[開発メンバー募集!] エッジとクラウドを包含するIoTプラットフォームと、ウフルの戦略 -ウフル 竹之下氏、勝氏インタビュー

ARMに張っていく

 
-まだこの時点だと「本当にくるのかい?」と、投資する側から見ると若干疑心暗鬼なところがあると思います。技術思考やビジネス思考な人たちが、「きっとそっちに行く」というのは見えていますが、投資家はこの道何年の人ではないことが多いのです。

そうすると、なかなか人集めようという話にならないというのと、門外漢だと例えばエッジデバイス作るのに100人いるのか1000人いるのか分からないじゃないですか?あるいはどこかの会社買収する?という話になります。

竹之下: 投資話ですと、ARMに対して張ると言っている人がいるので、これの波に乗りましょうという話ですよね。

どこに乗るかというのが一番重要だと思います。デバイス側がこれまでなぜ統一化されなかったかというと、デバイスってあまりにも多種多様すぎて、ひとつのプラットフォームでまとめるということができなかったのです。そこを今ARMはチップのアーキテクチャーを提供していますけど、その1個上の中間レイヤーとして、彼らはmbed(エンベット)というプラットフォームを提供しています。

最近Cortex-Mを乗せているようなマイコンが出るときには、例えばテキサス・インスツルメンツやNXPなども、必ずmbed対応をしてから出しています。

そうするとデバイス側はOSのレイヤーではプラットフォーム化されて統一されるので、その上にenebularを乗せるのはありではないか?というのが我々の発想です。

 
-ちょっと嫌なことを言うと、ARMのチップの制限には引っ張られてしまいますよね?

竹之下: 最初はそうですね。それである程度マジョリティを取ったら、特殊チップにも対応していくかもしれませんが、最初はある程度のボリュームを出さないといけないので、ARMに張っていこうと思っています。

 
-イメージとしては、例えば高速に動く産業機器でも使える話をしているわけではなく、インターネット通信に耐えうるくらいの速度感のデバイス制御をするようなコントローラーの話をされているということですよね?

竹之下: そうですね。リアルタイム制御など、ミッションクリティカルではないところです。

 
-ファナックなどのロボットアームを動かそうとしているわけじゃないということですよね?

竹之下: そうです。例えば、アクチュエイトやディサイドは、リアルタイム制御しなきゃいけない部分なのでenebularが対応するとこではありません。センシングなど、AIなどで判断をした結果、なにがしかのフィードバックをかけるところは対応できると思います。

 
-自動運転の話ではなく、コネクテッドカーのことですよね?

竹之下: そうです。車載という切り口であっても、「本当に止まっちゃいけない、ひとつもミスしちゃいけない、バグが1個でもあっちゃいけない」場所は領域外ですが、それ以外の部分も車載の中にあります。

 
-ありますね。電気自動車の世の中になってくると、以前よりも簡単に車が作れると前々から言われています。まあ、簡単には作れないと思うのですが(笑)。その中でコネクテッド部分をどうやって担保しているかという点に関しては、車側にもオペレーションシステム的なところがもっと入ってきているという流れがあると思うのですが、そういう流れの一環として、こういうものが使えるということですよね?今回のARMを制御する、デバイス側のenebularということですよね?

竹之下: そうですね。コネクテッドという観点でいくと、いわゆる最近注目されている通信規格のLPWA(Low Power Wide Area)は、すごく制約された通信として期待されているのですが、それにも対応できます。帯域が制限されたところでもプログラムのアップデートができるような機能をenebularは持っています。そうすることでエッジ側での対応がやりやすくなるのです。

 
-LPWAは、上りばかりなのではないでしょうか?

竹之下: 一応下りもできます。

 
-LPWA通信の中で、クラウド側からデバイス側にデータ送ることも可能なのでしょうか?

竹之下: 数十byteと非常に制限されていますが、データを送信したら、一定の時間だけ受信待ちにして、その間にデータが来たら受信するこというとができます。

 
-M2Bコミュニケーションズ社がACK返せます、と言っているやつだと思いますが、それでデータを送るのですか?

竹之下: そうです。それくらいでもアップデートできるような仕掛けを、今enebularに作りこんでいます。

 
-おっしやっているニュアンスは分かるのですが、20数年前に戻っているような。

竹之下: まさにまさに、そうなのですよ(笑)9600bps以下の世界にまた戻ったみたいです。

ハードウェアがわかる人間がいないとIoTは進まない -ウフル インタビュー
奥:株式会社ウフル プロダクト開発部 デバイスプラットフォーム開発部部長 兼 ソリューション開発部部長 竹之下 航洋氏/手前:プロダクト開発本部 デバイスプラットフォーム開発部 勝 純一氏

 
-もうそんな、そんな昔のことを引っぱり出してきたら、楽しくて仕方ないですよね。我々みたいオヤジしかできない(笑)

竹之下: 隣に座っている勝さんはまさに、そういう非常に制限された世界でも組み込みを開発されてきた方です。

勝氏(以下、勝): 前職はそうです。

 
-制限された中で作るというのは、どんな感じだったのでしょうか?

