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IntelのIoTプラットフォーム戦略・事例 -M2M/IoTカンファレンス

先日「M2M/IoTカンファレンス」が御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで開催され、インテル株式会社 ビジネス・デベロップメント・グループ 下堀 昌広 氏による、「IoTによるビジネス変革とインテルのIoTプラットフォーム戦略・事例」が発表された。

冒頭では、過去10年でセンサーのコストは約半分、通信コストは40分の1ほど、モノから生まれる大量なデータを処理する基盤の情報処理コストは60分の1、とコストが下がっている点を挙げた。

2015年時点では150億のデバイスが、2020年には、デバイスが500億もの生まれると予測し、その中の大部分が、今までのスマートフォンやノートブック以外の新しいデバイスが加速度的に増えていくという。また、センサーの数が44ゼタバイトという計り知れない大量のデータ処理が始まると言われている。

現時点で産業の分野においてデバイスの85%くらいがまだインターネットに繋がる仕組みを持っていない現実があるとし、ゲートウェイのような存在が重要になってくる、とコメントした。

気を付けなければいけないこととして、センサーや制御機器は接続されることを前提とせずに作られているので、セキュリティ面での施策が遅れている点を挙げ、こういったデバイスが突然ネットワークに繋がると、サイバーセキュリティの懸念があり、大きな課題となっていると警笛を鳴らした。

事例の紹介

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■スマート・トランポーテーション
事例のひとつめは、スマート・トランスポーテーション。いわゆる商業トラックの運行計画や管理をするシステムだ。課題としては、年々上昇する燃料コスト、環境配慮、運転者の安全、予測不可能なメンテナンス問題などがあった。

ターゲットは自動車の運行管理をしていくという方はもちろん、トラックを運転する方が効率よく安全に運転するか、という高いモチベーションを持ってる人で、このソリューションを活用したエンドユーザーは、年間15億円の燃料コストの削減に繋がり、さらにドライバーの安全で効率的な運転に繋がったという。

どうやって安全運転するかという点については、車載センサー、運転の状況などをセンサーで取得し、そのデータをデータセンターで解析でして、次の運行計画につなげていき、安全運転のための知見を得ていくという流れだ。

ネットワーク事業者など様々な知見を持ったプレイヤーが入って、ひとつのソリューションを作りあげサービス化し、燃費向上、メンテナンス費用削減、運転者の安全性改善などに繋がったという事例であった。

■スマートビルディング
続いて、空調をどうしていくのかという点をダイキンと一緒に取り組んだ、スマート・ビルディングの事例の発表があった。機器とビルの制御が別々に作られており、メンテナンスも最適化したいという課題があったという。

ダイキンの機器はすでに効率性の高い、最先端の機器だが、さらに継続的に改善していくにはどうしたらいいかという点については、まずはデータを取得して何が起こっているのか理解し、改善していくというのをハードウェアのビジネスに加えてサービスのビジネスとして、新たな収益源とできないかという、新しいビジネスモデルの創出を検討したという。

例えば、機器を買うとビル管理のソフトウェアもついてくる、というサービス展開もできるし、効率性の追求というのはビルオーナーの経営の改善に繋がる。それそのものがサービスになり、一種のビジネスイノベーションを起こすような事例となっているとした。

クラウドに繋がって、データを解析してどうするのか。それは、効率化や、いかに機器のパフォーマンスがでるのかということを管理するサービスをこともできるし、メンテナンス計画や、メンテナンスをする方の配置計画、パフォーマンスとアセット管理という2つの面における、新しいビジネスが生まれたというケースになっている、と締めくくった。

■スマート・ヘルスケア
最後にスマート・ヘルスケアの事例だ。

アメリカでは年を取ってくると100人のうち1人程度の割合で、パーキンソン病を患う。

パーキンソン病というのは、なかなか診断が難しいというのがあり、医者に診てもらったからといってすぐわかるわけではないという。場合によっては数年かけてやっとわかる場合もある。診断されるまでは適切な治療、処置もできないので病気が進行していってしまう。診断が難しいうえに手遅れになるケースがある病気だそうだ。

診断までの経過を待つと6から8割、病気が進行してしまうという課題があった。そこでひとつの方法としてIoTを活用し、患者または症状が出てきている方にウェアラブルデバイスをつけてもらい、体の震えや睡眠パターン、歩き方やふらつき、体のバランスの状態を取得すると、これまで以上に早く正確な診断ができるという。ケースによっては、1日1Gバイトのデータが上がっており、それを世界から集めているので、ビッグデータ解析が可能となる。

