IoT遠隔監視で灯油代1200万円削減を実現 -エコモットCEO入澤氏インタビュー

IoTは最近出てきた言葉だと考える人もいるが、実際にはもう10年も前からIoTを実現し効果を出している企業が札幌にある。

IoT/M2M モバイルクラウドソリューションを提供するエコモット株式会社 代表取締役社長 入澤 拓也氏に話を伺った。

 
-御社について教えてください。

当社の中核事業は、IoTインテグレーション事業です。『社会問題やビジネスの課題をIoTで解決する。コア技術だけではなく、キッティング、フィールド技術、運用監視など、周辺技術も持ち合わせて、ハードからソフト、クラウドまでを垂直統合で実現できる。』ということです。

われわれはセンサーやカメラから運用保守まで垂直統合的にやっていてます。事業の軸は大きく二つあって、一つが自社ソリューショのです。自分たちの作ったソリューションをターゲットの顧客に売っていくという事で、融雪監視とか建設現場、車。もう一方はインテグレーションです。

当社のホームページにも『あなたの「見える」をみんなの安心に』というメッセージを掲げていますが、われわれのソリューションは、管理されてる人とモノがちゃんと動いて、安心につながる。

CSAA、いわゆる集めて、ためて、分析して、行動を起こす。このサイクルをPDCAのように、グルグルグルグル回した事によって、結果として売り上げが上がる、もしくはコストが下がるというふうにやらないと、IoTはやる意味ないと考えています。

 

灯油代1200万円のコスト削減を可能にした『ゆりもっと』

まず一番やっているのは、この『ゆりもっと』なのですけど、これは札幌ではポピュラーな絵です。

ゆりもっと

札幌という町は100万人以上の人口と500センチ以上の降雪が世界唯一の都市なのです。とにかく雪というのが害で、都市という機能と害というものが共存している都市として世界唯一なのです。

ですからロードヒーティング、地面を温水で温めて雪を溶かす仕組みなのですけど、よく本州の方では水を撒いて溶かすシステムがありますが、それだと凍ってしまいます。

凍らないように散水式ではなくてお湯を沸かすのですけど、ロードヒーティングはどういうものかというと、積雪面があって温水パイプをひいて、コンクリートをのせてアスファルトでサンドイッチにします。

これで雪が降ってくると降雪センサーが雪を検知して信号を送ってボイラーが動き出して、循環ポンプが路面に温水を送って道路を温めます。しかし欠点があり、とにかくセンサーが無駄な点が多いのです。雨でも煙でも反応してしまいます。結果的にこれまでは無駄遣いが起きてしまっていました。

そこで、従来のロードヒーティングから、駐車場にカメラを付けて、カメラで撮影した映像を遠隔で24時間体制でわれわれがモニタリングして、必要に応じてボイラーのスイッチを遠隔で入り切りするということをやっています。

設置した写真はこのようなイメージです。

2_ゆりもっと設置風景

これが実際路面ですけど、電気が4割とか5割です。下手したら7割8割無駄になることもあります。センサーが変なところに付いてたら、ずっと動いてしまいます。そういうのを目視でなくしています。

3_ゆりもっと管理画面

上記は管理画面ですけど、今約1500物件ぐらいに付けています。主に分譲マンション、賃貸アパート、店舗、パチンコ屋さん、葬儀屋さん、とにかく大きい駐車場を持っているところです。

例えばある分譲マンションは、年間灯油代が2000万円かかっていましたが、うちのサービスをいれたら800万円になったのです。1200万も削減できたのですよ。設備導入費としては多分200万くらいなので、すごくペイできているのです。これはいわゆる融雪状況の見える化なのです。

 

現場ロイド

現場ロイド設置現場

二番目のうちの自社サービスは『現場ロイド』です。これはいわゆる通信機能をいろんなモノに付けようとしています。それはボイラーだけじゃなくてカメラなどにもです。当時はとにかく計測器に通信をつけるというのはなかなかなかったので、融雪事業で使っていたカメラを使いました。

