【定点観測】コネクテッドカー4月アップデート[海外動向]

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コネクテッドカーとは、複数のセンサが設置された自動車のことであり、インターネットに繋がっているおかげで、様々なシグナルの送受信ができ、環境を認識し、他の乗り物やインフラと相互に作用できる。

一方、自動運転車とはヒトのドライバーなしで走行する自動車のことだ(ドライバーレスカーとも呼ばれる)。

この一年間でコネクテッドカーや自動運転技術が著しく発展し、これからも迅速な発展や採用が期待されている。競争が厳しいオートモティブ市場のプレーヤーは新技術の開発に積極的に投資し、それに対して政府機関が法律環境の整備に対応し始めた。

コネクテッドカーの展開を加速するため, 欧州委員会は2016年11月末に自律型・コネクテッド・共同するモビリティへの節目である「A European strategy on Cooperative Intelligent Transport Systems (C-ITS), a milestone initiative towards cooperative, connected and automated mobility」(共同インテリジェント交通システムにおける欧州戦略)を発表した。

現在の車両はすでにインターネットに繋がっているが、クルマ対クルマ、さらにクルマ対道路インフラの通信が必要となってくるため、同戦略は2019年までにこの通信技術の実現を目指している。また、同技術は未来の自律走行車の交通システムに全面的な統合と安全のため、不可欠であるといえる。

この欧州の動きに合わせるかのうように、アメリカ合衆国運輸省が12月13日コネクテッド車両技術に関する法案した。

連邦高速道路局は2014年にV2V(Vehicle to Vehicle:クルマとクルマ)軽自動車通信システム用の規則制定を進める決断を発表した。今回の法規案公示は自動車における新連邦安全基準の設立の提案である。新軽自動車におけるクルマ対クルマ(V2V)通信を可能にし、V2Vメッセージングや通信技術の標準化を掲げ、事故防止を目的としている。同技術は実装された場合、360度の状況把握で交差点や車線変更による事故の8割を予防や軽減し、毎年何万事故を防ぐと期待されている。

同方針に基づき、自動車メーカーがすべての新しい軽自動車にV2V技術の搭載が義務化される。また、V2V機器はこれから同産業で開発される標準通信技術を使って、統一を目指すということだ。

アメリカ合衆国運輸省はプライバシーを守るため、V2V 技術に個人情報、または個人特定に使えるデータを含めない方針である。しかし、従来と違って、V2V技術が 2021年に販売される自動車の最低限50%に搭載されることを踏まえ、オプションではなく、義務つけられている技術になるに伴い、すべてのV2V機械は厳しいプライバシーやセキュリティ対策対象となる。

DSRC(専用狭域通信)が使われているアダプティブクルーズコントロール、駐車アシストシステム、衝突防止システムなど様々なV2VやV2I用途の市場が迅速に拡大しており、各国でのエコシステムや標準が開発されている。

ヨーロッパ・中国の動き

ヨーロッパでV2X技術発展を目指すエコシステムが拡大している。

2017年1月に、AUDI AG、エリクソン、クアルコム・テクノロジーズ、SWARCO Traffic Systemsとドイツのカイザースラウテルン大学によってConnected Vehicle to Everything of Tomorrow (ConVeX)コンソーシアムが設立された。

同コンソーシアムの目的は3GPPの14リリースに基づいたVehicle-to-Everything (V2X)通信技術の初セルラーV2X (C-V2X)実証実験の実施である。トライアルは、Vehicle-to-Vehicle (V2V)、Vehicle-to-Infrastructure(V2I)、Vehicle-to-Pedestrian (V2P)の直接通信、Vehicle-to-Network (V2N)の広域通信を中心に行われ、2017年に開始される予定だ。

中国もV2X技術の展開を目指し、中華人民共和国工業情報化部(MIIT)の子会社である中国情報通信技術アカデミーが蘭NXPセミコンダクターズとの戦略提携を結んだ。この提携で、中国内のスマート交通用のV2VやV2I通信、セキュア通信やインフラソリューションの促進を目指している。

