ルネサス、自動運転のソフトウェア統合開発環境「e2 studio」を車載情報・ADAS用SoC「R-Car V3M」に拡充

ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下、ルネサス)は、ソフトウェア統合開発環境「e2 studio」を車載情報・ADAS(Advanced Driver Assistance Systems:先進運転支援システム)用SoC「R-Car V3M」に拡充し、2018年第1四半期より提供を開始すると発表した。

「e2 studio」は、オープンソースのソフトウェア統合開発環境Eclipse CDT (C/C++ Development Tooling)をベースとする、RZファミリ、Renesas Synergyなどのルネサス製デバイスに対応した統合開発環境だ。

ルネサス、自動運転のソフトウェア統合開発環境「e2 studio」を車載情報・ADAS用SoC「R-Car V3M」に拡充

今回、「e2 studio」は車載情報・ADAS用SoCのソフトウェア開発に向けた第一弾として「R-Car V3M」をサポートする。このR-Car向けに拡充された「e2 studio」を使用することで、自動運転に向けたソフトウェアを効率よく開発できることが期待される。

R-Car V3M向け「e2 studio」は、車載情報・ADAS用SoCのソフトウェア開発環境の中核を担うツールであり、本年4月に発表された「Renesas autonomy」コンセプトに基づく一連のソリューションの一つという位置づけだ。

ルネサスの車載向け低消費電力・高性能SoCには、ホストCPU、アクセラレータなどの多様なIP (Intellectual Property)を組み合わせたヘテロジニアスアーキテクチャが採用されている。

これらのIPをそれぞれが独自のプログラム言語、ツールチェーン、トレースインタフェース、デバッグプロトコルを使用することで、開発者はIPの機能、性能を最大限に引き出し、自動運転を実現するための多様なソフトウェア、アプリケーションを開発できる。

このような技術背景のもと、ルネサスはR-Car V3Mに内蔵される画像認識エンジン「IMP-X5」をはじめとする各IPの演算性能と低消費電力性能を活かすため、既存の「e2 studio」にR-Car向けの各種新機能を追加することにした。

R-Car V3M向け「e2 studio」を使用することで、開発者はR-Car V3Mに搭載された多様なIP向けのソフトウェアをGUI (Graphical User Interface)で開発することが可能になる。

次に、R-Car V3M向け「e2 studio」の特長を以下で紹介していく。

各種新機能の搭載によりADAS向けソフトウェア開発をサポート

マルチスレッドプログラミング環境

Eclipseが提供する統一されたGUIのもと、 IMP-X5に内蔵される64スレッド並列プロセッサのプログラミングをサポート。R-Car V3M向け「e2 studio」には、IMP-X5専用Cコンパイラ「ccimp」が組み込まれているため、C言語で統一された開発が可能。

また、従来はメモリ上に出力される演算結果のみで確認していたスレッドの動作を、GUI上でステップごとに確認できる機能も装備されているため、プログラムの開発工数を1/10程度に削減することができるという。

イメージビューア

IMP-X5が生成する画像をGUIから直接確認できる。これにより、従来必要とされていた画像確認のためのストレージが不要となるため、手軽に画像を確認可能。

IPトレーサ

IMP-X5内のサブコンポーネント間の連係動作を可視化することで、これまでは原因究明が難しかったIP連係に関するソフトウェア不具合を早期に解決できるため、ソフトウェア開発期間の短縮が可能。

バストラフィックモニタ

SoC内に張り巡らされたバスを流れるデータの転送量をモニタする。従来、解析に時間を要していたデータ転送におけるボトルネックを瞬時に特定できるため、ソフトウェアチューニングにかかる時間が半減。

R-Car V3M向けソフトウェアを開発するための完全なワンストップソリューション

ツールチェーン、シミュレータ、IMP-X5用の画像認識ライブラリをワンストップで提供する。これにより、開発者は煩わしい個々の開発環境のセットアップや更新作業から解放され、付加価値を高める開発に注力できる。

さらに、開発者全員が同一のツールチェーン、シミュレータ、ライブラリを利用できるため、そのアウトプットであるソフトウェアの品質確保に寄与する。

Eclipseコミュニティの成果を活用することで多様な開発環境を構築可能

オープンソースの統合開発環境として大きなシェアをもつEclipseのコミュニティが提供する各種プラグインを「e2 studio」に容易に組み込むことが可能。これにより、統合開発環境の基本機能であるソースコード作成、ビルド、デバッグを、開発者自身が目的に応じて機能追加、最適化できる。

また、今回R-Car V3M向けに開発された「e2 studio」の新機能は、同じEclipseを得意とする同社パートナのツールベンダも活用できるため、開発者は開発環境の選択肢をより広げることができる。

【関連リンク】
ルネサス(Renesas)

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