: 自由な空間だと何でもできてしまいますが、通信速度が遅い、帯域が狭いという制限がある中で、いかに効率よくやり取りするかを設計していくのは、面白いです。

 
-プロトコルから作っているのでしょうか。

: そうです。前職は本当そういう所からデータをビット単位で圧縮して、設計もビット単位で全部詰めこんでいました。設計するのは面白いですが、コーディングするのはあまり面白くありません(笑)

 
-昔はプログラマーもbyte単位をきちんと見ながら型宣言しろ、と言われていたのが、今や型宣言しなくてもいいという時代に突入していて、資源の無駄遣いと言われます(笑)

竹之下: まさにenebularが目指している世界はそこなのですよね。その型宣言しなくてもいいくらいゆるふわに作れる、でもそのエッジ側のマイコンでもちゃんと動くものを作りたいのです。

 
-具体的には、プログラムをするとデバイス側のenebularに合うように変換するような機構があるということでしょうか。

竹之下: 変換というか、ランタイムがマイコン側にあり、それがenebularのフローの定義をロードするイメージです。エージェント側がしっかり作られていれば、フローに何かミスがあっても、そのフローが止まるだけで済むのでシステム全体が止まることはありません。

 
-シーケンサーのようにデータフローを設計して、プログラムというよりは、設計していけばどういうふうに動くかなど制御できるということでしょうか?組み込み機械の中に入っていくプログラムを、少し外出しするようなイメージですか。

竹之下: そうですね。ユーザーインターフェース等、外部とのデータのやり取りをするところをやって、モーター制御などはまた別のところでやるという作り方になると思います。

 
-いわゆる組み込み側が動かす領域より一概念上で、組み込みを動かすということですね?なるほど、面白そうじゃないですか。勝さんはウフルに入って、これからやっていきたいことはありますか?

: 昨日入社したばかりですが、どんどん詰め込まれてちょっと今溢れそうになっていますが(笑)、どんどん吸収して、そこからでき上がるものを作っていきたいなと思っています。

ハードウェアがわかる人間がいないとIoTは進まない -ウフル インタビュー
プロダクト開発本部 デバイスプラットフォーム開発部 勝 純一氏

竹之下:勝さんには、コミュニティ面も期待しています。もともと私も組み込み系ですが、組み込み系の人がIoTに上がっていくと結構しんどかったりします。逆にクラウド系の人たちが組み込みまで下りてくるのもしんどいと思うので、そこを何か橋渡しすることをウフルでやれれば面白いかなと思います。

 
-IoTの理想形ですが、確かにそこは問題です。昔からM2Mとしてやっている産業向けのPC制御をやっている人たちが、一生懸命クラウドに持ち上がっていって、どうにかしようという動きはあります。

ただそれだとクラウドのパワーを使えないし、どうしても過去の経験やデバイス側に引っ張られてしまって、組み込みで動かせないという気持ちがどこかにありますよね?日本は特に特殊な組み込みがすごく多いから、バリエーションを全部準備することはできない、という話になります。

竹之下: よく言われます。

 
-だから始める前から諦めてしまうムードがあるのかなと思っていて、今、ゲートウェイをインテリジェントにしようという動きが世界的にあります。いくらフォグをインテリジェントにしても、結局末端のデバイスのところがインテリジェントにならないと、できることがあまり変わらないと思います。

竹之下: そうです、限られてしまいます。

 
-デバイスもインテリジェントな方向にいかなきゃいけないと思いつつも、日本企業が作ったチップに一生懸命対応してもマーケットが小さいという話がある中で、ARMがソフトバンクに資本入れてもらうことで、我々にとってすごく身近な会社になりました。御社はそこに乗って、OSの一層上あたりで、様々なアプリケーションレイヤーになるのでしょうか。

竹之下: 今までの組み込みはファームウェアと言って、ひとつの塊だったのです。例えばファームウェアのところに、アプリケーションレイヤーという概念が新しく生まれるのだと思うのです。

 
-だからある意味Raspberry Piなどには感謝ですよね。Raspberry Piがあるおかげで、デバイスにもOSがあっていいのではないかと思います。

竹之下: Raspberry PiやArduinoなどがあることによって、世界は広がったというのはあります。

: 簡単に手を出せるものがあると、ある程度イメージが付きやすいですね。組み込みがなんだかよく分かんないみたいな状況は、ちょっと脱してきているかなと思います。

 
-組み込み側がリッチになってくると、クラウド側の方にはちょっとしたマシンラーニングが入ると嬉しいと思います。例えば、玄関先で自作したインターネットカメラで管理するということをやる人たちが出てきそうで、面白いですね。

竹之下: enebularはまさにその話が進んでいて、いくつか特殊ノードみたいなものがあります。それはAIの機能を入れたノードや、セキュリティーをエンハンスするノードなどが入ってきています。

ハードウェアがわかる人間がいないとIoTは進まない -ウフル インタビュー
株式会社ウフル プロダクト開発部 デバイスプラットフォーム開発部部長 兼 ソリューション開発部部長 竹之下 航洋氏

 

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