Ready to Run 世界のIoTと日本のIoT。差はどういうところにあるのか? ─IOT Solution World Congress 2016 報告会 レポート①

12月14日、株式会社ウフルと一般社団法人日本OMG共同主催のIOT Solution World Congress 2016 報告会が行われた。
「IOT Solution World Congress」はスペイン、バルセロナにて9月16日~18日に開催されたIoTに特化した国際展示会である。インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)主催ということもありIICに参画している企業の出展が多く、同団体のテストベッドの展示も行われた。

IoTの今

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IntelのBallon氏は現在のIoTの状況を「Hype to reality」と述べたという。誇大表現に過ぎなかったIoTが今や現実のものになりつつあるということだ。

またシスコシステムズのOverton氏はIoTは近い将来に起きることではなくすでに起き始めていることだと述べたという。

IICによるテストベッド

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IOT Solution World Congress 2016では今回10のテストベッドが展示されており、規模の大きなものから初歩的なソリューションのものまで様々なものだったという。

IICとi3の共通見解としては「まず始めてみる」ことと「協創」が重要だという。図にもあるように新規市場で先行者利益を獲得するためには市場形成前のテストベッドに参加する必要がある。もちろん、テストベッドを行う前にその製品が市場形成にまで至れるかどうかわからないが、トライ&エラーの考え方がIoT製品開発には必要となってくる。また、IoTはモノとコトを繋ぐことから様々なレイヤーの技術が必要とされ、一社の技術だけで完結した製品を作ることは難しい。実際に今回のIOT Solution World Congress 2016でも1社単独での展示を行っていた企業はほとんどなかったという。

IICテストベッドエリア展示内容

1.TSN(Time Senstive Network)テストベッド

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TSN(Time Senstive Network)とは現在多く使われているイーサネット規格で23ns程度の遅延で伝送を可能とする技術である。ベンダーが異なる機器同士を繋ぎ相互運用できるようにすることを目指している。今回のテストベッドではパトランプの点滅状況をほとんどリアルタイムでトラッキングしダッシュボード上に反映するデモが行われていたという。

2.異なる水流メーターから得られたデータを一括管理

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IPv4に代わる規格であるIPv6の相互運用性を確認するためのテストベッドとなっている。内容としては複数の異なる機器を一元管理することで水流をセンシングしながらコントロールまで行うものであった。

3.全方向集音マイクによる犯罪防止

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360度集音可能なマイクを街に置くことで、銃声、叫び声、事故音などの異常音を検知するというソリューション。監視カメラの映像を自動認識して異常を検知するソリューションと比べると夜など明かりがない状態や、カメラの目の届かない物陰などで何かがあった際でも検知ができるといったメリットがあげられる。

4.マイクログリッドテストベット

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様々な発電網をネットワーク化して電力の需給を最適化するマイクログリッドのテストベッドでは一つの発電施設が使用不可能になり電力供給量が電力需要量を下回ってしまった場合に、電力の使用量を該当エリアで制限することで停電を避けるといった電力需給管理のソリューションの展示が行われていた。デモとしての構築は終わっており、今後はフェーズ2のTSNを利用したリアルタイムでの電力コントロールを行っていくとのことだった。

5.ARを使ったソーラーパネル姿勢制御テストベッド

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PTCとシュナイダーエレクトロニクスによるテストベッドはAR(拡張現実)を使用したソーラーパネル姿勢制御であった。図のようにタブレット上にソーラーパネルの向きが3Dで表示されタブレットで操作することでその場で向きを変えることができる。発電状況なども把握できるため、管理すべきソーラーパネルが点在していても一括で管理することが可能になる。

6.顔認識とユーザープロファイル表示

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スマートフォンなどで顧客の顔や情報を登録しておくことで監視カメラなどで街灯の顧客の顔を認識した際に登録された情報に従っておすすめの商品などがリストで表示されるサービス。

顔の認識などにはMicrosoftの「Azure congnitive service」が使用されている。

7.航空貨物管理テストベット

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航空会社向けにロストバゲッジ防止のためのソリューション。従来帯などで判別していた荷物RFIDなどの電子タグをつけることで識別するというもの。

GEのPredix、オラクルをベースとしてアプリケーションが構築されている。デモとしてはそこまで大がかりではなく荷物とコンベアを模した紙があり、荷物が受信機の近くを通るとRFIDが認識され画面上に反映されるといった物だった。

8.車両運行情報の可視化

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自働車のOBD(On-board diagnostics:自己故障診断)機能に接続することでドライバーの状態や自動車が環境に与えている負荷の状況を可視化して把握できるものである。

特徴としては自動車のOBDに接続して情報を取得することで自動車の外部にセンサーを付けても得られないデータが得られるとのことだった。

9.外科手術キット位置情報

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管理が重要な外科手術キットにGPS、Wi-fiなどを付けることで位置情報や医療機器の有無を確認することが可能。航空機向けの医療機器など場所の把握や病院からの補充を受ける必要性などがある場合を想定している。

10.ウェラブルによる患者のモニタリング

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AzureのIoT プラットフォーム上にシステムを構築しFitbitや血圧計などから得たデータを可視化するというテストベッド。患者側にスマートフォンで使用可能なアプリを提供し通院予約などができるようにする予定とのことだった。

日本と海外のIoT進展状況

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最後に、ウフル八子氏より、「IOT Solution World Congress2016の概況を見てみると日本のIoTと比べて海外のIoTが進んでいるかというとそこまで差はない。」「ただ、日本と大きく異なっている点はIICなどのコンソーシアムに参画してテストベッドなどの実証実験を行っている企業は同団体のリファレンスアーチテクチャーやフレームワークに沿って行っているという点が大きく違う。こういった枠組みがないと技術を色々なセクターに分けての評価や各企業間の認識合わせが難しいため、日本企業もアーチテクチャーに基づいた開発を行っていくべきだ。」との提言がなされた。

【関連リンク】
インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)
ウフル(Uhuru)
 OMG(Object Management Group)