テキサス・インスツルメンツ(TI)、ビルをより環境に優しく、スマート化するIoTとその費用対価値

この記事は、アメリカの半導体開発・製造企業 テキサスインスツルメンツ社が2017年1月に発表したブログの翻訳である。

建物は、基本的に居住者にとって快適な空間を提供しなくてはならない。IoTは、建物を居住者にとって単なるハコから、より認識されやすいものにすることで、居住者の環境を配慮し生活コストを抑えながら、より実りあるものに変えてくれる。

スマートビルを作るには、インテリジェントな照明やHVAC(空調機器)、火災報知器、ビルセキュリティ、そして互いを認識し合い、インテリジェンスを共有するようなエレベータ・システムが必要だ。そうすれば、ビルは居住者と電力事業者の両方のニーズに迅速に適応し、対応できるようになる。

長期的に見た場合、スマートホームやスマートビルは運用面やエネルギー面でコストを節約できるが、短期的にはセンサ・ネットワークやゲートウェイ、クラウド・コンピュータ等のインテリジェントなシステムを使うためには投資が必要。たとえばビデオ・インターフォンは、従来のドアベルの10倍以上も高価だ。スマート・サーモスタットにも同じことが言える。

なぜ、私たち消費者はこの高額な製品にお金を払うのか?ホーム・オートメーションの視点からこのことを理解するのは重要なポイントだ。なぜなら家をよりスマートにするのか否かを決めるのは自由意志だが、家のスマート化を選択する人たちはますます増加しているからだ。

テクノロジがIoTをより実用的に、かつ、より手頃に受け入れられるようになる一つの理由は、多様な物理的パラメータや、スマート・サーモスタットとビデオ・インターフォン内での接続性、およびスマートフォンといったスマート・センシングの組み合わせによるものだ。スマホの登場によって、電子ロックやビデオ・インターフォンのように自宅でスマート・センサやコントローラに囲まれているだけではなく、スマート化されたものを今まで以上に効率的に管理することができるようになった。

2番目の理由は、馴染みやすさ。大半のユーザは、庭のスプリンクラー・システムのスケジュールをプログラムすることは、かなり難しいと捉えているだろう。スマホは、私たちの生活に浸透しているため、スプリンクラー付随のHMI(ヒューマン-マシン・インターフェイス)よりも、スマホのアプリで操作した方がずっと簡単だ。

3番目の理由は利便性。スマホのアプリで車庫のドアを遠隔操作したり、スマートロックの認証を送ったりすることで、家の中にいない時でも家を管理できる。水漏れセンサ、ドアや窓のセンサ、セルフ・モニタリング用ビデオカメラなどのDIYホーム・オートメーション・キットに先行投資することで、居住者は第3者に支払っているモニタ料金を節約できるようになる。

商業用スマートビルになると、カギとなる設計では、カリフォルニア州エネルギー委員会のTitle 24規格のようなエネルギー効率と法規制を配慮しなければならないことがよくある。商業用ビルは全米のエネルギー消費全体の40%にも上る。このパーセンテージの大部分は、HVAC。人数に基づく需要管理ベースで空調を行うと、固定したHVACスケジュールに比べ、15%から20%の節約が可能。居住者数に応じて、ビル内の照明やビルに入ってくる外光を調整することで、ビルのエネルギー面積を大幅に減らすことができる。

Bluetooth low energyのビーコンを使って、オフィスビル内のある会議室まで向かうこと想像して欲しい。これを使えば、オフィス空間の迷路のような廊下を歩いて会議室を探す時間やエレベータの待ち時間をなくすことができる。向かうフロアが前もってプログラムされているため、エレベータも必要な時に到着するからだ。ビルの管理については、スマート・センサがHVACやエレベータ性能の予防保全を正確に行う。このようにしてダウンタイムを可能な限り減らせる。これらすべては、ビルが常に処理し、取り入れているので、居住者の生産性向上につながる。

スマート・センサ・ノードがつながったネットワークは、バッテリ動作がますます求められる。このため、電池交換頻度を下げ、メンテナンス・コストを負うために長いバッテリ寿命を必要とする。この問題に取り組むためには、どのようなソリューションでもシステム全体のアプローチを含む必要がある。すなわち、センサ処理のために低電力のアナログやナノ・パワーアナログを使い、極端に低いIqで低電力を管理し、スリープ状態から素早く起動し、FFT(高速フーリエ変換)のような複雑な演算をして、その後すぐにスリープ状態に戻る、という接続ソリューションを持つことが求められる。

テキサス・インスツルメンツ(TI)はCES2017において、次のような最新のスマートホーム/スマートビル向けアプリケーションのデモを展示した。

  • IoTゲートウェイのデモ
    一酸化炭素センサや居住者検出、温湿度センサなどの多数のセンサ・ノード、ボタン電池で10年間の電池寿命を持つセンサ・ノード、単三乾電池4本で5年間の電池寿命を持つ電子ロック
  • デュアルバンドのサブGHz帯とBluetooth low energyのセンサを、IoTゲートウェイを通してクラウドへつなぐデモ
    1個、2個から最大50個のセンサを長距離のサブ1GHzワイヤレス・ネットワークを通してクラウドへ接続。ビル管理やアセット追跡などの産業用・民生用に向けたアプリケーション。Sitara™ AM335x、SimpleLink™ Sub-1 GHzの 『CC1310』、デュアルバンド『CC1350』 ワイヤレス・マイコンによるSub 1Ghzセンサからクラウド産業用IoT ゲートウェイ・リファレンス・デザイン
  • Bluetooth 5規格のプレビュー
    -Bluetooth 4.2を2倍速にする2Mbpsモード
    -より高速のOTA(Over-the-air)アップデート
    -IoTアプリケーション(*)向けSimpleLink Bluetooth low energyワイヤレス・マイコンによる高速応答
    *対象は医療用、ヘルス&フィットネス、ウェアラブル・デバイス、リモコン、ビル・オートメーション、車載(車両制御、照明、インフォテインメント)。

ソース、画像提供:Texas Instruments Blog

【関連リンク】
テキサス・インスツルメンツ(TI)

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