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農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー

センサーで情報を取得してモニタリングするだけではIoTとは言えない、というのはもっともだが、農業の現場ではそれだけで十分大きな役割を果たすこともある。

モニタリングすることで数千万円の被害を防ぐことができるのであれば、農家にとって今後IoTは必要不可欠になるのではないだろうか。

今回、温室内環境遠隔モニタリングシステム「みどりクラウド」を開発した、株式会社セラクみどりクラウド事業部 担当責任者に話を伺った。

 
-御社について教えてください。

私たちセラクは、今期で30期目 を迎えるいわゆるSIerになります。東証マザーズに上場していまして、現在約1,100名の社員がおり、ほとんどが技術者です。これまではお客様のシステムを作ったり、WEBサイトの構築だったり、インフラの構築というのをやってきたのですけど、培ってきた技術を新しい分野で活かしていきたいと考え、IoTに関しての取り組みを2011年から初めています。

最初にスマート洗面台というのを作り、洗面台にAndroidを組み込んでインターネットつなげました。鏡の中にいろんな情報が出てくるので、自分の顔を見ながらニュースチェックや、体重を計ったり、カメラで写真を撮ったり、天気予報を出したり、そういう機能を持っていました。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー
スマート洗面台

 
-2011年は導入のタイミングが早いですね。

当時は、まだInternet of Things という言葉自体がそんなに世の中には出ていませんでした。われわれもIoTをやろうと思ってそれをやっていたわけではなくて、私たちが持っているAndroidの技術を、なにかスマートフォン以外の用途で使えるんじゃないかという事で、取り組みをしたのがきっかけでした。

 
-製造はどうされたのでしょうか。

実際は試作品として1台作ったのみなのですけど、ハードウェアの筐体部分はかなりお金をかけて工芸家さんに頼みました。鏡自体も1mくらいあるので、都内では加工はできないという事で、工芸家さん経由で筑波の方に持って行ってもらって、筑波でカッティングして。金属加工に関しては、金属加工の工芸家さんが高尾の方にいらっしゃるという事で、そちらでやっていただきました。

発表した時は多くのメディアに取り上げて頂きまして、トレたまや、海外のウォール・ストリート・ジャーナルにも載せて頂きました。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー
左:株式会社セラクみどりクラウド事業部 担当責任者/右:IoTNEWS代表 小泉耕二

 
-結構みんな思いつくのですが、なかなか製品化まではいきません。鏡の裏側にディズプレーにするのは結構面倒くさかったり、Android入れとくのはいいけど、通信モジュールどうするんだとか。通信モジュール入れるとえらく高くなっちゃうので。そこどうしようみたいな事で、開発したいと思うものの製品化しようと思ったら、今はまだ安くなってる方だと思いますけど、それでもコンシューマーの手に届くような金額じゃ作れないので、気軽ではないですよね。

うちが作った時もやはりかなりコストがかかったので、これでは個人ユーザー向けは無理だなと思いましたが、例えば商業施設などはすごくマッチしそうだなとは思っていたのです。それは商品化しようというよりは、今で言うIoTの可能性のというのをちょっと探ってみようと言う取り組みでやって、試作開発をしました。

その次に作ったのが、スマート野菜工場です。私は農学部出身で、役員にも農業が抱える問題に強く関心を持っていたメンバーがいますので、ちょっと洗面台とは違う切り口でやってみようという事で、小さい植物工場を作りました。

その植物工場の環境制御や、環境のモニタリングにはAndroid使いました。単純に制御とかモニタリングだけだと面白くないので、今度は透明の液晶パネルを使って、中の様子を見ながらそこをタッチパネルで操作をして、環境を制御できるというものを作りました。

 
-サイズ的にはどれくらいのサイズなのですか?

電子レンジよりちょっと大きいくらい。オーブンくらいの大きさですかね。だからそれで農業生産をするというよりも、例えば店舗に置いていただいて、そこで育てた野菜で料理を出してもらうイメージです。

そういう取り組みをしていた中で、無謀にも農業向けの展示会に出しまして(笑)。見た目はすごく未来っぽいのでウケるかなと思ったら、その未来っぽいところはどうでもよくて、モニタリングというところに皆さんすごく関心を持っていただきました。

スマホでチェックできるというのはすごくいいというお話を、何件かの農家さんから頂きまして、これはひょっとしたらニーズがあるのではないかという事で作ったのが、今のみどりクラウドというサービスです。

また、社内に組み込み技術を持っている部門があったり、通信インフラに強い部門があったりという環境があったことや、「農業IT」というテーマが市場性や成長性といった面で実はとても大きな可能性を持っているということも事業化の後押しとなりました。
あと、当社は、以前からITをつかって地方が抱える問題を解決するということを一つの目標にかかげていろいろ取組みをしてきたんですが、みどりクラウドで農業が元気になれば地方の活性化につながっていくという点でも会社にマッチしていたんだと思います。

 
-なるほど、そういうステップがあったのですね。どういうサービスなのかというのを教えてもらえますか?