それにソーラーパネルを付けて、ダムの水位監視もやっていました。ダムの水位監視だと、「水位計つけてできないの?」という事で水位計つけてデータを取得したのですが、そのデータをロギングしてサーバーに上げるということを7、8年前からずっとやってます。

7_サロマ湖

これはある川の堤防の築堤の工事なのですけど、川で水位が上がったら、現場が水浸しになるのですよね。現場事務所の人に警報を出してあげなきゃいけないのですが、現場の事務所が3~5km離れているのです。

そうすると線を引っ張るのが無理なので、1回サーバーに上げて、サーバー側から別の回転灯のスイッチを入れてあげて回してあげてという事をいろいろやって遠隔監視をしています。それを皮切りに、われわれ仮設工事の現場が多いのですが、現在4,500現場ほどで風速計やpH、雨量といったもの測ってます。

とにかくカメラだったりセンサーだったり、コンクリートの打設の温度などは法律でやらなきゃいけないと決まっているのです。こういった温度管理などを、今までは職人さんが手でやってきたものを、今は遠隔で集めてサーバー側で管理しています。

これらが、 NETIS(ネティス)というものに登録されていて、国土交通省の新技術として評価いただいているので、そのおかげで国交省の工事などで使われるようになりました。

 

車のIoT『Pdrive』

三つ目が『Pdrive』とい車のIoTです。これは運転状況を見える化、事故を削減するソリューショのです。今の車両管理は、効率的に配送するという観点でのサービスが多いのですが、当社は事故を減らすためのソリューションを作っています。

とにかく1件の死亡事故の下には、300件のヒヤリハットの事故があるといわれています。ここの潜在的なヒヤリハットを見える化して、教育指導する事によって事故を減らそうというソリューションなのです。

ドライブレコーダー
ドライブレコーダー

具体的にどういうものかというと、これはうちで作っているドライブレコーダーなのですけど、これにカメラ、加速度センサー、GPS、3Gの通信がついています。スマホですよね。スマホは人が持つ分にはいいのですが、常時置くととにかく温度でやられてしまいますが、これは耐温度性という形でやってます。

これらがどういう機能持っているかというと、危険度を判断するのです。まず急ブレーキの、ヒヤリハットですから加速度のGのかかり具合を見ています。また、そういった危険度があった時だけ動画を送ってくるという機能もあります。

危なかった瞬間の前6秒と後ろ4秒の映像10秒のリアルタイムで送ってくるのです。これはリアルタイムに送ってくるっていうところがポイントで、ドライブレコーダーってSDカードには当然動画が入っているので、こういう危険な動画はいくらでもあるのですが、それだと後から抜いて見る必要がでるのです。

ところがわれわれは、この動画がリアルタイムに管理者にメールで飛んでくるのです。うちの場合社員全員に送っていますので、自分が変な運転したら、それが社員全員に知られるわけです。やっぱり見られてる感とか、嫌な感じというのが事故率低減につながっています。

もう一つは、月に1回PDFのレポートを送ってくるという機能があります。評価ランキングということで、急ブレーキの数や急ハンドルの数などがわかり、運転がよかったら社内表彰、ダメな人は減俸し、事故を減らしましょうということです。実際に保険料が下がるので、保険料が下がった事例になります。

 

その他、IoT事例

その他にはわれわれインテグレーションでいろいろ手がけているIoT事例の一部を紹介すると、ソーラー発電や、ひび割れをカメラで計測する建物の維持管理、橋の補修、橋の補修工事のために、その橋のたわみを計測する技術があります。

あとは農業もあります。これもロードヒーティングと同じなのですけど、アスパラの畑に温水を直接ひいて、なかに温水パイプでお湯を入れて土を温めています。そしてアスパラの生育を促してあげて、年3回取れるアスパラを、年4回取れるようにしよう、農家の収益を上げようというような事でやっています。これはエゾ鹿の仕掛けです。罠につけて、こんな感じで鹿がとれます。

