失敗しないための、IoTプラットフォームの選び(概論編)[Premium]

IoTが盛り上がりを見せ出して以来、「IoTプラットフォーム」と名付けられたソリューションが山のように生まれた。

クラウドビジネスにおいて、「プラットフォーマー」の一人勝ちが聞かれる中、IoTにおいても同様の流れが生まれる可能性があり、スタートアップ企業から大手企業まで、様々なプラットフォームが提案・リリースされていきた。

実際にIoTのPoCが進む中、実際の案件からクラウド環境を構築し、それだけを切り出したIoTプラットフォームも登場し、コンセプトありきのものと、実用的な現場からでたものが両方ある状態となってきている。

一方で、実事業を営む企業からすれば、「なんでもできる」と標榜することが多いIoTプラットフォームの中で、どのプラットフォームを選ぶことが最適なのかよく分からない状態となっている。

しかも、名前を知っているからという理由で選択したプラットフォームが、思ったように使えなかったというケースも多発しており、早くも「PoCで思った成果が得られず、IoTプラットフォームの引越しをする」企業すら登場しているという状態だ。

そこで、IoTプラットフォームにはどういう種類があり、活用のシーン別にオススメのプラットフォームがどういうものなのかについて解説していく。 

一番初めに排除すべきは、どんなプラットフォームか?

結論から言うと、「なんでもできる」というアピールをしているプラットフォームは、オススメしない。

というのも、世の中に多くのセンサーがあるのに、それぞれのセンサーすべてに対応しているプラットフォームなど現実的に作れないからだ。

「なんでもできる」ということは、裏を返せば、「これから、ご要望にあわせてでも作ります」と言っている状態だと言えよう。

そもそも、すぐに始めたくて「プラットフォーム」を利用したいということになったはずなのに、「時間をかけて個別に対応」されたのではたまったものではないからだ。

一方で、「すでに多くのセンサーに対応しています。もし対応できていないセンサーに対応する場合は、○○の時間で対応します。」という言い方をしているのであれば、技術力さえ確かであれば対応力を持ってどうにかしてくれる可能性もあるだろう。

IoTプラットフォームの要素

IoTを構成する要素としては、センサーとクラウドだと思っている人も多いかと思うが、実はセンサー単体では通信できないものも多い為、途中に通信ゲートウエイを利用する場合も多い。

そうすると、IoTを構成する要素は、「センサー」「ゲートウエイ」「クラウド」となるケースも多い。

このことを考慮して以後読み進めて欲しい。

センサー

センサーとは、温湿度センサー、加速度センサー、などいわゆるセンサーから、クルマの情報を取得するようなモノや、整体の情報を取得するモノまで、IoTの「系」においては多岐にわたってセンシングされるケースがある。

細かな技術的な見解は置いておいて、これらモノ側(エッジ)のデバイスをセンサー側と捉えて欲しい。

ゲートウエイ

モノが通信端末を持っている場合は、直接クラウドに情報をアップロードするが、自力でアップロードすることができない場合、「ゲートウエイ」を利用する場合が多い。

例えば、スマートホームに使う電灯は、それ単体ではインターネットに接続することができないが、低消費電力な通信を使ってゲートウエイまでは通信することができる。

そうすることで、このゲートウエイを介して電灯の状態をクラウドにアップロードしたり、逆に外出先から指示を受けたりすることができるのだ。

クラウド

これはいうまでもなく、インターネット上にあるサーバと、そのアプリケーションだが、多くの場合センサーやゲートウエイからアップロードされるデータを収集することができる。

まず、基本的に大事なことは、センサーから発せられるデータは、決して人にとって優しい情報ではないということだ。

例えば温度センサーが「39℃」という温度を伝えようとした場合、「39」という数字だけがデータとしてクラウドにアップロードされるわけではない。

多くの場合、機器のIPアドレスや、付加情報がついてアップロードされてくる。

そこで、ゲートウエイ、もしくはクラウドのレイヤーで、「あるデバイス」の「温度」が「39℃」であるということを意味とともに理解して配置する必要があるのだ。さらに、多くのデバイスが接続する前提を考えれば、当然のことながらデバイスの型番や名前、ロケーションなどの情報も必要となるだろう。