 

みどりクラウドとは

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー

みどりクラウドはセンサーボックスで、これをハウスの中に置いていただくと、ハウスの中の環境を2分おきに計測し、そのデータをクラウドに上げます。クラウドに上がったデータを各種いろんなデバイスで確認をしていただいて、その環境を離れたところで確認ができるという事と、リアルタイムで計測をしていますので、異常があった場合それを検知して、ユーザーさんにお知らせをするという機能であります。

 
-異常とはどういうことが起きるのでしょうか。

例えば夏に窓を閉めきっているとすぐ40度50度になります。40度50度になると植物は死んでしまいます。冬場は逆にほっとくとどんどん温度下がっていって0度近くになるのですけど、それでもダメになってしまいます。

ハウスは、冬場はボイラーをたいています。ボイラーが自動でオンオフをして温度調整をするような装置がはいっているところもあるのですけど、例えば重油が切れていたとか、コンセントが抜けていたとかという事でそれが上手く働かなくて、低温になって植物をダメにしてしまうというケースが結構あるのです。そういう異常を検知してお知らせをすることができます。

実際、みどりクラウドを導入された方で、そういうケースも何件か出てるのですけど、これまでにうかがった中で最も金額が大きかったのは3千万円の損失が防げたという事でした。

そこは、完全に自動で環境制御をする先端的なのハウスだったのですけど、去年の12月の深夜に、おそらく一気にボイラーのスイッチが入ったのでしょうね、ブレーカーが落ちました。たまたま農業用の高電圧の系統と、みどりクラウドで使っている100ボルトの系統が違う系統だったので、200ボルトの方だけ落ちて、みどりクラウドずっと生きていて監視をしてて、アラートがバンバン飛んできたということでした。

 
-電源系統を分ける事も、実は重要だったりするわけですね。

結構重要かもしれないですね。ただ、電源の系統が分かれてなくても、みどりクラウドが死んでいる状態の時っていうのは、警報もきますので、それがもしひとつの系統だったとしても検知することは可能です。

 
-みどりクラウド自体のセンシングというのは、どういうものをセンシングしているのでしょうか。

みどりクラウドはセンサーで気温、湿度、培地温度(植物が植わってるところの温度)、土壌水分、日射量、CO2濃度の計測をおこなっていて、さらに、カメラをつかって写真を撮っています。

センサーで直接得られるデータをもとに、計算で出しているのが飽差という指標です。農業で専門的に使われている指標なのですが、この空気中にあとどのくらい水が入るのかという事を示しており、光合成速度に密接に関連をしています。その飽差と日照時間、それから積算温度を自動で算出をして表示をしています。

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-グラフになったりするということだと思いますが、ハウス以外では使われるシーンというのはありますか?

もともとわれわれはハウスでの利用というのを想定していたのですけど、露地栽培での利用というのも増えてきました。ブドウやサクランボ、最近だと水田でも使われているケースも出てきています。

 
-それは路中の温度などを見たいという用途なのでしょうか?

そうですね。伺ってみると、例えばブドウはすごくセンシティブな作物なので、その環境を確認するために導入されたそうです。また、水田で利用されている方は、どういう環境でどういうふうに育てられていたかという記録を取って、それを消費者に伝えるために導入したということでした。

 
-トレーサビリティですね?

そうです。消費者に安心して食べていただくという事で、プランディングの一環でやっているという事です。

 
-アグリIoTだとその時に採れた作物の量とかを見たり、そのセンシングした状態で例えば種を植えるところから収穫するまでの間を見て、その時の天候どうだったなど、取れ高に対して次にも活かすみたいな事やっている人たちもいると思うのですけど、そういった事はやられるのですか?