6_シカ監視(罠)

われわれは一気通貫にやっているので、実際に設置なんかも行ったりするので、サロマ湖の漁港にカメラつけたのですけど、「なぜか映像がこないな」と思ったら、海に流されている、なんてこともありました(笑)。

 

FASTIO

IoTをいろいろやろうと思っても、最初は小規模にトライ&エラーにできる環境が必要だよねという事で『FASTIO』というモノ作りましたと。このFASTIOというもののコンセプトは、FASTなIOなわけです。FASTにとにかくInternet ofほにゃらら。

そして先日MCPCグランプリ獲りました。ある大学の先生が言っていたのですけど、プラットフォームとはアクセラレータであると。それは非常にいいなと思っています。要は加速させる、何かをやる時にアクセルを踏むような機能がある。よって、早い、安い、そして多機能を兼ね備えてないとプラットフォームとは言えないんじゃないかなと思っているという事です。

要は必要なものは全部揃っていて、すぐ始められます。センサーを使って何かやりたいものがあるという時に、雨量計だ水位計だなんだってのがありますけど、IoTは電源だと思ってるのです。電源を用意してあげて端末を用意してあげて、通信サーバー、アプリ、全部一気通貫でやるのがFASTIOです。

おにぎりで例えますととにかくオーバーヘッドが大きいですよねと。おにぎり作るにもわざわざ米買って海苔買ってしなきゃいけないけど、僕らはもうおにぎり握ってあと具を入れてラッピングだけしてくださいという形でお客さんに提供しましょうと、このような事例です。

これはもう今は他社とも似てきちやっているのですが、実績のあるセンサー群とデータ処理端末をわれわれは一気通貫で持ってます。他はアプリの部分だけでプラットフォームとかって言ったりするのですが、そこつなぎ込みできないですよね、みたいな。

今はわれわれパートナープログラム「FASTIO LINK」のパートナーさん、いわゆるセンサーメーカーさんと協業しながら、センサーデータをサーバーに上げるところ、これを全部検証済みです。

fastio

一番大きい事例はクボタです。ブリヂストンの子会社のビーエステクノ、これJRのゴムマット作ってる会社なのですけど、JRの防爆性に耐えられるゴム作れるのはブリヂストンだけらしくて、そこのゴムの熱の切り替えポイントのヒーティングをしている管理にIoTが入っています。

FASTIOの特徴としては、セキュリティーです。われわれはキャリアの回線網の中で全部やっているので、そこはもういいでしょうと。

あとは演算機能。サーバー側で演算させてあげる機能というのが、どうしても必要ですよねというところとか、APIで連携して他のサードパーティー製品と組み合わせて、セールスフォース・ドットコムだったりTwilio(トゥイリオ)だったりとか。あと自分たちソフト持ってるのだけど、データだけくれないかということで、そのアプリに入るようにデータだけ加工してCSVで送ってあげるというのもけっこう多いです。

さらに条件分岐をやれるようにしています。例えば国交省の場合だと、10分間の雨量計測するのですが、その後1時間の積載雨量と時間平均の雨量とか、一つの雨量から何個もデータ作らなきゃいけないのです。そういうのをサーバー側処理したり、帳票で数値をあげたりもしています。

FASTIOというのは、当社がお客様の既存事業にIoTをお届けしたいというのがコンセプトです。

なので、既存事業による収益がある顧客企業が、IoT化する事によって得られる収益をプロデュースするというのが僕の一番やりたい事なのです。その時に二つの大きな壁、電源がないというのと、通信料を誰が払うのかという問題。これがIoTの壁となります。

