、研究機関・大学は、より粒度の細かい揺れのデータをもとに、より詳細な学術研究や防災計画・都市行政を立案することができる。

将来的には、より多くの建物から収集したビッグデータを分析することで、大地震の際の倒壊可能性の予測や全壊・半壊の判定支援などにも応用できる見込みだという。 次フェーズでは、同システムの対象をアジアや世界の地震国にも広げ、より多くの住民に地震防災を提供するとともに、日本の耐震・防災技術のグローバル展開を支援していく。

*1)フェーズ1ではアップル社製のiPhone、iPad、iPod Touch(iOS 9)が利用可能。
*2)プライバシーに配慮し、マッピング精度は100m四方レベルに粗くして表示。

【関連リンク】
エスエイピー(SAP)
白山工業(HAKUSAN)

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