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強い人工知能(AI)の実用化までには、まだ時間がかかるため、現状様々な企業が一つの分野に集中し、AI技術開発を進めたり、新しい効率が高い学習方法を試したりしている。そして、各国政府もAI研究開発の支援や法制度を策定し、AI事業の発展を推進している。
大手企業の取組み
ゲームはAI技術学習やAIシステム研究における重要で、有効な手段の1つといえる。現在多くのAI関連企業や団体はゲームを活用してAIの開発を進めている。この記事では、DeepMind社とカーネギーメロン大学の二つの事例を紹介する。
2014年にグーグルが買収したAI専門会社、DeepMindは、世界のプロ囲碁棋士に全勝した人工知能システムAlphaGoを開発したことで有名だ。
その後、アメリカのビデオゲームBlizzard Entertainment社と連携し、資源管理や偵察技能、戦略構築などのスキルが必要となる戦略シミュレーションゲーム「スタークラフト2」を使ってAI研究を共同で進めていくことを公表した。
囲碁と異なり、ゲームプレイヤーは「スタークラフト2」のようなゲームでは即座に全体の状況を把握することができないため、情報が不足している状態で対戦することになる。
このゲームで勝利するためには、長期的な計画や記憶力、適応力などが重要であり、環境の変化とともに戦略を変えていくことも不可欠だ。
AIが、このゲームで人間のプレーヤーを勝ち越すことが実現できれば、今後実社会の様々なタスクにも適用することが可能となると考えられているのだ。
同様に、情報が不足している状態でプレーする必要があるゲームとして、ポーカーゲーム「テキサス・ホールデム」について、カーネギーメロン大学によって開発されたAIシステムLibratusはブレークスルーな成果を得られたのだという。
Libratusは同ゲームが行われていた10日目に、すでに人間のプレーヤーと比べて67.7万ドルの賞金を獲得して優勝し、人工知能は囲碁に次いでまた進展を遂げたと見られている。
一方、積極的に業界の連携を求めているグーグルのような大手企業と異なり、アップルはAIに関する研究を公開してこなかった。そのため、アップルはマスコミやアカデミック団体などから強く批判された。
フェイスブックとアマゾン、グーグル、IBM、マイクロソフトが2016年9月に設立したAI連携組織「Partnership on AI」へもアップルは正式なメンバーにならなることはなかった。
しかし、2016年12月22日にアップルのAI研究レポートが初めて公開され、非常に注目を集めた。
同レポートでは、現実世界の画像のかわりにパソコンで生成した画像を利用し、画像認識アルゴリズムの能力が向上させるテクニックが紹介されているのだ。その後、アップルは秘密厳守な研究姿勢は少し緩和し、2017年1月末にようやくPartnership on AIに加盟した。
ヨーロッパ、人工知能政策の草案を作成
欧州議会の法務委員会は2017年1月に人工知能、ロボット及び他の知能デバイスの使用と開発に関する草案を提出し、未知の人工知能がはらむ危険性を予防し、早急に市場の規範化を進めていくことを目指しているという。
今回の草案ではAIの責任の帰属問題(誰に責任の所在があるのか?)に重点を置いたという。
たとえAIによる事故が、人間と直接的な関連がなくても、AIの最終責任は開発者やメーカーが取るべきだと共通認識に至ったということだ。
また、この草案ではロボットと他の知能デバイスの「人間性」(personhood)を強調し、法律上で人工知能は人間と同様に扱われる可能性を示した。
委員会はAIシステムを中心にして法的なフレームワークを構築し、AIの責任帰属の根拠として今後の紛争をより公正的に解決できることを狙っている。そして、AI開発者は、潜在的なトラブルを回避するために、AI製品のより慎重な市場展開を行うことが必要になるのだ。
下記は重要なポリシーのメモだ。
ロボットに「電子人間」という法的なステータスを創り出し、マシンとしても法的権利や義務を付けることを規定した。従って、自主性があるロボットは自身で責任を持たないとならないことになる。
ロボットに対する「死刑」はすべての機能をシャットダウンすることである。
ロボットの使用制限に関しては、人間及びそのロボット自身に被害を加えること以外のすべての指示に従わせる。
中国、Baiduの音声認識技術
日本の科学技術・学術政策研究所により、中国のAI研究論文の数はアメリカの発表数量に近いという。また、アメリカ政府は、ディープランニング関係の論文数に関して、中国がすでにアメリカを上回ったと主張している。実際の状況もその通り、Baiduがリードしている中国のAI事業は急速に発展してきていると見られている。2017年の2月、Baiduのディープランニング音声認識システム「Deep Speech 2」は唯一の中国企業の技術成果として、MIT技術レビューの2016年革新的な技術トップ10(10 Breakthrough Technologies)の1つとして選ばれた。
ところで、音声認識は人工知能における相当重要な研究分野であり、スマートホーム市場にも幅広く応用されている。マイクロソフトのコルタナや、アマゾンエコー、グーグルホームが扱う「遠距離音声認識」(Far-distance speech recognition)と音声起動技術「Wake-on-Voice」はスマートホーム製品にとって不可欠な技術である。
「Wake-on-Voice」とは、例えばWindows 10のCortanaを使う時、「Hey、Cortana!」と話かけると、パソコンが休止状態から復帰する技術である。上述の2つの技術を通じて、ユーザは部屋のあらゆる位置から話しても機器が正しく音声認識ができ、そして休止状態から起動して動作することができる。
Baiduが自主研究開発した5メートルの「遠距離音声認識」技術は、ユーザが360度いかなる方向から話しかけても正確に認識することができる。
その上、Baiduの「Wake-on-Voice」の音声操作技術による中国語での機器起動率も95%以上を達成したという。現在、Baiduが開発した「Xiaoduロボット」はBaiduの音声認識技術を利用し、上海のKFCで音声注文サービスを展開している。
中国ではBaidu以外もWeChatを運営しているTencentとAlibabaなどの大手企業が積極的にAI産業に投資・開発している。
関連リンク:EU Parliament
Baidu AI
Deepmind
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