まさに8月9日にリリースした機能で、作業記録、圃場の記録を付ける事ができるようになりました。そこでどういう作業をいつやって、どういう資材、資材というのは農薬や肥料を使って、虫が出たとか病気が出たとかですね。あとは収量がどのくらい採れたかという記録も付けていくことができるようになりました。

私たちは先に環境モニタリングをやって、その作業記録を追加機能的に実装したのですけど、それは農家さんがITを農業に使いたいと思った時に、何かをスマホを使って入力をするって、結構ハードル高いなと思っていたんです。それでまずは何もしなくてもいいところからスタートしたいなという事で、モニタリングからわれわれは始めたというところですね。

そういうところで、ITは少し農業に役に立ちそうだなという事気づいて頂ければ、おそらく記録を付けるモチベーションにもなりますし、そういうデータ入っていくと、今度はさらに先ほどおっしゃったような例えば市場予測とか、病気の予測とかというところにサービスの範囲を広げていく事ができるかなということですね。

 
-予測的なものも今後入っていく予定はあるという事ですね?そうするとちょっとした人工知能や機械学習などが入っていくイメージでしょうか。

はい、そうですね。農業への人工知能や機械学習の応用には大きな可能性があると考えています。特に、収量の予測や市場価格の予測に応用できるのではないかと期待しています。

 
-そこも自社で作られるのですか?

そうですね。現在、研究に着手しているところです。みどりクラウドはMicrosoftさんのAzureを使っていますが、そこで提供されている機械学習のPaaSを使っていこうかなと思っています。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セ
IoTNEWS代表 小泉耕二

 
-あと最近アグリ系で言われていることだと、ひとつの農地があったとして、温度センサーを挿してる場所によって温度が違って、どれを採用するかわからなくなるそうです。

そこに対して、どの場所の数字を信じたらいいのか分からない、という話が出てると思うのですけど、その辺は御社の場合はどのようにされているのですか?

まずわれわれのみどりクラウドの考え方としては、一般的にはハウス1棟に対して1台あれば十分だと考えているのです。確かにハウスの中の環境にはいろいろ偏りがありますけれども、ハウスを管理する時というのは多くの場合は全体管理で、全体を開けるか閉めるかとか、全体にCO2まくかまかないかとうい管理の仕方になります。

そういう意味で言うとひとつの代表点というのを決めて、そこを基準にして判断をして頂ければ十分かなと思っています。

ただ、最近の次世代の施設園芸という規模になると、棟をつなげてものすごく広い面積で栽培されているところもあります。ハウスの中の面積が数haあるハウスだったりするのですけど、確かにそういうところだと、環境の差というのが温度も違いますし、湿度も変わってきます。そういう広い施設でも使えるようにという事で、今回新しいバージョンのセンサーボックス「みどりボックスPRO」を用意しました。

 
-それはどこが違うのですか?

今までのみどりクラウドで提供していたセンサーボックスの「みどりボックス」はセンサーが6種類、7系統で、各種センサーが3メートルのケーブルで繋がっています。それが「みどりボックスPRO」では、最大16個まで装備可能になり、ケーブルも50メートルまで伸ばすことができますので、それだけ広い圃場・施設であった場合でも、面的にデータを取ることができます。

 
-さっき代表点を決めるっておっしゃっていましたが、代表点ってどうやって決めるのですか?

一番ベターなのはハウスの真ん中ですね。窓の近くとかだと、外気の影響すごく受けやすくて、偏っちゃうのですよね。そういう意味ではできるだけハウスの中心に設置して頂くというのをお願いしています。

防水性能も上がっていまして。例えばこっちだとACアダプターなのですけど、これは中に電源周りが入っています。

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左:旧型、右:新型

 
-外置き用の機材に変わっていますよね。古い方(左側)だとわりと家置き用というか中用のユニットっぽいですけど、右側のこの作りだと外置き用ですよね。隙間のところにパッキンを入れたり、工夫もきっとされたのでしょうね。屋外に耐えられて、風水害だとか気温の問題に耐えられるものは、それなりの機材じゃないと難しいですよね。

実は旧端末の方でも露地で使っている例もありますし、露地だからといって壊れているという事はないのですけど、やはり安心して使っていただくためにコネクター部分の強化を行いました。完全防水コネクター型にする事で、より強力な防水性能を持たせています。あと細かいですがLEDを表示する部分に関しても防水対応をしています。

