ルネサス、自動運転に必須となるカメラ応用ソフトウェア開発がオールインワンで可能な「ADASビュー ソリューションキット」の第二弾を開発

ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下、ルネサス)は、次世代サラウンドビュー、ミラーレス(注1)、ドライバーモニタシステム(注2)などのカメラを応用したADASアプリケーションの開発を加速する「ADASビューソリューションキット」を開発した。昨今、自動運転やADASアプリケーションでは、車の周囲を認識するために、車載カメラやレーダーなどのセンサから得た情報を融合して処理をするセンサフュージョンを行うことが主流となっている。今回ルネサスは、センサとして複数のカメラを使用したセンサフュージョンを実現できるよう、同キットが開発された。

このキットは、2016年10月19日に発表された車載ソフトウェア開発環境「R-CarスタータキットPremier」をベースとした、カメラ応用システム向け拡張ソリューションキットで、標準で4個のカメラを搭載しており、最大8個まで追加が可能。サラウンドビュー用のサンプルソフトウェアと、画像の歪み補正を行うキャリブレーションソフトウェアも含まれており、ADASアプリケーション向けソフトウェアの開発をオールインワンに実現。2015年の10月8日に発売されたADASサラウンドビューキットの第二弾となる。提供時期と価格は未定。

サラウンドビューをはじめ、カメラを応用したアプリケーションは、快適で安全な運転を実現する重要な技術だ。サラウンドビューは今後、画像認識技術などとの組み合わせで、見落とし防止や周辺の監視へと発展するだけでなく、ミラーレスやドライバーモニタなどのアプリケーションと複合したより高度な運転支援機能へと発展が期待されている。

ミラーレスにおいては障害物検知技術によるドライバーへの注意喚起や、視点のアングル変換による見やすさ向上、さらにドライバーモニタでは、自動運転のLevel3(注3)以降で必要になるドライバーと車での自動運転の切り替え判断のためのインタフェース技術など、発展が期待されている。

ADASサラウンドビューキットの第二弾である同キットは、こうした新しいアプリケーションを見据えて、最大8つのカメラの搭載が可能だという。同キットのベースとなる車載ソフトウェア開発環境「R-CarスタータキットPremier」には高いコンピューティング性能を実現する車載用ハイエンドSoC「R-Car H3」が搭載されており、カメラを応用したADASアプリケーションの開発をすぐにスタートすることが可能となる。「ADASビュー ソリューションキット」の主な特長は以下の通り。

サラウンドビュー、ミラーレスなどのカメラ応用アプリケーションに対応する8つのカメラの搭載が可能

標準キットには4台のカメラが同梱されており、追加することにより最大8つのカメラの搭載が可能。同梱されるカメラは、オムニビジョン・テクノロジーズ(OmniVision)製の車載向けCMOSセンサ内蔵の高画質1.3メガピクセルカメラを搭載したIMI(Integrated Micro-Electronics, Inc.)製を採用。カメラネットワークはマキシム・インテグレーテッド製ギガビットマルチメディアシリアルリンク(GMSL)で構成され、効率的な開発が可能。

サンプルソフトウェア搭載のオールインワン ソリューション

「ADASビュー ソリューションキット」には、3Dダイナミックサラウンドビュー用のサンプルソフトウェアと、CPU、GPUを使うことなくサラウンドビューを実現できるスタティックサラウンドビュー用サンプルソフトウェア、さらに歪補正を行うキャリブレーション用ソフトウェアも含まれており、カメラ応用アプリケーションのオールインワン開発が可能。

なお、ダイナミックサラウンドビュー用のサンプルソフトウェアはバイナリコード(注4)で、スタティックサラウンドビュー用サンプルソフトウェアとキャリブレーション用ソフトウェアはソースコード(注5)での提供。

車載用ハイエンドSoC 「R-Car H3」を使用した高性能なADASアプリケーションの開発が可能

  • 「R-Car H3」はイマジネーションテクノロジーズ社製PowerVR GX6650を搭載。
    「R-Carスタータキット Premier」に搭載されているSoC 「R-Car H3」にはイマジネーションテクノロジーズ製PowerVR GX6650を搭載。360度、ダイナミックに視点を変えられるサラウンドビューを高画質で実現可能。
  • CPU、GPUを使用することなく、スタティックサラウンドビューを実現できるイメージレンダリング技術(IMR)搭載
    「R-Car H3」に搭載されているルネサスのイメージレンダリング技術(IMR)は、CPUやGPUを利用することなく、複数点のあらかじめ設定したビューポイントでサラウンドビューを実現することが可能。サラウンドビューで求められる画像認識機能や、HMI(Human Machine Interface)のグラフィックスなど、SoCの限られた処理能力を有効にさらに高度なアプリケーションをワンチップで実現する場合に有効。
  • 最大4Kの解像度に対応
    ルネサスのビデオプロセッシングユニットによってカメラ画像を合成することにより、最大4Kのサラウンドビュー画像を重ね描きすることが可能。幅広いカメラ応用システムに対応。
  • 障害物検知などの画像認識へも対応
    「R-Car H3」は、自動運転時代の車載コンピューティング・プラットフォームとして、ARMの64ビットアーキテクチャCPUコア「ARM Cortex-A57/A53コア」を採用し、40,000DMIPS(Dhrystone Million Instructions Per Second)(注6)以上の処理性能を実現。また、グラフィックスコアにイマジネーションテクノロジーズの「PowerVR GX6650」を搭載、OpenCLにも対応。さらに画像処理やディープラーニング処理などに最適な構造を持つルネサス独自の並列プログラマブルコア「IMP-X5」が搭載されており、自動運転に求められる高度な計算処理の実現が可能。

同社は新キットを、自動運転向けソリューションの主力ソリューションの一環として位置づけ、ADASアプリケーション向けソフトウェアの開発スピードを加速させられるよう、今後も積極的に展開、サポートしていくという。

(注1)ミラーレスとは、バックミラーやサイドミラーの代わりに、カメラとモニタを備えたシステム
(注2)ドライバーモニタシステムとは、ドライバーの顔をカメラで撮影して状態をモニタリングするシステム
(注3)自動運転のレベルには、例えばSAEインターナショナル(Society of Automotive Engineers International)ではレベル1からレベル5までを定義しており、レベル3とはクルマの加速・操舵・制動全てをシステムが行う状態で、システムが要請した時はドライバーが対応すること。レベル4、5は、完全自動走行システムと呼ばれ、ドライバーが走行に全く関与しない。
(注4)バイナリコードとは、コンピュータが直接理解できる言語で書かれたプログラム。
(注5)ソースコードとは、人間に理解できるプログラム言語で書かれたプログラム。
(注6)DMIPS(Dhrystone Million Instructions Per Second)とは、Dhrystoneベンチマークプログラムを実行して算出した、コンピュータの性能指標の1つ。

【関連リンク】
ルネサス(Renesas)
オムニビジョン・テクノロジーズ(OmniVision)
IMI(Integrated Micro-Electronics)
マキシム・インテグレーテッド(Maxim Integrated)
イマジネーションテクノロジーズ(Imagination Technologies)

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