サプライチェーンの見える化でコスト3割減も「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー

NECによると、「物流を軸にして、モノの動きの無駄や、そのタイミングを把握したい」というニーズが多くあるという。物流を軸にしてIoTを考えると、関わってくる企業は、製造業、物流業、卸売業、小売業となる。

そうなると、例えば製造業だけ物流業だけなど、それぞれの業界だけのIoTを考えていては全体の最適化がうまくいかない。そこでNECが発表したのが「サプライチェーンマネジメント IoT ソリューション」だ。

今回、日本電気株式会社(NEC)産業ソリューション事業部 第二インテグレーショングループマネージャー 柴田道男氏 に話を伺った。

 
―10月に新しく発表された「サプライチェーンマネジメント IoT ソリューション」について教えてください。

NECでは、様々な工場で使えるIoTソリューションをご用意しておりますが、私の所属している産業ソリューション事業部は、国内の中堅中小のマーケットを担当しており、その中で実現できるIoTとはなにか?と考えたのがはじまりです。

今回発表した「サプライチェーンマネジメント IoT ソリューション」は中堅企業向けという言葉を付けておりますが、中堅企業でなければダメということではありません。今のところIoTは、大手企業がサプライチェーンの中である程度のガバナンスをきかせて、やられているところが多いのですけれど、実は具体的なお客様のニーズとしては、物流を軸にしてモノの動きに無駄があるとか、そのタイミングを把握したいというニーズが多くあります。

特に物流会社が荷主に対して提案していく際に、それが製造業であったり、スーパーのような小売業だったり様々ありますが、「もう少し納期を短縮して時間を守ってください」というニーズがあります。そのニーズに対してIoTを活用したいというのが、このソリューションの元の考え方になっています。

最初にコンセプトをご説明しますと、下記図のように製造業・物流業・卸売業・小売業という、川上から川下までのそれぞれで、リアルタイムに様々な情報が上がってくる基盤がある程度できてきているという前提に立ったソリューションです。上がってきた情報をリアルタイムに共有することで、サプライチェーン全体の見える化・最適化を実現します。

「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー

今までは、特にモノづくりの製造業IoTですと、「データを工場の外には出したくない」という状況でした。実はNECの中でもモノづくり部隊は、「工場の中で完結する仕組みで、公開するために設計されているものではない」と考えていました。

かたや物流業においては、車両の位置や車両のステータス情報をネットワークで繋ぐという仕組みをわれわれはIoTと呼んでいますが、これも今までは自社内でドライバーさんの効率が上がっているかどうかなど、企業単体でやってきたものです。これらを繋いだらどうなるか?という仕組みをいくつか考えました。

今回リリースさせていただいた仕組みはふたつあります。

ひとつは製造業と物流業のIoTが連携したら、モノづくりIoT×物流IoT=サプライチェーンマネジメントIoTとなります。(下記図)モノづくりのIoTで捉えられる情報は、工場内でどのラインでどの製品が何個できたかという内容です。

「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー

われわれの提供しているモノづくりのIoTですと、タグを使って位置情報を把握させますので、そのラインで使われているトレイなりがどこにどうきました、今この場所いる、ということがわかれば、一応そこは完成品ということになり、工程間の時間などを取れるような仕組みになっています。

そして物流側ですが、こちらは主に、でき上がった製品を工場へ取りに行くという業務になっています。工場内にラインがいくつかある中で、「今日、このラインから何個取りなさい」という情報を取りに行くという業務を物流側がやっていたとした場合に、今まではここが分断されていますので、「言われた通りに取りに行ったら、まだできていなかった」ということがありました。

さらに、以前は「山積みされているモノが、10個としか聞いてないので、とりあえず10個だけ持っていきます」と言うようなやりとりをしていましたが、新しい仕組みとしてはモノづくりのIoTと物流のIoTを連携して見ることができる画面を用意しました。

「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー

そうすることで取りに行く前に、「今もう20個できているよ」とか、今「まだ2個しかできてない」ということがわかるようになるため、待たされるという時間の無駄が削減できるようになります。

次に、小売・卸×物流IoT=サプライチェーンマネジメントIoTについてです。実は物流側から見ると小売からリアルタイムに出てくる情報というのは、今のところPOS情報くらいしかなく、なかなか使えるような情報が少ないというのが実態です。

「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー

今考えているのは、いわゆる店舗にモノを納品する時に、トラックが1号店2号店と順番に回っていきますから、それらの位置情報を把握することで、納入される側の小売店からすると、今そのトラックが前のお店を出たというリアルタイムに近い情報をもらうことです。