あとみどりボックスPROでは土壌水分のセンサーが変更になります。新しいセンサーでは土壌水分のほかにEC(電気伝導度)が測れるようになる予定です。ECは土壌や水の肥料濃度の指標として使われています。

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土壌水分センサー
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温湿度センサー
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CO2センサー
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日射量計

この白いタグ状のものは温湿度計です。白い箱がCO2、丸いお餅型のものは日射量計、カメラはウェブカメラを使用しています。

今回「みどりボックスPRO」をあらたに発売しますが、旧型の「みどりボックス」も継続して販売を続けようと思っています。それは何故かというと、「みどりボックス」は8万9千円なのですけど、「みどりボックスPRO」は基本セットで12万8千円です。各種センサーいろいろ揃えると、「みどりボックスPRO」は多分20万円近くなっちゃうので、なかなかまだ使った事のない方が買うには厳しいかなと思っています。

 
-エントリーモデルの方は8万9千円で6個のセンサーも付いてくるのですか?

はい。CO2以外は付いてきます。新しい「みどりボックスPRO」は箱と電源とカメラと温湿度系が付いてきて、あとのセンサーはそれぞれ別売りです。

 
-本体の接続端子をみていると、16系統付かない感じがするのですけど?どうやって16系統付けるのですか?

コネクター自体は6つしかないのですけど、二股に分けることができるのです。

 
-設定をするときは、御社にお願いしないとできないものなのでしょうか。

われわれがオーダーを受けると、それぞれの農家さん用にセットアップした状態でお送りしますので、ユーザーの方は箱開けて電源差せばもうすぐ使えると言う状態です。センサーの固定だけ農家さんに行っていただいてます。

 
-クラウド側というのは基本的にはAzureで提供されているとおっしゃっていたので、インターネット接続で見れるということですよね。

そうです。うちの特徴は、スマホ・PC・タブレット、みなさんやられていると思いますけど、ガラケーにも対応しているという点です。ガラケーだとグラフは見られないのですけど、現在の値と最高値・最低値・平均値というのは見る事はできます。

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ガラケー画面

 
-アラートはメールで飛んでくるのですか?

そうですね。メールで飛んできます。あとガラケーでも写真は見れます。現在の写真ですね。

農家さんも最近ほとんどスマホの方が多いのですけど、それでもやはり現場にいるときはガラケー使うという方が多くて、ガラケー版を開発しました。

 

みどりクラウドデモ画面

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こちらは、今、神奈川で利用されている5件のみどりボックスのデータになります。

 
-左側は共有している状態なのですね。

そうですね。共有するとそれぞれこのようにデータを見る事ができるようになっています。

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スマホ画面

 
-それは何度と設定しておいて、それを超えたらメッセージが来るということですか?

はい。そうですね。それぞれの測定項目について、上限値と下限値の閾値を設定することができます。その値を上回ったり、下回った場合に警報が飛んできます。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー

最近複合グラフという機能ができまして、これは何ができるかというと、全ての測定項目をひとつのグラフで表現する事ができるのです。環境はだいたい複数の項目が連動していたりするので、そういったことを確認することができます。

今、実線と破線が出ていますが、現在と過去を比較したり、自分の圃場と隣の圃場の環境データを比べて見る事ができるようになります。

ちょっとこれが面白いのが、病気の話です。実線が一般の農家さんで、破線が篤農家さんなのですが、見ていただくと篤農家さんはゆっくり落ちて、ゆっくり上がっていくのです。一方で一般の方はストンと落ちて急激に上がっていくのが分かると思います。一般の農家さんはここで結露が出て病気が出ちゃったので4月の収量が落ちちゃったのです。

病気が出ると、薬を散布することになります。一方で篤農家さんは何もしなくても湿度のコントロールだけで病気の発生を防いでいらっしゃるという事がこれで分かるという事ですね。

あとは計測しているデータだけではなくて、気象庁のGPVデータと連携していまして、圃場(ほじょう:畑)のピンポイント予報というのを出しています。GPVデータは5キロメッシュのデータなので、圃場から最大離れても2.5キロ以内なので天気予報よりも細かい予報になっています。
例えば雨が降ることが分かっていれば、それまでに窓を閉めることができます。あとは、突風が吹く場合には、突風用の対策をすることができます。例えばファンを全開にして中を負圧にすると突風が吹いても飛ばないようになります。

 
-風を拮抗させるわけですか?