事例から見えてくることとして、モノからの新しいデータの発見と取得、リアルタイム性を備えたビッグデータの解析、エッジ(ゲートウェイやクラウドによる分散処理、実世界のモニタリングから得られる気づき・理解などをあげた。

IoTをスケールする際の課題

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次のステップにどう向かっていくのか。新しいビジネスを生んでいく時に目的を持つのはもちろんのこと、それをどう実現していくのかというのはいくつかのステップがあり、テクニカルに解決する方法の紹介があった。

まずはモノを繋でいく、そして繋いだものが安心に使えるセキュリティを備えていること、遠隔地にあるものも含めた大量にあるシステムアセットを管理していくという重要性、それをしたうえで集まったデータを解析・活用していく。

活用の仕方は、予測モデルを作ったうえで、ビジネスの最適化につながっていくという、段階を踏んでいくことが大事だとコメントした。最適化というのは自律的なシステムとしての動きも含まれる。

IoTをやっていくと何かいいことがありそうというイメージがあるが、現状はIoTをスケールするという点では課題が残っているという。

その理由として、まずはセキュリティ、プライバシーがあるが、それはどこまでやればいいのか。やればやるほどいいものは作れるかもしれないが、そこにはコストがかかるうえに、システムが複雑化されてしまうので、バランスが必要になる。

さらに、例えば、風力発電、自動車、監視カメラなどマーケットごとに、モノを繋いでデータを集めて、クラウド解析してというモデルはありつつも、ユースケースによってかなり緻密に作られている。スマートシティなどを考えると、様々なバーティカルがコラボレーションしていくことを考えたときに、データの互換性がない、システムのつなぎ目がないという実態がある。

さらには、実感している人も多いと思うが、OT(現場のテクノロジー)や、ITというのがなかなかお互い受け入れられない、それは人の問題なのか、システムの問題なのかというのがあるが、システムとして解決することで、新しいワークフローがうまれてくると予想しているとコメントした。

さらに接続性というところで、色々な接続方法がある。モノを繋ぐといってもそれぞれに言語があり、繋ぐのが難しい。また、ビッグデータ解析はいいが自社で本当に価値が生み出せるのか、やってみないとわからないが、やろうとすると費用がかかる。

など、様々なハードルが具体的に起こっている点をあげた。

IoTをスケールするIntelのプラットフォーム

エッジからビジネスまでシステム全体デザインとそれをどう運用していくかについては、Intelの様々なソリューションをフル活用してサポートをしてくれるという。

例えば、Intelが強みとするシリコンテクノロジーやセキュリティ、組み込みOSのWindRiverから提供されるような、いかにデバイスを効率よく動かすのか、インテリジェントな機能を持たせるのか、どう管理するのかというのを端から端までサポートしてくれるという。

大量の新しいデバイスのデータを集めて、インテリジェントな処理をしつつ、ネットワークにデータを入れていくゲートウェイでは、IntelがIoTゲートウェイというリファレンスデザイン(半導体を利用した製品の設計図)、CPUとそれに乗るスタックの部分を合併したものを提供している。

IntelのIoTについては様々なアップデートされており、8月に行われた Intel Developer Forumでは、ゲートウェイを中心に、いかに新しいアプリケーションを効率よく、かつセキュアに、インテリジェンスを入れていき、アイディアがあれば、それをプロトタイプして実装して、製品化するというスピード感を持って進められるプログラム、Intel IoT Developer Programを発表した。

さらにWindRiverから提供されるデバイスのマネジメントプラットフォーム、Discovery Peakというデータ解析基盤でオープンソースの解析のパッケージ、これはデータ解析の基盤をいかに使いやすくコスト的にも有利に使うことができるソリューションだ。

そしてIoTにおけるセキュリティとプライバシーのかなめになっているIntel Enhanced Privacyという、IntelのIoTプラットフォームにIoTをセキュアに接続していくための仕組み、機器固有のIDを実装して、プライバシー匿名性を確保するという認証の仕組みを実装したもの、などの取り組みなども発表した。

下堀氏は、チップからサービスまで提供できるものをエコシステムとして作って広げていきたいと意気込み、最終的にIntelはIoTで新たなビジネスの創出をし、市場全体の成長を牽引したいと締めくくった。

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