また、オートモティブ分野で5G技術採用を促進する5GAA (5G Automotive association) 組織が2016年9月にAUDI AG、BMW Group、 Daimler AG、 Ericsson、Huawei、 Intel、 Nokiaと Qualcommという創立メンバーによって設立された。現在31企業が参加している5GAA は多産業の同盟であり、社会ニーズに応える通信ソリューションの開発、テストや売り込み、その標準化の開始やグローバル市販化などを目的としている。
2017年2月、5GAAは37メンバーもあるEATA(European Automotive and Telecom Alliance、ヨーロッパのオートモティブとテレコム同盟)と提携覚書を締結し、セルラー通信技術を使ってC-V2Xの標準化、ユースケース、範囲など技術展開を促進する。
車内での新しい接続レベルが現れ、それによって車内外に新しいサービスが生み出されてくる。また、ライドシェアや配車サービスなど、特定の用途に開発された自動車も現れ、自動車の保有や運転に関する文化が変わるため、自動車メーカーが新しい現実でどう動くか、現在点で計画が必要である。

コネクテッドカーに関するR&Dや新技術が速く進んでいるが、コネクテッドカーを現実にするためにはビジネスモデル、社内文化、雇用、M&Aや顧客体験など、様々な分野でイノベーションが必須である。

多数のOEM がモビリティ―市場で成功に必要な能力がないと覚悟し、将来に必要な能力、技術やクラウド上のプラットホームにアクセスができるという仮定でモビリティ―ビジネスに投資したり、株を買ったりする。このように、トヨタはUBERに投資し、GMはLyft、AppleはDidi Chuxing、DaimlerはMytaxi、VWはGettに投資している。
特に、ダイムラーが新モビリティモデルに備えて、myTaxiとHailoを始め、これからドイツ国内で様々な都市で展開されるCroove というピア・トゥー・ピア・シェアリングサービスやcar2go、複数のモビリティサービスに投資している。
また、自動車メーカーやIT技術の企業の間のパートナーシップが増え続けている。

マイクロソフトやボッシュなどの動き

今回、マイクロソフトは初めて独自のコネクテッドカーに関する特許をトヨタに実施許諾するように合意した。その特許にはファイルの保存や移動のツールの他、サイバーセキュリティや人工知能などのノウハウが含まれている。同ライセンス合意は2016年のToyota Connectというデータ分析会社の設立から始まったトヨタとの提携の続きである。
トヨタはコネクテッドカー技術のR&Dやコネクテッドカー用のデータセンターを共同で開発するため日本国内でNTTと提携している。

同様に、ボッシュ/ダイムラーやWaymo/Lyftという市場プレーヤがドライバーレスな完全自動運転車の実現に向けて提携を発表した。

2015年に提供されていたサービスは環境、ニュースとナビゲーション系サービスが多かったが、近年はセキュリティ、V2V/ V2Iコミュニケーションやアフターサービスの登場が期待できる。

現在自動駐車(スマートパーキングアシスト)システムが搭載しているメーカーが少なくないが、すべての車種が対象にはなっていないが、将来に定速走行・車間距離制御装置や自動駐車機能がすべての新車に搭載されるだろう。

また、スマホでの使い慣れたエンタテインメント・サービスを車内でも使い続けている顧客がいるため、BMWがPandora, Yelp, Facebookなど、プラットホームにとらわれないアプリと統合可能な車内アプリアーキテクチャーを開発している。

セキュリティはコネクテッドカーにおいてきわめて重大な問題であるため、近頃セキュリティソリューション開発も目的で協業している企業の例はかなり多かった。その中は、Argusとクアルコム、ArgusとCheck pointの提携やGemaltoのソリューション開発などだ。

道路上のセキュリティや渋滞を緩和するため、隊列走行技術の実証実験が行われている。
隊列走行では、ドライバーレストラックの車両縦隊が定速で走っているため、渋滞を防ぐ他、燃費削減でコスト削減が可能で、さらに排気ガス量も減らせる。先頭車が止まった場合、後続車も直ちに止まるため、交通安全が向上される。