そうです。突風が吹くの分かっていればそういう対策が取れるのですが、分からずに突風が吹くとハウスが飛ばされてしまうことがあるので、先に知ることが大事なんですよね。

あとはカメラで撮った写真を見ることができます。写真はスライドショーで連続再生でき、アニメーションみたいに動く事もできますし。一覧で見る事もできます。私たちは、写真はそんなにいらないだろうなと思っていましたが、実際導入している方は実は写真は今一番よく見ているようです。

 
-すぐに状態を見られるからですか?

そうです。私たち環境計測して数字で表していますけど、数字だけでは分からないデータを写真で見て分かるという事です。

 

生産者ネットワークを作っていきたい

 
-この商品は今後どのように成長させていこうと思われているのでしょうか。

私たちはできるだけ多くの方に使って頂いて、機器の販売だけでなく生産者の方のネットワークを作っていきたいなと思っています。その中で多分いろいろサービスを提供できる事があると思いますので、先ほど申し上げた市場予測だったりとか病気の予測とかですね、そういうのも含めて何かサービスを継続して提供していきたいなと思っているところです。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セラク「みどりクラウド」インタビュー
設置生産者

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-スマートアグリではみんな注目してる分野だと思うので、この分野をやってく人たちも多い一方で、発展していけるかどうかっていうのもなかなか一筋縄ではいかない分野なのかなと思っています。

やっぱりその多くの原因はきっと種蒔きから収穫までの期間が長いことです。それに対して買ったら結果が何か出るのじゃないかと思っている人たちがまだまだいるという、この差なのかなと思っています。

収穫してそれを例えば2回3回繰り返していく中でだんだん知見が溜まってきて。アラートなんかはそういう事じゃなくて明日から使える事なのだと思いますけど、データ取るっていう事の重要性は長いものであれば本当丸1年かけてみたいなものもあるでしょうから。

確かにおっしゃる通りで、農業の場合、1年間がワンセットです。1年分の知見は1年かけないと得ることができないんです。
ところが、みどりクラウドでは貯めたデータを、今後他のユーザーさんと共有できるようになります。今までは1年間やってようやく1セットのデータが貯まっていたのですが、他のユーザーさんのも含めると、ユーザーさんの数だけデータ集まるわけですよ。それを共有していただき比較する事によって、これまでよりも早く農業生産技術というのを高める事ができると思います。

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―それこそ機械学習の出番ですよね。農業界のGoogleになるかもしれないですよね。

そうです。そこ目指して。機械学習が入らなくても、今神奈川の方でやって頂いているのは、篤農家(とくのうか)さんと新規就農の方のデータをひとつの画面で見れるようにしています。

※篤農家とは:生産量が多かったり、利益を出されている優秀な農家さんの事。

そういう人たちのデータをひとつの画面で見ることによって、そのデータ見ながら議論をして頂く事で、いろんな今までよりも早く新規就農の方が理解して生産性を上げるという事を実現して欲しいです。

 
-農家の方々と共に歩める感じが、すごく私は印象を受けたので、面白いなって思います。

ありがとうございます。まさに私たちがターゲットとしている生産者・ユーザーさんというのは、大規模施設園芸をされている方ではなくて、いわゆる個人経営・家族経営でやられているような農家さんに、是非ITをちょっと活用して頂きたいなというところなので。まさにおっしゃる通りだと思います。

 
-呼ばれたら全国飛び回っていかれるのですか?営業の方は?

今飛び回っています(笑)。われわれ全国に拠点もありますので、その拠点を中心に対応していくという事ですね。あとは今、代理店さんというのを集めていまして、代理店さんが全国各地にできれば、代理店さんの方でもサポートができるかなと思っています。

農業IoTで3,000万円の損失を防いだ -セ

 
-最後に農家さんに何かメッセージはありますか。

私たちのサービスってまだまだ入口で、これからどんどんサービスラインナップを増やしていって、最終的にはやっぱり儲かる農業というのが実現できる仕組みというのを提供していきたいなと思っています。是非農家の方と一緒にサービスを育てていきたいなと思っているところです。
それと、農業IoTというと流行りというか、ITの世界の中でのバズワードのように言われますが、一過性のものではなくて、「環境モニタリングデータの蓄積と活用が、農業生産、ひいては日本の農業の未来に繋がる」というように役に立ってこそ意義があると考えています。農家さんにはぜひ「みどりクラウド」を試してみてもらいたいです。

 
-非常に面白かったです。ありがとうございます。

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