ところが、先の「なんでもつなげます」というようなプラットフォームの大半が、こういったことを考慮されていないのだ。

この場合、データの構造からすべて作りこまなければならなくなるので、よほど他にメリットが感じられない場合、十分にその機能を確認し、気をつけて導入するべきだろう。

IoTプラットフォームの差別化要素

IoTプラットフォームは結局データをたくさん格納して、アプリケーションに渡す役割を果たさないといけないので、差別化要素は「とある業界で使われたことがあるかどうか」であると言える。

IoTプラットフォームというと、なにかGoogleやAmazon AWSのようになんでもできると思ってはいけない。

実際は、データのクセやデバイス・センサーの種類は、業界別に異なることが多い。

スマートホーム系のデバイス・センサーに強いのか、スマートファクトリー系のデバイス・センサーに強いのか、などを良く理解すべきだろう。

さらに、集めたデータをAIやアルゴリズムを使って解析・活用できるという話がよくあるのだが、これは、データの種類以上に気をつける必要がある。

IoTプラットフォームを選ぶ上での「3つの視点」

その1:データは「可視化」

集めたデータはそれだけではあまり意味がない。

ファーストステップの多くは「可視化」となる。「可視化」するにも、データが綺麗に整理されていないと使えないことは言うまでもない。

整理されたデータがある前提で、「可視化」するまでであれば、先に解説した要素がクリアされていれば大抵のことはできるだろう。

しかし、「可視化」の後の、活用がIoTのあるべき姿だとすると、どうだろう?

例えば、農業IoTで、農地の課題をドローンを飛ばし撮影することで「可視化」したとしよう。

可視化が出来たとしても、その後のアクションにつながっていかない限り意味がないだろう。

この例の場合、課題のある場所に再度ドローンを飛ばし、部分的に農薬を散布するといったアクションが考えられる。

スマートファクトリーで工場のラインの活動状況を可視化した場合もそうだ。

可視化した結果、止まったところの原因が可視化データに含まれていないと、改善策は打てない。なので、そこを原因究明するための情報を記載することができ、次回以降同じような問題が起きた時に切り分けがしやすくなっているソリューションを導入すべきだ。

つまり、実際のデータ活用までを視野に入れると、業界別に研ぎ澄まされたIoTプラットフォームを使う方が、事業の改善には役に立つのだ。

その2:他のプラットフォームとの連携性

さらに、クラウド上のIoTプラットフォームの場合、他のサービスとの連携が考慮されているか、も重要だと言える。

というのも、デバイスやセンサーから出てくる情報だけで、何かのアプリケーションをつくるだけではもったいない場合がある。

例えば、農地から取得したデータと、一般の天候のデータを掛け合わせて関連性を見るといった例はわかりやすいだろう。

つまり、選択するIoTプラットフォーム自体に他のデーたを取り込むのであれ、さらに他のクラウドサービスにデーたを渡すのであれ、こう言った連携を視野に入れておくことはとても重要なのだ。

その3:データの外販を視野に入れる

さらに、一歩進むと、取得して、整理された上で、他人にとっても価値があるデータに関しては「外販する」という道が開ける。

社内で取得したデータを外部に公開するということに抵抗感のある方が多いのはわかるが、実際にIoTの世界ではデータの外販で儲けている企業も多いのだ。

今後は、データを提供するデバイスの持ち主もデーたを外販するという道すらでてくるだろう。

例えば、スマートホームのデバイスとして、家の環境状況を企業に外販するという考え方だ。

環境情報を取得した企業は、そのデータを集め、さらに価値のあるデータとして他社に販売することができるのだ。

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