ARMが「ARM DesignStart」プログラムを強化、「Cortex-M0」「Cortex-M3」プロセッサの設計開始時のライセンス費用を無償化

この記事は英ARMのブログ記事で発表された内容である。

ARMは本日6月20日、同社のプロセッサコアである「Cortex-M0」と「Cortex-M3」の設計開始時のライセンス費用の無償化を含む「ARM DesignStart」プログラムの強化を発表した。

ARM IPへの迅速なアクセスを実現する同プログラムは、2010年以前から提供されている。2015年にCortex-M0が同プログラムに追加されたことで、高効率なカスタムシステムオンチップ(SoC)の開発が容易になり、現在は数百の組み込み設計企業、スタートアップ企業、OEMメーカーが同プログラムを通じてARMエコシステムに携わっているという。同プログラムから生まれたカスタムSoCは、多様なIoTデバイス、コネクテッドデバイスとなって組み込みインテリジェンスを実現している。

そして、カスタムSoCを設計しようとする開発者や、新しいアイデアを迅速かつ最小のリスクで市場に投入したいと考える開発者の成功への道をさらに広げるためにDesignStartを強化しているという。

ARMは、IoTやインテリジェントなコネクテッド ソリューションの開発がさらに利用しやすくなるように、カスタムSoCの評価、設計、市場投入のための最短経路を提供するべくDesignStartプログラムを以下の点で強化した。

  • ARM Cortex-Mシリーズで最も成功しているCortex-M3プロセッサを同プログラムに追加
  • 幅広いスマート組み込みアプリケーションに対応するべく、Cortex-M0も同プログラムに引き続き適用
  • 設計開始時のライセンス費用と評価を無償化。これにより、成功報酬型のロイヤルティモデルが適用され、カスタムSoCの開発リスクが低減
  • 即時の無償ダウンロード、評価、プロトタイプ開発を可能とするファストトラックアクセスにより、CPUの商用化を数日内に実現
  • ARM CoreLink SDK-100に含まれる実証されたサブシステムやシステムIPソリューションへのオンラインアクセスにより、生産までの開発期間を大幅に短縮
  • CoreLink SSE-050サブシステムとmbed OSに対する検証済みのサポートにより、拡張性とセキュリティを備えたマネージドIoT製品の開発にかかる生産性が10倍以上向上
  • ARMおよびARM認定デザインハウスパートナーによる設計サポートサービスにより、「チップが欲しいだけ」の企業もカスタムSoCで収益を生み出すことが可能に
  • 何千ものフィジカルIPライブラリを利用できるため、高速で効率的なシリコン実装が可能に

Cortex-M0プロセッサまたはCortex-M3プロセッサを搭載したチップは、今までに200億個以上も出荷されており、そのうちの約半分がこの2年間で出荷されているという。これらのプロセッサの普及は、その汎用性と非常に小さいサイズと電力特性によってもたらされ、バッテリーを必要としないエナジーハーベスティング アプリケーションでさえも可能にするという。また、Cortex-M0は、人間の髪の毛の断面にフィットすることもできるとしている。

2016年10月末に開催されたARM TechConでは、ソフトバンクの代表取締役社長である孫 正義氏がなぜARMを買収したのか、また、2035年までにコネクテッドデバイスが世界1兆個を超えるという同氏のビジョンの中でARMの役割を示した。このビジョンを実現するには、組み込みインテリジェンスは一般的なプラットフォーム上で簡単かつ経済的に提供されなければならないという。

それには、カスタムSoCが必要だとしている。これにより、複雑さとコストを削減し、差別化と効率を高め、サプライチェーンを簡素化することができるという。 Tirias Researchの新しいホワイトペーパーでは、カスタムSoCは売上増加と利益率の向上の両方をOEMメーカーにもたらすと強調している。
ARMが「ARM DesignStart」プログラムを強化、「Cortex-M0」「Cortex-M3」プロセッサの設計開始時のライセンス費用を無償化

すでに多くのARMパートナーがカスタムSoCによって利益を上げているという。たとえばS3 Groupは、工業制御アプリケーション向けに消費電力を70%、部品のコストを80%、プリント基板の大きさを75%縮小するARMベースのカスタムSoCを開発した。
ARMが「ARM DesignStart」プログラムを強化、「Cortex-M0」「Cortex-M3」プロセッサの設計開始時のライセンス費用を無償化

しかし、本当の意味でこれらのカスタムSoCの可能性と市場投入の加速を実現しているのは、すでにARMベースのプラットフォームで利用可能な様々なソフトウェアとミドルウェア。更に容易に利用できるオープンソースのサポート、ツーリング、エコシステムがあり、ソリューションにさらなる価値をもたらすとしている。

ARMは、この大胆なビジョンを実現すべく、DesignStartプログラムを大幅に強化した。これにより、シリコン設計チームは、毎時50万個出荷されるプロセッサコア、Cortex-M0とCortex-M3を活かした革新が容易になるという。また、極めて小さなセンサーから高集積度のSoCまで、日常的なインテリジェンスを支える幅広い機器の設計をカスタマイズする機会を創出するとしている。

設計を開始するための即時アクセス、非常に低リスクな設計を可能にする完全なシステムプラットフォーム、検証済みのソフトウェア、設計開始時には無償となるARMまたはサブシステムIPにより、迅速な市場投入のリスクが大幅に軽減され、新しいアイデアを実現することができる。また、試作品と初期サンプルはロイヤリティフリーで、デバイスの出荷時にロイヤルティ支払いが発生するという。

【関連リンク】
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