例えばバッテリーを売ってる会社さんが既存の事業をやっていて、今までは100万円でバッテリーを売ってました、と。ところが100万円のバッテリーを売って、かつバッテリー監視サービスみたいな形にして、月々1000円取るとか。そうすると既存事業の上にさらに値段を上げるようなサービスができますよね。

さらに水処理の会社、クボタの事例ですけど、今まではあくまで水の膜屋さんなので、ビルの管理会社さんから膜を交換しに来てくれって言われて行っていました。

しかし、それだといつ呼ばれるか分からないし、すぐ行けないと怒られてしまいます。そこで、水の品質を担保するサービスに変えたのです。われわれは水の品質を見てますから、必要によって僕らが膜を責任もって変えますから、お金は月々下さい、ということですね。

ですからその都度都度発生するものじゃなくて、そこを一連にしたサービスのモデルに変えちゃったのです。そうするとこっちで行きたい時に行けるし、もっと安定的な収益で、管理会社は自分たちで管理しなくて楽になるし、非常にいい事例ですよね。

あとは、札幌で言うと水門を作っている会社さん。門を作っているのですけど、やっぱり水門ってどうしてもガラガラガラーって閉めなきゃいけないというのがあるのです。それを遠隔で閉めるなんていう発想、今まで誰も持ってないのですよ。ところが2011年に震災が起きた時に、水門を閉めに行ってなくなった方がおおいということがありました。そこで、遠隔で閉めるというのがよいということで、自分たちで作った製品をさらに付加価値化しています。

エコモットとしてはやっぱり積極的に取り組んでいく分野として、省エネ、安全、防災。やっぱこの辺は僕らのフィールドかなと思っています。

IoT遠隔監視で灯油代1200万円削減を実現 -エコモットCEO入澤氏インタビュー

 
-どうもありがとうございました。何年くらい前からやられてるのですか?

もう僕らはもうIoT専業で10年やってきています。昨今の会社さんみなさんマーケティングとか見せ方が上手なので、なんかすごいなーと思うのですけど、やっぱり実績があるっていうのが僕らの強みだなあと思うのです。

 
-もともとなぜでエコモット社つくろうと思われたのですか?

もともとクリプトン・フューチャー・メディアという会社で、着信メロディーの配信をやってたのです。着信メロディーの配信って、仕事としてどうなんだろうとういうのがあって、お客さんの顔が見えなかったのですよ。

その時にたまたま知り合いのアパート持っている人が会社辞めるって時に、自分はアパートを持っているのだけど駐車場に毎晩スイッチ入れに行っているので、携帯から操作できないものか、と言われて、「簡単にできるんじゃないですか?」みたいな感じで。で、やったらこれ商売になるかなと思って。

 
-初めはお知り合いの物件の前の駐車場の話だったのですね?

そうそうそう。だからこれがやりたくて起業したってわけでもないのですよ、たまたま偶然なのです。

ITはツールでしかないって僕の思いなので、IT化することが全てじゃない。ITはツールとしていかに社会の問題解決というか。その時に雪の問題、燃費の問題を、エコを実現しようかとかんがえていました。

 
-今後もいろいろ向こうからやってくる課題に立ち向かって行くって感じですね。

そうです。やっぱ自分たちから仕掛けていかなきゃいけないと思っていて、特にもう僕は防災分野をすごく頑張りたいなと思っているのです。IoTって人の命救えるじゃないですか。例えば広島で土砂災害がありました。われわれもいっぱい検知するセンサーいっぱい付けて土木工事やっていますけど、あれがもしあれば、ちょっとアラート出してあげて、逃げてって言えれば逃げられるわけですよ。

御岳の噴火の時も微細動の地震計が本来あるのに、それが壊れていたということもありました。センサーって本当は人の命救えるのですよ。測っているだけではダメで、ヒトに知らせてあげて、認知させてあげなきゃいけないので、そこまでやりたいなあと。それでとにかく防災を実現していきたいというのが、僕の想いです。

 
-なるほど、ありがとうございました。

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