画像認識技術、全部入り!ーオムロン「ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線」インタビュー

オムロン株式会社は、顔や人から様々な情報をセンシングし、スマートフォンやタブレットのアプリで簡単に操作できる、独自の顔画像センシング技術を搭載した「ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線」を発表した。価格は29,800円(税込)、Amazonでは9月11日、楽天では9月中の発売となる。

今回IoTNEWSでは、記者発表後に個別でインタビューをさせていただき、詳しいお話も伺った。(インタビューは、記事後半に記載)

センサ、スイッチ、コネクタなどの電子部品を機器メーカーへ提供するというBtoBの事業をメインにしてきたオムロンが、なぜ一般向けにネットワークカメラセンサを発売するのか。アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部長 細川氏の発表によると、それは事業戦略上の位置づけとして大きく2つあるという。

アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部長 細川氏

 

1つ目は、IoT時代のキーデバイスであるセンサ。オムロンは画像センサを得意としているが、情報量が多い画像センサは使いこなせる人や企業は少なく、使いやすい画像センサの提供をしていくことがオムロンの使命だとしている。

2つ目は、メーカー主導からユーザー主導になってきた時代の変化。利用者が使いたいものを作って使うため、ユーザー視点でモノを作っていかなければいけない。メーカー視点ではユーザーの多種多様な要望に応えられないため、オープンイノベーションの活用でユーザーとともに商品を作りだす商品づくりの革新にチャレンジしていくとしている。

当初の販売目標は1万台とし、セキュリティについてはオムロンがサーバーを立て管理していく。

オムロンは独自の顔画像センシング“OKAO Vision”を20年近くに渡り開発し、すでに5億ライセンス以上の出荷実績がある。

旧型の「ヒューマンビジョンコンポ Bluetooth LE モデル(HVC-C1B)」は、Bluetooth接続でセンシング結果をスマホやタブレットに出力。新型の「ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線」同様、アプリは誰でも作ることができる。オムロンは2015年1月よりユーザーとデベロッパーのアイデアでアプリを生み出すオープンイノベーションプラットフォームSensing EGG Projectを立上げ、ハッカソンやアイディアソンへデバイス提供を重ね、80件近いプロトタイプアプリが創出された。

 

ヒューマン ビジョン コンポ 

そして、今回ハードの機能を充実させて、画像センサ普及へ本格加速するとし、「ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線」を発売する。動作システムは、無線LAN環境内に設置すると、ルーターを介しクラウドへ情報が蓄積される。旧型ではBluetooth接続だったが、今回発売されたモデルはWi-Fi接続となる。複数台の端末から接続可能で、アプリで情報を確認することができ、家の中でも外出先でも使うことができる。

ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線

 

検出・推定機能は13個で、顔検出・手検出・人体検出・ペット検出・動体検出・音声検出・顔認識・性別推定・年齢推定・表情推定・顔向き推定・視線推定・目つむり推定、がある。

「家族目線 あかちゃん」「家族目線 ペット」「家族目線 おるすばん」アプリも順次配信されApp Store、Google Playからダウンロードできる。

「家族目線 あかちゃん」アプリには、本気泣きになる前に音声を感知し、ぐずったらおしらせするという、ぐずり予報や、笑顔を自動撮影・保存する、笑顔お知らせ機能、などがあり、広い画角・高画質で24時間見守ってくれる。

ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線
赤ちゃんの笑顔をとらえると、「笑顔になりました」という通知がアプリに表示される

 

ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線
みまもり設定はそれぞれON,OFFすることができる

 

オムロン ヒューマンビジョンコンポ アプリ”家族目線 赤ちゃん” 笑顔おしらせデモ

 

インタビュー編

記者発表後に、アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部長 細川さんと、 HS企画課長 寺川さんにお話を伺った。

ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線
前方:アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部 HS企画課長 寺川氏/後方:アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部長 細川氏

 

