富士通、ブロックチェーンの応用による安心・安全なデータ流通ネットワークを実現するソフトウェアを開発

富士通株式会社は、様々な組織や企業に蓄積されているデータの相互利活用の促進に向け、独自に開発したデータアクセス制御技術によって安心・安全なデータ流通ネットワークを実現するソフトウェアを開発した。同ソフトウェアは、株式会社富士通研究所が開発した、ブロックチェーンの応用による分散データアクセス制御技術「富士通VPX(Virtual Private digital eXchange)テクノロジー」をベースとしている。

「富士通VPXテクノロジー」は、ブロックチェーンの機能を拡張し、データ提供者が保有するデータの属性情報と、データの保管場所に紐づいたID情報をブロックチェーンの分散台帳に登録し、登録されたデータを取得できるデータ利用者を限定するアクセス権限の設定などを可能にしたもの。さらに、独自のスマートコントラクト(注1)を搭載することで、データの提供者と利用者のデータのやり取りを、予め設定されたアクセス権限に基づいて自動的に実行することもできるという。

同ソフトウェアを利用し、複数の組織や企業が参加するデータ流通ネットワークを構築することで、参加者間での安心・安全かつ迅速なデータ取引を実現することが可能になるとしている。

近年、IoTの普及などによって人やモノに関連した様々な情報がデータ化、蓄積され、ビッグデータ解析やAI(人工知能)の活用によって新たな価値創出を目指す取り組みが世界的に加速している。その実現には、多様なデータが大量に必要となるため、様々な組織や個人が保有するデータを相互利活用していくことが重要だという。

しかし、一般的なデータ相互利活用の仕組みでは、データ提供者は保有するデータを外部環境に預けなければならないため、セキュリティやプライバシーなどの懸念から、企業や組織の枠を超えた相互利活用があまり進展していない。このような状況に対応して、同社はデータを外部環境へ預けることなく、自身の持つ環境に置いたまま相互利活用できる、分散環境を前提としたデータ流通ネットワークを実現するためのソフトウェアを開発した。

ブロックチェーンは、ネットワークに接続された複数のコンピュータが取引記録などを分散台帳として共有し、相互に認証する技術で、仮想通貨の流通などに活用されてきたが、近年ではそれ以外の様々な分野で活用が進んでいる。同社は、安心・安全なデータ流通ネットワークの実現に向け、ブロックチェーンの応用による分散データアクセス制御技術「富士通VPXテクノロジー」を活用したソフトウェアを開発した。同ソフトウェアの特長は、以下の通り。

  1. 提供データの属性情報とデータの保管場所に紐づいたID情報を分散台帳に登録
    データ提供者は、データの保管場所はそのままに、提供するデータの属性情報(データの種類や、そのデータに含まれる情報要素など)と、データの保管場所と紐づけたID情報をブロックチェーンの分散台帳に登録することができる。そのため、データ利用者は分散台帳に登録された属性情報から必要なデータを容易に検索するとともに、データのID情報を入手することが可能となる。データ提供者は、利用者に保管場所から直接データをダウンロードさせるのではなく、ID情報でデータの申請を受け、それに対応したデータを利用者に対して暗号化して送付する。そのため、データ提供者はデータの安全性を維持したまま、データのやり取りを行うことが可能。
  2. 提供データごとにアクセス権限を設定可能
    データ提供者がブロックチェーンの分散台帳に提供データの情報を登録する際、データごとにアクセス権限を自由に設定することが可能。これにより、データ提供者は分散台帳を閲覧できる全参加者の中から、アクセス権限を付与した参加者にのみデータの情報を開示することができる。
  3. データの申請から送信までのプロセスを自動化
    データ利用者がID情報でデータの申請を行ってから、アクセス権限を認証し、データが送信されるまでの一連のプロセスを自動的に実行するスマートコントラクトを搭載している。そのため、効率的なデータのやり取りを行うことが可能。

なお、今回開発されたソフトウェアは、コンソーシアム型ブロックチェーン「Hyperledger Fabric」(注2)をベースに、ブロックチェーン上で実行される独自のスマートコントラクトを開発することにより実現したという。

富士通、ブロックチェーンの応用による安心・安全なデータ流通ネットワークを実現するソフトウェアを開発
ブロックチェーンを拡張したデータ流通

同社は、同ソフトウェアを拡張し、「FUJITSU Network Virtuora(バーチュオーラ)」(注3)シリーズの一つとして2017年度内に製品化することを目指すとしている。

注1 スマートコントラクト:事前に設定された条件に基づいて自動的に契約を実行する機能。
注2 Hyperledger Fabric:Linux Foundationが中心となり創設された、OSS(オープンソースソフトウェア)のブロックチェーン技術推進コミュニティー「Hyperledger Project」で技術開発されているブロックチェーン技術の名称。同社もプレミアメンバーとして参画。
注3 FUJITSU Network Virtuora:SDN(Software Defined Networking)/NFV(Network Functions Virtualization)を含む、広域ネットワークを活用するサービスに対し、最適な通信環境となる仮想ネットワークをオンデマンドで提供するソフトウェア製品

提供:富士通

【関連リンク】
富士通(FUJITSU)
富士通研究所(FUJITSU LABORATORIES)

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