[第12回]2020年、クルマの自動運転は実用化にむかうべき

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IoTをゼロベースで考えるの第12回は、「そもそも、どうやってクルマが自動で車道を走ることができるのでしょうか?かなり前から自動運転の構想はあったと聞いていますが、なぜまだ実現しないのでしょうか?」という質問を読者からもらったので、今回はこの質問に回答をする。

そもそも、どうやってクルマが自動で車道を走ることができるのか?

この疑問については、まずは、「カーナビに目的地をセットすると目的地までのルートが設定され、あとはエンジンをかけて自動運転モードにすれば、カーナビが指すルートにしたがって動く」という状態をイメージをしてみてほしい。

現状の技術では、まずクルマは、インターネットと通信し、クラウド上にある地図情報で目的地までのルートを理解する。(もしくは、通信しなくてもクルマ内部の地図情報でルート設定できるが、クラウドと接続したほうが情報の鮮度が高い)そして、地図情報だけではわからない、前を走っているクルマとの車間距離や、突然の飛び出しなどは、クルマについているセンサーで把握する。

信号機の色の変化はカメラの画像認識と位置情報、信号機から発せられる情報などを組み合わせて取得することができるのだ。

さらに突発的な事故が起こり、道路規制がされているといったケースに遭遇することがあると思うが、こういった情報は人間であれば目で見て自分で判断して、事故車をよけたり、迂回したりという行動を起こす。このような判断をクルマがくだすには、人工知能を搭載させる必要があると言われている。

実際、TOYOTAは米マサチューセッツ工科大学(MIT)と米スタンフォード大学と一緒に、約5000万ドルの資金を投入して、人工知能の研究をはじめた。

なぜまだ自動運転が実用化されないのか?

自動運転カーが実現されるのには大きく4つの課題があると言われている。以下がその課題だ。

  1. なんらかの衝突をうまく回避できるか?
  2. 衝突しそうなこと(飛び出しなど)を予知できるか?
  3. GPSで位置を取った場合の位置のずれをどう補正するか?
  4. 人命にかかわるようなことが起きたときどういう判断をするか?

1.なんらかの衝突をうまく回避できるか?

今でも、高速道路では、クルーズコントロールという機能をつかって、アクセルを踏まなくても一定の速度で進む、もちろんブレーキをかけたりすることはできる、ということは実現できている。

さらに、ミリ波レーダーというレーダー技術を使って、クルマの前後で他車両と近づいたり、物体に近づくと速度を遅くしたり自動で停止したりすることも実現できている。

これは、テレビCMなんかでも手放し運転をして壁にぶつかりそうになったクルマが自動的に停止するというのを見たことがある人は多いのではないだろうか?

こうやって、何らかの物体との衝突を回避する技術というのはすでに一部のクルマには装備されており、この技術を活用することで大きな衝突事故は回避できると考えらえれる。もちろん、誤動作が起きないわけではないので完ぺきとは言えないが、人間が操作した場合と、自動で誤動作が起きる場合の事故発生率を考えるとよいだろう。

 

2.衝突しそうになったこと(飛び出しなど)を予知できるか?

これは、実はまだ完全な予知はできない。センサーを曲がり角の向こう側まで飛ばすことである程度の予知は可能となってきている。

ただ、精度の問題もあり、急な飛び出しにきちんと対応できるのか?というところでまだまだ実用化ができているとは言えない。クルマとクルマ(V2V)だけであれば、すべての車に車の接近を近くのクルマに通知することができる機能(すでにTOYOTAはITS Connectという機能をリリースしている)を搭載することで、回避は可能なのだが、人に関してはそういった情報を近くのクルマに発信することができないので曲がり角から突然人が飛び出すのを感知することは難しいといえる。

このことがあって、一般公道ではなく、高速道路上だけについては自動運転を可能とするという動きが出てきているのだ。

 

3.GPSで位置を取った場合の、位置のずれをどう判断するか?

人間の場合はどうだろう?位置がずれていることを知るのは、道路標識や周りの景色ではないだろうか。

つまり、クルマにつけたカメラが画像認識をしていくことで、今いる場所がGPS上の場所と同じかどうかは捕捉することができる。

また、今後、画像認識のためについたカメラがクルマの風景を撮影し、クラウド上で共有する流れになってきたら、自分が乗っているクルマが正しくは知っているのかも、画像マッチングによってその精度もあげていくことが可能となる。

 

4.人命にかかわるようなことが起きたときどういう判断をするか?

この問題は自動運転カーに関して最も問題になる課題だ。つまり、自動運転カーが走行していて、人にぶつかりそうになったとする。

その場合、もちろんクルマは衝突を回避するために停止するのだが、停止できない場合に自分のクルマがよけたため、運転者自身が死亡することも考えられる。

また、停止をするといっても急な停止は後続するクルマから衝突をうけることもある。

なにが、正しいことなのか?ということについては、簡単には解決がつかないことだが、この問題は高速道路でも起こり得る。

そこで、まずは、高速道路上に自動運転レーンを作る、自動運転可能エリアが決められる、などという動きから始まり、徐々に一般道で自動運転カーが走る日がくるのだと思われる。

ジュネーブ条約と保険制度の問題

こういった技術的、倫理的な問題が解決したとしても、「なぜまだ自動運転の未来が実現されないのか?」という質問に答えるのに、大きい問題とされるのは国際条約と保険制度だ。1949年にジュネーブで作成された道路交通に関する条約では、「車両又は連結車両には、それぞれ運転者がいなければならない」という大前提がある。自動運転のコンセプトカーでは、運転席がなくラウンジのような席になっているクルマがあるが、現状では、「運転席に人がいない」ということがそもそも許されていない。

また、保険制度については、自動運転カーの起こした事故は誰の原因で、誰が保険金を支払うのか?という点を解決する必要がある。

自動運転の技術はありながらも、法整備も整っていないので、仮に技術が完成したとしても日本の車道を走ることが許されていないから、自動運転の未来が実現されていないというのが大方の見方だ。

しかし、これらの諸問題は議論によって解決がつくものだ。例えば、飛行機は離着陸以外はほとんど自動運転だが、そのことについて問題視する人はほとんどいない。飛行機は急な飛び出しなどがほぼあり得ないというなら、新幹線も自動運転の技術が進んでいることを考えればよい。これらは、初めから技術の進歩を受け入れる素養があり、事故が起きた場合の対応・対策についても人が決めたルールにのっとって対応しているのだから、クルマの自動運転も実現できるはずだ。

2020年の東京オリンピックに向けて、クルマの自動運転に期待がかかる。

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