中国政府が進める「中国製造2025」の現状、製造業のスマート化とは[海外動向]

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中国政府は製造業の高度化を目指し、2015年に「中国製造2025」を策定した。ドイツのインダストリー4.0の波を受け、中国は製造業の品質管理から始まり、クラウドコンピューティング、IoTなどを通じて製造業のスマート化を進めているということで、直近一年半ほどの変化を見ていく。

「中国製造2025」に関わる企業動向

中国政府機関である中国工業情報部は、すでに中国全土で数百以上のプロジェクトを推進し、製造業やメーカーにも協力を求め、製造業の高度化を目指している。

GE、中国スマート航空工業へ製造企業との連携

GE・アビエーションは、世界最大の航空エンジンメーカーで、民間航空機エンジンの市場の多くを占めている。GEにとって、新製品を開発し市場を獲得することが目的ではなく、製品を売った後にエンジンに付けられたセンサーでデータを収集・分析し、自社のサービスをより改善しつつ、サプライチェーンの技術と情報システムの変革を航空業界で進めることは重点だ。

GEは航空産業におけるエンジンやタービンの製造技術に関して豊かな経験を持ち、世界中の多くの企業と共同製造・開発を実施している。特に、PredixというIIoT(Industrial IoT)の開発プラットフォームを通じて、GEは航空産業向けのアプリケーションを多く展開することで、航空機部品のデータ管理と監視をより効率的にすることができた。中国東方航空会社などの企業はすでにGEが開発したIIoTプラットフォームを利用していて、エンジンのセンサーから送信されたデータにより、ジェットエンジンなどの部品を監視・管理をしているという。現在、中国の航空産業の総合力をより強化するために、中国航空機メーカーにおいて、第1位である中国航空工業などの企業は、研究センターと共に、先端技術の発展を推進してトップクラスの航空製品を製造することを目指している。

GEが中国での事業を展開すると同時に、中国航空工業の傘下企業、航空物流会社である中航国際物流は同社の物流ネットワークを活用し、都市部で自動化倉庫を設立する計画を発表した。スマート管理システムによって生産性を高めていく計画に、GEは協力する。(参照記事:航空工業のスマート化

インテルとフォックスコンの傘下のインターネット企業「Cloud-Wyse」が提携

インテルのConnected-Machine Solutionに基づいて、インテルと台湾フォックスコンの傘下会社であるインターネット企業 Cloud-Wyseは、フォックスコンのスマート工場建設に関する提携を発表した。特に電子製品の組立ラインをより強化していくことが狙いだ。

現在、工業設備がIoT化し、膨大なデータを収集・送信することは非常に重要となっている。インテルのconnected-machine solutionはエッジコンピューティングの技術を利用して、データをより効率的に管理・分析することができるという。今後、インテルはCloud-Wyseと協力しスマート工場への変革を目指している。(参照記事:中国製造2025:インテル

インダストリー4.0と中国製造2025の連携を背景にした、ドイツと中国企業の協力

ドイツの工業用マシンメーカーであり、金属加工のソリューションプロバイダーのSW社は、製造業が発展している中国都市蘇州(ソシュウ)市で新たな工場を建設した。インダストリー4.0と中国製造2025の連携を背景に、SW社はこれから優れた生産技術を中国産業へ紹介し、ローカル企業と共により先進的な製造エコシステムを構築する。

SW社が蘇州市で工場を新設することは、同社が中国での事業を発展する重要なマイルストーンだ。SW社は中国顧客に迅速にサービスを提供するために、革新的な技術を開発することを目指している。(参照記事:SW社、新工場は蘇州で設立

日中企業、富士通と上海INESA社、「スマート製造プロジェクト」での連携

中国政府が「中国製造2025」の戦略的構想を打ち出して以来、富士通と上海市にある電子機器メーカーINESA(国営大型企業)は積極的に、IoTやビッグデータなどの情報通信技術を活用してスマート工場の設立に関する課題に共同研究を行っている。現在の業務の状況に合わせて、自動生産ラインや製造管理システムなどの製造エコシステムをより効率的に建築するために、「スマート工場製造プロジェクト」というロードマップを作成した。

このプロジェクトは、「工場のIoTデータ活用基盤の構築」、「ビッグデータ分析プラットフォームの構築」、「工場全体の効率性を可視化するシステムの構築」と「スマート工場成熟度評価基準の策定」という4つの部分に分けられている。本プロジェクトを通じて、富士通とINESAと協力し、中国の顧客の多様なニーズに応じて中国の製造業をレベルアップする革新的な事業に力を注いでいる。(参考記事:富士通プレスリリース

中国政府は、中国製造2025の政策を全国に普及し、実施することを重視している。製造業のスマート化に向けて、生産品質管理と革新的技術開発に重点が置かれ、製造総合力で世界の強国に仲間入りすることを目指している。

寧波(ニンポー)市をはじめ、蘇南(ソナン)5市を「中国製造2025」のモデル都市に指定

浙江省(セッコウショウ)は中国の最も裕福な地域の1つで、地場の製造業が発達している。2016年8月、中国の家電製品の3分の1の製造比率を占める浙江省寧波市は、初の「中国製造2025」モデル都市として選ばれた。今後、新たな産業システムを育成し、工業の発展を促進する。(参照記事:中央人民政府)

製造業におけるモデル都市は寧波市以外に、南京(ナンキン)市、蘇州(ソシュウ)市などを含む5つ都市、「蘇南5市」がある。蘇南5市は近代工業の発祥地として、製造業の産業エコシステムがかなり発展している。その後、「珠江西岸」(シュコウセイガン)地域と泉州(センシュウ)市も「中国製造2025」の代表都市で、前述都市と同様に中国製造業の水準が高いことを示している。(参照記事:中央人民政府)

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