これは具体的なお客様の課題として、人手不足の問題があります。荷物がなかなか来ないからといって、パートタイマーの方を残業させるのはかなり大変だと聞いています。究極的にはシフトが狂わないようにして欲しいというニーズがありますが、仮に狂ったとしても直前に精度の高い情報を教えて欲しいとおっしゃいます。

そういったものを繋ぐことで物流のタイミングを調整すれば、人の手配の煩雑さや、移動の無駄というのが無くせるのではないかと思い、IoTの仕組みとしては大きくふたつの仕組みをご用意しています。

サプライチェーンの見える化でコスト3割減も「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー
左:IoTNEWS代表 小泉耕二/右:日本電気株式会社(NEC)産業ソリューション事業部 第二インテグレーショングループマネージャー 柴田道男氏

 

次ページ:スマートフォンアプリ、物流のコスト、敷地の最適化など

 
-工場と小売店との繋ぎ目は非常に重要だと思います。物流というかほとんど車両管理ですね。実際に画面イメージも拝見できますか?

基本的にはスマートフォンでアプリを用意しています。スマートフォンを使ってログインをすると、位置情報が取れます。

「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー

動いている車両が表示されて、それを地図上で見ることができ、位置情報や納品の予定情報に連携をさせることもできます。最後にモノが着いて納品ボタンを押すと、そのモノをカメラで撮る仕組みになっています。そうしたら位置情報と共にアップロードされます。また、バーコードやQRコードを確認して検品完了というのをすると、この納品が完了したというステータスになります。

「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー

そういった情報が進捗管理として、下記のように管理画面で表示されます。これは様々な店舗を回っている状態で、1号店2号店であれば、前の店舗を出発した時に、次の店に伝えることができます。

「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー

 
-例えば、少し遅れているということもわかるのでしょうか?

はい、わかります。しかし、小売店舗には「遅れるとか早まることがわかれば、そのアラートがほしい」というニーズがありますので、そういうことができるようにしています。

そして、モノづくりIoTとの連携としては、基本的には物流のトラックが取りに行った先との連携になります。まだデモ画面のレベルですが、製品を引き取りに行った工場で出荷が予定されているのが商品1・2・3・4・5だとします。

「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー

これに対して、ここはモノづくりIoTの連携データとして、先ほどお話したような予定に対して実際には何個できているという情報が上がってきます。予定通りであれば問題ないのですが、30個も40個も余計にできてしまっているとか、5個の予定だったものができていない、などが、リアルタイムに反映されます。

それを見ながら「まだでき上がってないけど、どうする?」「もうちょっと遅らせましょうか?」という話ができるようになります。現時点では、このレベルからサプライチェーンマネジメントIoTを進めており、われわれとしては、具体的なニーズがあるお客様に対して、ここを下敷きにしてもっとIoTを膨らませていくというやり方を考えています。

 
-こういうのを実際に見せて頂くと、判断すべき人は何をすべきかはっきりわかりますね。すでに導入されている企業はあるのでしょうか?

いえ、これからの販売となります。

 
-最近は、工場敷地の有効活用まで考えないといけないのかなと思っています。ラインから出てきた商品をただ置いておくだけでも、コストがかかりますが、そこを省スペースにできるのであれば、もう少しラインが増やせるかもしれません。

そうですね。今はまだそこを見える化をしているレベルなのですけれど、やはりサプライチェーンのモノの動きや、われわれ物流専門の目線で分析していくと、どうもみなさん実際はここに置かなくてもいいものを置いている気がします。

ひとつの例で言うと、工場でできた製品というのは、工場内にはあまり置きたくないので、物流センターや前の卸しとかにどんどん送り込みます。しかし、さきほどのコストの話で言うと、郊外にある工場の立地の方が単価は安いわけです。

そうすると本当は、できる限り耐えて、工場に置いておけばよいという考え方もあるのです。昔は工場からスタートして消費者に届けるのに、2日かかることもありましたが、今はもう北関東あたりの工場からであれば、その日に届きます。

その結果、3割ほどのコスト削減ができる事例ということがありました。ここが、お互い見えてないのです。

現実的に大手企業で見た事例ですけれど、工場から出したセンターが溢れかえっているので再保管先をいくつも借りて保管しているのが現状です。工場の敷地には余裕があるのですが、「ここは保管庫ではない」というのが工場側の論理でとりあえず出しちゃえと。でもセンター側は「いや、工場に置けないのはわかるけれど、俺たちもまだ売れてないから。」と言って、近隣の倉庫借りて保管しているのですが、それが余計なコストなのです。