センシングエッグプロジェクト(ユーザーとデベロッパーのアイデアでアプリを生み出すオープンイノベーションプラットフォーム)をはじめたきっかけを教えてください。

寺川さん(以下、寺川) メーカーがたくさんモノを作って、お客様に安く提供するという時代はもう終わっていて、自分の欲しいものが明確化しているので、ニーズが多様化、多極化もしています。そんな中で、まとまって同じモノを提供していても、満足していただけないですし、会社も成長できないという考えがありました。

弊社はもともと人の状態を認識するセンサを作っていました。IoTでは様々なサービスが登場していますが、結局人が欲する情報は自分の周りだったり、人の情報が多いと思います。その情報を取得していくセンサはIoTのキーだと考えていますが、弊社にはそのど真ん中のセンシング技術があります。それをどうやってみんなに使ってもらえるか、つまり、多様化に対応でき使いやすいものを作りたいと思っていました。

でも画像センサは本当に使いにくくて、限られたエンジニアだけが使える技術です。それをなんとかしたいというところから、センシングエッグプロジェクトをスタートしました。

 

人認識センサーでスマートフォンアプリを開発しよう Sensing Egg Project for Human Vison Components (HVC-C)
-ここまでオープンになっている製品は少ないと思います。今回の新しい製品「ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線」は技術の大盤振る舞いですね。

細川さん(以下、細川) もともと、組み込み用の画像センシングソフトをやっていましたので、画像センサを使いたいという多くの問合せがありました。ですが、技術的にはできるのですが、そのお客様だけに作るのは難しいのです。これだけ多くの方に使いたいといってもらえるのに、ご提供できないというのをなんとかできないか、というところからはじまりました。

組み込みで、スマートフォンやデジカメで動く画像処理というのは重たいので、それを軽くするということをずっと対応してきました。そして、今回画像認識できるものを作って、コンパクトに詰め込んで軽くしてお届けできるようになりました。

 

アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部長 細川氏
アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部長 細川氏

 

-サーバーサイドで画像処理を演算して結果を返すというのは昔からよくあって、フィーチャーフォンでもあったと思うんですけど、アプリ側で処理をしてるのでしょうか?

寺川 本体で処理をしています。本体の中でセンシング結果を、これをセンシングしなさい、という結果だけを返しています。

よく、「ネットワークは不安定なもの」だと言われます。サーバを介さないといけない処理にするより、端末で処理させておいた方が確実なので、端末側で基本的な処理は済ませた上でネットワークが安定しているときに端末からまとめて回収しています。

 

ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線
IoTNEWS 代表 小泉耕二

 

-私は、10数年前にリアルとバーチャルをつなぐという仕事をやっていたのですが、当時、ウォルマートもまだ顔認識をやっていなかったですし、事例もなかったので「技術的にやれるからといってやりましょう」という話にはなかなかなりませんでした。今、10数年たってこの製品で顔認識ができるとなれば、コンビニなどでも来店情報も取れるわけですし、こんなに手頃な価格でやれてしまっていいのかと思ってしまいます。

細川 まさにそういう風に思っていただきたい商品です。

 

-形も可愛いですよね。人の顔のように見えます。

寺川 最初の方は様々なデザイン案などがあったのですが、最終的にはこのようなデザインになりました。口のように見える部分は赤外線で、暗くなると少しはにかむように見えます。黒にするか、白にするか、かなり話し合いました。デザインは正解がないので難しいですね。

 

ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線
ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線

 

-旧型との主な違いを教えてください

寺川 旧型の「ヒューマンビジョンコンポ Bluetooth LE モデル(HVC-C1B)」は、9つの機能しかなく、Bluetoothでしか飛びませんでした。カメラの解像度も低く、プロトタイプというかパイロットモデルでしたので完成された商品ではなく、デベロッパーの方にアプリなどを作っていただくというのを目指して作った製品です。

オープンイノベーションの可能性を目指した、このような取り組みも弊社ではじめてで、SNSで情報を発信して、いいね数も数か月で3000人行くなど、手ごたえを感じることができたので、本格的にはじめることにしました。

-当時、反響はどうでしたか?

