LoRaWANで飛距離9kmを記録 ーいなあいネット電波試験インタビュー[PR]

ADSL実証実験を日本で初めて行った、長野県伊那市にある、いなあいネット(伊那市有線放送農協)。先日その地でLoRaWANの実証実験が行われた。いなあいネットは、メタルケーブルによるADSL網や、光ファイバー網も所有している有線放送電話事業者である。そのいなあいネットが、IoTの潮流を受けてLoRaWANを敷設するための実証実験を行ったという。

実証実験は、伊那市のいなあいネットと株式会社ウフルが行い、結果、9kmの飛距離を出すことができたということだ。

そこで、いなあいネットの小牧氏に取り組みについてうかがった。

いなあいネット LoRaWAN実証実験

ーなぜLoRaWANを活用しようと思われたのですか?

オープン規格なため自由に参入でき比較的安価に構築できることが一番の魅力でした。また、既存のものと比べ、ひとつのゲートウェイで広範囲をカバーできるのも魅力でした。

背景には1997年から今までの20年間で、日本初のADSL網の敷設から運用、および光ファイバー網の運用など、先進技術を活用し、キャリアに依存しない自営網を運用してきたという自負があります。新しい技術であるLoRaのWAN側を自営網で活用することにより、伊那市内においてサービス提供が可能となると考えました。

ーこの仕組みを使うとどんなことが実現できるのですか?

「農業支援」から「有害鳥獣対策」「スマートメータの設置による省力化や異常検知」などさまざまな利用を考えて居ります。

また、「高齢者の徘徊を検知・防止」したり「通学途中の子どもたちの見守り」など、現代社会が抱える問題解決にもつながると考えております。

さらに、いなあいネットが有線放送農業協同組合ということもあって、「農業における圃場の水温管理や温湿度の管理」、「ショートメッセージの一斉送信」など様々な取組もできると期待しています。

いなあいネット LoRaWAN実証実験

ーこれまで運用してきたADSL網とどのような親和性があるのでしょうか?

いなあいネットは46年前から自前のネットワーク(光・メタル)を自前で運用していおります。

現時点で設置しているLoRaWANゲートウェイは本部局に1箇所ですが、エリアを拡大する場合にも、携帯キャリアの通信網を使うことなく、安価で太い通信網を、通信コストをかけずに自由に活用することができます。

また、市内7箇所にある支局にゲートウェイを設置することで、電波の届かない死角となるエリアの解消が期待できます。

自前運営する自由度の高い有線ネットワークと安価な無線ネットワークの組み合わせが今回のポイントです。

ーIoTを実現する上で伊那市において優位になる点はあるのでしょうか?

いなあいネットがある長野県伊那市は、地方版IoT推進ラボに選定されております。

ADSLを日本で最初に敷設した時のように、LoRaWANによるネットワークを他の地域に先駆けていち早く商用利用を目指して構築することによって、地域のIoT化に拍車がかかると共に、LoRaWANを利用したデバイスやアプリケーション開発者のための実験フィールドとしての需要も期待できます。

秋に開催される伊那市主催の「ドローンフェス」と同時期にイベントを行うことにより、「伊那市はIoTの先進地」であることを発信していく、そのことにより伊那市から新しい産業が生まれるなどの経済効果も期待できます。

ー実際にLoRaWANゲートウェイを設置して使ってみていかがでしたか?

電波が長距離飛ぶことに驚きました。事前には都心だと2〜3キロくらいしか飛ばないと聞いていましたので。

しかし、伊那市においては天竜川沿いの河岸段丘という土地柄、街の中心部から山に向けて見通しが良いことが地理的にとても良い条件となっていたのでしょう。

先日行った電波の受信試験の時には、5月11日に最大到達距離7.8km、その約1週間後5月19日には最大到達距離9kmを記録しました。

これは海辺でもない限り、日本国内の陸地においてはおよそ最長距離と言っても過言ではないほどの到達距離です。

これも電波のカバー範囲を広く取れるメリットに繋がると考えています。

いなあいネット LoRaWAN実証実験

ー具体的に普及させるために、どんな事をやっていこうと考えていますか?

まずは、当組合の事業主体が農業分野ですから、スマート農業と農業に従事する方々達の健康に向けたアイデアソン・ハッカソンを6月24日、25日の2日間実施します。

さらにはそこから生まれたアイデアやデバイスやサービスを絵に描いた餅で終わらせることなく複数回のハッカソンやビジネス化にむけたモデル評価などを通じて確実に実用化に向けて商業展開します。

これまでADSLを商用ベースに載せてきたという自負もありますので、LoRaWANを用いた事業展開やサービスモデル構築もとても楽しみにしています。

ー今後どういう展開を考えられていますか?

6月のイベントを単発のイベントに終わらせることなく、今年度は8月、10月とハッカソンを数回実施いたします。

また、そこに集うプログラマやクリエイター達をコミュニティとして関係性を維持し続けながら、実際のビジネス構築に向けた様々な支援を地元や東京など様々なエリアとのコラボレーションによって支援し、実現していきます。

さらに、この取り組みを毎年継続して実施していくことで、伊那市や伊那バレーの魅力を理解して頂くとともに、この地をIoTやAIなど先端技術の発信地に育てていきたいと考えています。

ーありがとうございました。

伊那市LoRaWANハッカソン

2017年6月24日(土)、25日(日)に、県内外のクリエイターやデベロッパーを招き、「オープンイノベーション」の考え方で農業や少子高齢化などの地域に根差した課題の解決に取り組むハッカソン。

ハッカソン期間中、伊那市内に SORACOM LoRaWAN 共有ゲートウェイを設置し、参加者はLoRaモジュールと ARM mbed プラットフォームを使用することで、様々なセンシングデバイスを簡易に開発できるようになる。

参加者は2日間の日程で、現地の実情に触れながらアイデアを出し合い、実際に動作するシステムを構築することを目指す。

また、ハッカソンの成果は、伊那市での実用化を目指した支援も行うということだ。

会場は、JA上伊那 本所 (〒396-8510 長野県伊那市狐島 狐島4291)。東京からの場合、新宿から高速バスで三時間半程度。

http://www.ibgr.jp/highway-express/

宿泊は、近隣のホテルを紹介(自費)するということで、持ち物もノートPC、USBメモリ、筆記用具程度でよい。

地方の抱える実際の課題を、解決してみたい人は、特に参加して欲しい。

 
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