サプライチェーンの見える化でコスト3割減も「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー
日本電気株式会社(NEC)産業ソリューション事業部 第二インテグレーショングループマネージャー 柴田道男氏

 
-敷地の最適化、確かによく考えた方がいいかもしれません。

物流会社は、時間と空間を司っているので、どこにいつ持っていくかというのは、もうちょっと物流会社に委ねて、そこがAIなどを使ってできれば本当はいいと思うのですけれど、今は情報がもらえないのです。だからこういう仕組みで、少しずつ前後と繋げられるようになれば、こんなに余っていると気付いていただくきっかけになると思っています。

 
-工場が生産計画を物流会社に渡すとは思えません。隠す必要がないような気もしますが。

そうなのです。工場側の人にお伺いすると、でき上がったものが山積みになっているのは困るので、本当はいい感じで持って行って欲しいのだけど、お客様との契約は、例えば100個なら100個を一括納入になっているから置いておくしかないそうです。一括納入というのは受け手側も困るはずなので、例えば3回に分けて運ぶことは問題ではないはずです。

 
-昭和のロジスティックスが大量搬送というか、「1台当たりいくら」という売り方をしていたからかもしれませんね。今は、ケチャップ1個持ってくるような物流が普通に動いている時代ですよね。

だから、3回に分けて運ぶくらいだったら、次の日の別のものと一緒に運んでもいいっていうことは絶対あるはずなのですよ。

サプライチェーンの見える化でコスト3割減も「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー
IoTNEWS代表 小泉耕二

 
-物流側も様々な拠点に運ぶ前提で混載して置いていけば、案外効率的に動くかもしれません。トータルで安くなるということを、きちんとみんなが理解してないのと、理解をしたとしても、「混載でいいよ」という意思決定ができてないということでしょうか?

まさに、そうです。とはいえ、物流会社だけが得するというのはダメなのです。

 
-みんなで手を握り合わなきゃいけないところですが、ハードルが高そうですね。でもやった方がいいと思います。

実はわれわれが小売業、卸売業と物流業の3社にこの話をご提案していると「結局誰が払うの?」と言われます。

 
-物流業が一番得しますね。

結局はそうなりますが、卸売業が払うことになった事例があります。その卸売業者はこの仕組みの概念をもう少し展開し、小売の囲い込みをしたいということでした。でもおっしゃるように基本は物流会社が払うというのがスタート地点ではあります。

最後に、これはまだ構想段階なのですけれど、今後は小売業の店頭在庫や販売状況・顧客動向などの情報を、製造業や物流業と共有可能にしたいと思っています。

物流をやっている立場から一番無駄が多いと思っているのは、小売店のバックヤードの在庫だと思っていますが、店頭在庫とバックヤードの在庫を分けて管理しているところは、そう多くありません。

お店の建物の中にマヨネーズが何本あるというのはわかるのですが、陳列されているのが何本でバックヤードに何個あるというのはおそらくわかりません。バックヤードから取るときに全部登録しないといけないですから。よって、お店で売れた分が補充され、たまに棚卸しすると合計値はわかる、というレベルだと思います。

しかし、バックヤードのスペースの問題は死活問題なのです。みなさんここをなるべく詰まらせたくないので物流会社に何回も持ってこさせたいと思っているのですけれど、物流をやっている立場からすると、いわゆる容積というか、かさばるかどうかの管理はされてないのです。

例えば、トイレットペーパーもマヨネーズも同じ1個ですが、実際にトイレットペーパー100個というのはマヨネーズ100個に比べ、大変な場所を取ります。でもそこは数量ベースでしか見ていないのが現状です。

本当は物流会社からすると「トイレットペーパーがいっぱいあるのだから今持って行っても置くとこないでしょ?」とか、「逆にスペースあるのだったら販売機会を無くさないために、こういう小物は入れといた方がいんじゃないですか?」というように、ここの在庫が物流会社に見えれば、もっといいコントロールができるのです。

今はそこがまだできてないので、日夜いろいろ研究しているやり方としては、例えばカメラで大雑把でもいいから在庫量がわかれば、「あそこの店舗はまだトイレットペーパー持って行ってもいいな」とか、「こっちはいっぱいだから持っていっても無理だな」とバックヤードの在庫とうまく繋がることができ、タイミングをコントロールすることで、販売機会のロスを減らすことができます。

サプライチェーンの見える化でコスト3割減も「サプライチェーンマネジメントIoT ソリューション」 -NECインタビュー
日本電気株式会社(NEC)産業ソリューション事業部 第二インテグレーショングループマネージャー 柴田道男氏

 
-御社だと画像認識技術をうまく使うとできそうですね。本日はありがとうございました。

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