また、コネクテッドカー分野に参入する企業は日々増えている。
例えば、3月にサムスン電子がスピーカーやハイエンド向けオーディオを提供するハーマン・インターナショナルを正式に買収した。同じ3月にインテルがドライバーレス市場に突入を目指し、イスラエルのMobileyeを買収した。

韓国のHyundai(現代)自動車はすべての新車種に搭載されるブルーリンク第2世代(Blue Link2)コネクテッドカーソリューションをAmazon Alexaと連携し、音声指示で車をロック・アンロック、遠隔エンジン始動や空気調和が実現された。2年後、現代は車内からの家電操作を可能にするコネクテッドカーソリューションを展開する予定だ。

4月に、米国のカリフォルニア州車両管理局が公開した路上で自動運転車の試験が許可された企業の最新リストにApple社が追加された。

フォードモータやBMW、アマゾンAlexaと連携しているコネクテッドカーソリューションは少なくない。

テスラやグーグルと同様に、米フォードが2021年までに自動運転車の大量生産を計画している。また、将来のコネクテッドカーに必要なデータ処理能力を考慮し、フォードが米国のミシガン州でコネクテッドカー用のデータセンター建設計画を発表した。

コネクテッドカーをもっと普及させるため、Kia Motors Americaはコネクテッドカー技術を無料で提供する予定だ。

アメリカやヨーロッパのほとんどの先進国ではテレマティクスシステムが義務化され、中国やインドも同技術の利点を調査している。

中国の技術大手会社Baidu がApolloという自動運転プラットホームをオープン化する計画を公開した。Baidu は制限された環境用の自動運転技術を7月に公開し、年末までにシンプルな都市道路環境用の自動運転技術を公開する予定だ。2020年までに高速道路や一般都市道路用の完全自動運転技術を紹介する。

大手企業の中で、Baiduが初めて独自の技術やプラットホームを公開することで協力するエコシステム作りや自動運転技術の開発とプロモーションを目指している。

自動運転車テストサイトについて

自動運転車の進歩が加速しているとともに、将来の自動車をテスト分野に参入するプレーヤーが増えてきており、環境も整えてきている。

現在自動運転車をリードしてきた米国ではカリフォルニアとミシガン州を始め、10か所を認定している。さらに、2016年にミシガン州で335 acre (やく1,36平方キロ)のWillow RunサイトをAmerican Center for Mobilityとして選定したが、いつ頃実現するかは現在発表されていない。

外国の政府も動き出している。韓国政府はK-cityという自動運転車テスト用サイトを今年の10月に開設する予定である。88 acre (36万平方メートル)でバス専用車線、高速道路、や自動駐車ゾーンを設置する予定で、総合予算は970万ドルだという。高速道路は今年中に開設され、全体の施設が2018年前半に開設される予定だ。この施設内で政府の一時的なテスト許可があるかないかにもかかわらず、自動運転車のテストが実施できる。

ドイツも安全条件を満たす自動車メーカーに公道で自動運転車テストを許可する法律を成立させた。この取り組みのおかげで、Mercedes-Benz, Volkswagenや BMWなどが国内でテストを実施できるようになり、米国などに行く必要がなくなり、コスト削減もできる。

ドイツで公道でテストを行うため、満たさなければいけない安全条件の一つであるのは必要な場合にAIからの運転を引き継げる人間運転手の常の在席である。また、AIや人間の運転を記録しているブラックボックスのような装置が必要とされた。同記録は事故の場合、自動車が誰に、どのように運転されていたか確認に使用される。もちろん、運転手が事故を起こした場合、その一の責任になるが、ドイツの法律によると、AIが事故を起こした場合、自動車メーカーのほうが責任者になる。

関連リンク:
Qualcomm
5GAA
Baidu
American center for mobility
NXP
US Department of transportation
European Commission

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