NTTコミュニケーションズ、AIによる翻訳を実現する「業界特化型AI翻訳プラットフォームサービス」β版の提供開始

NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、企業向けに、AI(人工知能)による高精度の翻訳機能を提供するSaaS「業界特化型AI翻訳プラットフォームサービス」(以下、AI翻訳PF)のβ版を、本日1月25日より提供開始した。「AI翻訳PF」は、利用する業界や用途に特有の語彙や言い回しをAIに学習（※1）させておくことで、汎用的な自動翻訳に比べて高い精度の翻訳機能を実現できるサービス。また、同β版の提供に合わせ、NTT Comと共同でビジネスを検討するパートナー企業を募集する。

パートナリングの先行事例として、株式会社QUICKが提供する個人投資家向け情報サイト「QUICK Money Worldにおいて、「AI翻訳PF」を利用してツイッター上の英語によるツイートを翻訳するサービスが、2017年1月25日に公開された。

同サービスにおいてNTT Comは、クラウド上のAI翻訳エンジンを提供し、企業の顧客と共に同エンジンに対して業界特有の語彙や言い回しを学習させる。（※2）エンジンが訳出した結果はAPIを介して提供するため、顧客の提供するサービスに組み込むといった形で活用することができる。特長は以下の通り。

業界独特の表現を、高い精度で翻訳
「AI翻訳PF」は、NTTグループのAI「corevo(コレボ)」を構成する技術である、「多言語統計翻訳技術」（※3）を採用しており、膨大な文例ビッグデータを統計的に学習した結果を利用することで文章を翻訳する。また、世界最高水準の日本語構文解析技術や、外国語の語順を自然な日本語に並び替える技術などによって、高精度の翻訳エンジンを実現した。

さらに同サービスにおいては、このエンジンに対して顧客の用途に応じた特定分野の文例を学習させるノウハウを構築することで、翻訳精度をビジネス用途に耐えられるレベルまで高めることに成功。

なお事前にQUICKと共同実施したツイッター上の特定アカウントのツイートを翻訳する実験においては、専門用語や独特の省略が含まれたツイートであっても8割以上的確に訳すことができた。また、学習量を増やすことで、より一層精度を向上させることが可能だという。
導入を容易にする学習・チューニング機能の提供(正式サービス化時に提供予定)
翻訳エンジンに顧客の事業内容に合わせた学習やチューニングを施す場合、通常は専門的な知識や複雑な手順が必要だ。しかし「AI翻訳PF」においては、専門知識が不要な分かりやすいユーザーインターフェースを利用できるため、簡易な学習やチューニングであれば、顧客自身で速やかに追加や変更を行うことができる。
翻訳内容のセキュリティを確保 (正式サービス化時に提供予定)
ビジネス用途で翻訳を行う場合、機密性の高い情報をやり取りする可能性もある。しかし例えばインターネット上の無料自動翻訳サービスを利用する場合、やり取りする情報は盗み見などのセキュリティリスクに晒される可能性がある。

同サービスにおいては、NTT Comならではのセキュアな閉域網ネットワークサービスやサイバーセキュリティ対策と柔軟に組み合わせることが可能なため、セキュアな環境で翻訳を行うことができる。

対応言語は、日本語から、英語／韓国語／中国語(繁体字)への翻訳、および英語／韓国語／中国語(繁体字)から、日本語への翻訳。β版提供開始は、本日1月25日から、正式なサービス化は2017年10月頃を予定。

※1: 同サービスの場合、AIエンジンが業界特有の語彙や言い回しに関する正しい訳語を取り込むこと。
※2: 将来的には、学習済みのエンジンを提供することも検討。
※3: 日本電信電話株式会社　NTTメディアインテリジェンス研究所の研究開発技術。