「誰でもわかるIoT〜未来のお店はどうなる?〜」イベントレポート[PR]

2017年6月28日、株式会社スマレジ主催、店舗運営者向けイベント「誰でもわかるIoT〜未来のお店はどうなる?〜」が開催された。

店舗を運営する側の視点で「IoT」について学びながら、一緒に「未来のお店」について考えるイベントで、店舗運営者やIoT有識者による「基調講演」「パネルディスカッション」「ユーザートークセッション」が展開された。

基調講演

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基調講演「IoT,AIで世界が変わる」では、さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中氏が、インターネットの歴史を紐解きながら、第三次産業革命でITが登場し、第四次産業革命でIoTやAIが台頭してくるまでの流れを解説した。

当初は一部の人に利用されていたITはこの20年で誰もが利用するインフラになった。IoTやAIもこの流れをたどることは必然であり、これからIoT,AIを提供する側になれば大きなビジネスチャンスがあるかもしれないが、それらを活用するだけでも会社の生産性や顧客へのリーチを向上できるだろうと語った。

また、IoTの普及の背景にあるのは、通信網の発達・技術向上と端末の低価格化・データのクラウド化の3つで、今後ますます活用が広がれば、人不足の解消・生産性の向上・働き方の変革などが可能になるとのこと。今のところセキュリティに関する課題はあるが、「今後IoTがすべてのことを変えていくだろう」と締めくくった。

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第二部「IoT有識者とお店の人によるパネルディスカッション」では、ビーコンを導入した施策を実験的に行っているアパレル関連企業と、RFIDタグの導入を検討している靴下のSPA企業の方に話を聞き、IoT有識者を交えてそれぞれのトピックについて対話した。

まず本題に入る前に、「IoTとは何か」を定義する議論を展開。結果、モノがインターネットに繋がって、人の入力によらない、自動で生成されるデータがあることを、今回のディスカッションでは「IoT」と定義することとなった。また、昨今の店舗におけるIoTのトレンドとして、Amazonの画像認識による無人店舗や、GUのRFIDによる無人決済レジなどが、IoTNEWSの小泉から挙げられた。

IoTでお客さまとの関係は変わるか?

株式会社ナノ・ユニバース 経営企画本部 WEB戦略部 部長の越智氏によると、ナノ・ユニバースではビーコン・チェックインシステムによる来店スタンプ(スタンプ20個で1000ポイントがプレゼントされる)の施策を行っているという。

来店時にアプリを立ち上げていることや、ブルートゥースに接続していることなどが条件になるためどこまで利用されるかを懸念していたが、10000円前後の商品を多く揃えている同店で1ポイント=1円として利用できるためバリューが高く、利用者の反応も良好とのこと。そして、このビーコン・チェックインシステムを活用した施策として、来店者の購入履歴等をタブレットの顧客台帳に保存し、店頭スタッフの接客・商品提案時に活かしていくことも考えているという。

実現されれば、店頭スタッフが顧客IDに紐付いた情報を閲覧できるため、きめ細やかな提案が可能になるだろう。これらの施策を運用に落とし込むには、顧客の個人情報をどう保護するかという課題の解決が必要だが、個人情報の問題については、今後システム側で公開の可否を判断するような仕組みができれば、解決できるかもしれないとのアドバイスが小泉からあった。

また、越智氏によると、実際にシステムを利用する側の店頭スタッフを啓蒙して味方にしていくことも、店舗のIT化にとっては不可欠とのこと。ちなみに、ナノ・ユニバースはEC化率が40%という高い比率になっており、店頭販売において新しい価値や今までにない購入体験を提供していくためのテクノロジーの活用については、常に考えているようだ。

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IoTで商品管理は効率化できるか?

タビオ株式会社 システムソリューション部 次世代リテールシステム開発チームリーダーの中村氏によると、現在タビオはRFIDタグの実験的な導入を検討しているそうだ。

タビオは靴下のSPA企業として全国に280店舗以上を展開しており、RFIDの導入は店舗における棚卸を始めとする商品管理の効率化を目的としている。RFIDといえば、タグ自体のコストの高さが普及の足かせとなっているが、昨今価格が下がってきていることもあり現実的なソリューションになりつつあるとのこと。さくらインターネットの田中氏は、一つのRFIDタグを多面的に活用できる店舗では大きなメリットを得ることができ、さらにタグを使い捨てにせず購買後のキャンペーンなどに活用すればまた新しい可能性が出てくるとコメントした。

タビオでは週次で人が需要予測を立てて「売れる商品」を生産して販売し、「在庫を持たない」ことを徹底している。中村氏は需要予測のAIにも注目しているが、現時点では信憑性のある需要予測はまだできないと考えていて、精度の向上に期待していると語った。これからAIやIoTによって、売れる商品だけを販売できるようになれば、在庫という概念がなくなりバーゲンセールのようなものがなくなる可能性もあるかもしれない、と田中氏がコメントした。

IoTで人件費は下がるか?

ナノ・ユニバースの越智氏は、将来的に店頭スタッフの「接客以外の煩雑な業務」はテクノロジーで解決して、お客さまが試着をしたあとのプロとしての接客という部分に力を入れていけるような環境を作っていきたいと述べた。

それが結果的に人件費の削減につながっていくとのこと。中村氏は、現状タビオで人が手と時間をかけてやっている作業(例:棚卸)をテクノロジーで代替できれば、スタッフは店頭の接客業務に集中できるようになるのではないかとコメントした。これからは、IoTをはじめとするテクノロジーで解決できる部分はテクノロジーで解決し、人はより「人でなければできない仕事」に特化していくのではないかという結論に至った。

第三部「スマレジ・ユーザーによるIoT事例トークセッション」では、スマレジのユーザーが中心となって運営しているコミュニティ「#スマレジ会」のメンバーによるIoT導入事例・体験談を発表するトークセッションが展開された。

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飲食店を運営する株式会社favy 業態開発div 部長 井上氏は、ホールスタッフの業務を効率化するために青山にあるカフェ「ランドロイド・カフェ」に導入した、ワイヤレスコールベルサービスの事例を発表した。

扱いが簡単で壊れにくい点や、空間をスマートにできる点、接客の効率化を利点として述べた。しかし、リストバンドのアラート制御ができないことや、小さな子供がいるような飲食店には不向きなことを指摘し、ベンダーの課題解決に期待すると述べた。また、IoT技術の進化により解決して欲しい課題として、ファストフード店などでの行列待ち解消や飲食店の空席予測、空席回避などを挙げた。

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主に女性向けのアクセサリーなどを販売する小売店を運営する株式会社和心 執行役員若槻氏は、自社で運営する着物レンタルショップの着物2000着にRFIDタグを付けて商品管理をしている事例を発表した。

以前は、バーコードで管理をしていたが、着物の裏側に貼っていたためバーコードにたどり着くのに苦労し、棚卸しにも非常に時間がかかっていたとのこと。RFIDタグに切り替えたことにより、棚卸の工数を10分の1まで削減することができ、今後、レンタル事業を拡大するための在庫をより多く持つことができるだろうと期待を寄せた。

店舗運営者を対象としていたため、参加者が身近に感じられる導入事例や今後の課題・期待などが展開されるIoTのイベントとなった。参加者にとって、未来のお店像について考えるきっかけを提案したイベントになったのではないだろうか。

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