TDK、センサ事業のさらなる発展を目指し、TDKの子会社EPCOSによるTronicsを買収

TDK株式会社とTronics Microsystems SA (以下、Tronics)は、TDKの完全子会社で、ドイツのミュンヘンに本社を構える電子部品、モジュールおよびシステム製造のEPCOS AGとTronicsが株式公開買付け契約を締結し、その契約に基づきEPCOSがTronicsの全ての上場登録株式を一株当たり13.20ユーロで買い付ける株式公開買付けを開始することについて合意した。

完全希薄化後の株式価格ベースで、約4,865万ユーロの取引となる。これはTronicsの株式取引停止直前の取引日、2016年7月7日における株価の終値に78.4%のプレミアムを上乗せした価格で、同株式取引停止前の60取引日間の加重平均価格に62.1%のプレミアムを上乗せした価格となる。

TDKは戦略的パートナーとの事業提携やM&Aを通じて、成長戦略製品の拡大を加速させている。その中でも、センサ事業の拡張はTDKの重要な戦略の一つだ。Tronicsを買収することによって、温度、圧力、磁気(TMR※1)を含めたTDKの最先端のセンサ技術ポートフォリオを更に拡大することができる。TronicsをTDKに統合することによって、産業機器分野、自動車分野、ICT分野の慣性センサという成長市場において新しい機会を開くものとなり、TDKはそのセンサ事業を大きく発展させ、顧客に幅広いセンサソリューションを提供することを目指している。

Tronicsは1997年創業で、フランスのクロルに本社を構え、ヨーロッパとアメリカにウエハの工場を持ち、アジアにも拠点を持っている。三大陸にまたがって顧客サポートを行い、業界でも広範囲にわたる技術ポートフォリオを提供しています。TronicsはMEMSの設計から量産を行っている。

同株式公開買付けは2016年9月初頭の申請を予定。同株式公開買付けの実施はフランス関係当局の事前許可を条件とし、買収の成立はEPCOSがTronicsの発行済み株式の66.67%を取得することを条件としている(※2)。Tronicsの既存株主はTronicsの発行済み株式の53.21%に当たる株式の買付けに応じる意向を示している。また、Tronics CEOのPascal Langlois氏を含めた経営陣は、同株式公開買付けの成功率に応じて保有するストックオプション付き株式及びBSPCE 135,000株を売却することに関してEPCOSと合意している。

Thales AvionicsはTronicsに20.9%出資しているが、EPCOSに対して、引き続きTronicsの株式を戦略的に保有し続ける意思を表明している。EPCOSおよびThales Avionicsは、Tronicsに関する、両者間の関係を定めるための協議を開始し、当該公開買付が成功した場合、株主間契約を締結することについて合意した。売却制限期間中の株式を保有する個人株主に対しては、売却のための特別な手続きが別途提示される。

デバイスの小型化が進む中で、MEMS技術はセンサ市場で一段と重要性が増している。Tronicsはこの市場動向をサポートし、小型化されたセンサソリューションの全く新しい可能性を切り拓く。Tronicsの現在のポートフォリオには、一つのパッケージに複数のセンサ機能が搭載された慣性センサソリューションを可能にするMEMS技術がある。このような小型化されたセンサは、産業用、自動車用、航空機用、IoT用などの成長が期待されるアプリケーションのキー部品として、例えば、より安全な産業用ロボット、自動運転車、ドローン配達サービス、自律型家庭用電気製品などの実現に役立つことが期待されている。

慣性センサの他にも、Tronicsの技術のポートフォリオには、ガスセンサ、赤外線センサ、マイクロミラー、マイクロ光学、マイクロアクチュエータや、先進的なバイオMEMS、体外診断およびDNA分析用のマイクロ流体装置などがある。Tronicsは、慣性センサのコンピテンスセンターとして機能し、その独自の製造技術によってMEMSソリューションを提供する予定だという。

Tronicsの取締役会は、TDKと組むことはTronicsの戦略、業務、財務面において重要な意義があり、困難な市場におけるTronicsの発展と成果を確実にすると述べている。同株式公開買付けによって、株主は2015年初めの新規株式公開当時の株価で売却することができる(株価は新規株式公開以降大幅に値下がりしている)。これに関して、Tronicsの取締役会は全会一致で同株式公開買付けを支持すると決議し、TDKによる株式公開買付けについて予備推奨を行っている。

Tronicsの取締役会は、公正性に関する意見書を受理し、株式公開買付けに関する従業員との情報交換を行った後、Tronicsの株主に対して同株式公開買付けを受け入れるようにという最終推奨を伝達する予定だという。

※1 TMR:トンネル磁気抵抗
※2 同成功基準は、企業設立者持分出資債権(BSPCE)であるTronicsの株式、および取消不能な先物販売契約の対象となるストックオプションを考慮に入れて引き下げられる。その結果、これらの株式の交付により、本募集後に66.67%の基準値に達することができる。

【関連リンク】
ティーディーケイ(TDK)
Tronics
エプコス(EPCOS)

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