寺川 反響はよかったです。Twitterでつぶやかれているのも全部見ていますが、「オムロンさんわかってるじゃん」などと言ってもらえていたり、多くの人にはまだ届いていないのですが、有名なデベロッパーの方々には多く使っていただいていたりしています。

細川 オムロンとしては新しい取り組みでしたので、当初、オープンイノベーションで作ってもらうというのは、周りから冷ややかな視線が向けられていました。

ハッカソン開催なども、ぼくらが今まで住んでいた世界からすると全然違うので、「本当にうまくいくんだろうか、レスポンスはあるんだろうかと」思っていました。実際にやってみると、そういう時代なのか、ポジティブに受け入れられたと感じています。

 

-今は組み込みの基盤も多様に揃ってますし、ハッカソンやIoT関連のセミナーなどは大盛況ですね。この製品は、赤ちゃんを見守る、ペットの状況を知ると、利用シーンがはっきりしているので、面白いなと感じました。

今後のAPI提供やなど、オープンイノベーションに関する取り組みも教えてください。

寺川 ありがとうございます。GitHubなどからこのデバイスを触ることができるAPIやSDKを提供したいなと思っています。全て作ることはできないというデベロッパーさん、法人向けのお客様には、基本的な操作、人をカウントするというような。サンプルアプリも準備しようと思っています。

最新の技術を、各レベルごとにご提供できたらいいなと思っています。マーケティングをされている方などはエンジニアではないので、そういう方にはここからダウンロードしていただいたら簡単なことはできますよ、など。大きな会社さんなど自分たちでできる方には、自由にお使いいただけるように考えています。現在、メンバーサイトも作っていて、それぞれが開発したことを紹介し利用しあえ、蓄積できるようになればいいなと思っています。

 

ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線
アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部 HS企画課長 寺川氏

 

-「ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線」を操作するのはスマートフォンに閉じるにはもったいなかと思っていて、さらに違うIoT機器に展開できないかなと思いますがいかがですか。

寺川 最初はAndroidとiOSから考えていますが、Windowsも順次できるようにしていきたいと思っています。前回のモデルの時は、OS用(Firefox)も外部のデベロッパーの方が作って公開してくれました。色々やり方はありそうだな、と思っています。

今は、弊社のエンジニアもこの商品を面白がっていますし、早く提供できることをどんどん進めていきたいと思っています。弊社にはセンシング技術はたくさんあるので、どんどん開発を進めていくセンサー集団ができれば面白いのにな、と感じています。

細川 「ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線」は、今後センサーのハブになるのではないかな、と思っています。様々なセンサーが通信機能を持ったら重いので、いったん「ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線」に飛ばし、中継することで軽くできると思います。そうすると、センサーを色々集めて飛ばしてというのができてくるのかなと感じています。

 

ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線

-ユーザーとの関係について、今後の展望はありますか?

細川 ユーザーとコミュニケーションを取っていきたいです。ユーザーの意見と作る側の意見が相互作用しながら、いいものが作られていく、そんな形にしたいなと思っています。

寺川 海外のハッカソンにも参加しているのですが、日本にとどまってるのも面白くないので、どんどん海外に出ていきたいです。そうすると、そこの国ならではの面白いアイディアも出てくると思います。

-グローバルでの展開も楽しみです。本日はありがとうございました。

 

【関連リンク】
ヒューマン ビジョン コンポ 家族目線
Sensing Egg Project

Previous

オプティム、ドローン対応ビッグデータ解析プラットフォーム 「SkySight」を発表  ドローン、IoT、ウェアラブルのデジタルビッグデータを統合管理し、 「ビッグデータ解析」、「画像解析」、「遠隔制御」を行うプラットフォームを提供

ACCESS、ANAの「ANA」にIoTクラウド統合ソリューション「ACCESS Connect Location Profile」が採用

Next