NECは、AI活用における検証から導入、活用までをトータルに支援するAI活用プラットフォーム「NEC Advanced Analytics Cloud with 異種混合学習」を2017年11月8日より販売開始した。価格(税別)は月額90万円~だ。
同プラットフォームは、AI活用におけるデータサイエンティストによる「検証」、アプリケーション開発者による「導入」、ユーザによる「活用」を包括的に支援し、スキルの異なるプロフェッショナルが協働できるクラウドサービスとして提供するものだ。
これにより、従来課題となっていた検証における多様なエンジン活用のための複雑な構成管理が不要となるだけでなく、導入における分析モデルのAPI化を容易にすることでAIを活用したソリューション開発の迅速化が期待される。
また、同プラットフォームには、NECのAI技術群「NEC the WISE」の1つである「異種混合学習技術」に加え、デファクトスタンダードのオープンソースソフトウェアを搭載し、多様なエンジンから最適な分析手法によるモデル作成を支援する。
なお、同プラットフォームは新日鐡住金株式会社と共同で行った物流コスト最適化の検証時に採用された。
背景
昨今、企業ではAIを活用した新たな価値創出による業務効率化や新ビジネス創出への期待が高まり、AIに対する新たなICT投資を考えている企業が増えている。しかし、AI活用を成功させるには、検証から導入、活用までの3つのフェーズでスキルの異なるプロフェッショナルが連携して進める必要があると考えられている。
NECは、これまで200件以上の顧客とのプロジェクト経験をもとに、「データサイエンティスト」、「アプリケーション開発者」、「ユーザ」のニーズに対応し、プロフェッショナル間のシームレスな連携を支援するAI活用プラットフォームを提供する。
同プラットフォームの主な特長
1. 検証に必要なツールを統合
データサイエンティストによる検証のためのプラットフォームとして、対話型UIのJupyter Notebook(統計計算や図表、テキストをインタラクティブに作成、共有できるオープンソースのWebアプリケーション)を採用。
高い予測性能と解釈性を備えたNECのAI技術「異種混合学習技術」とエンジンscikit-learnを統合し提供することにより、各種アルゴリズムを単一環境で実行可能にした。
また、シンプルで軽量な仮想環境Dockerを統合して提供することで、複数のユーザが一つの環境を共有できるだけでなく、サーバ台数を増やすことでシステムの処理能力を高めるスケールアウトを可能にした。NECグループ内のデータサイエンティスト育成にも同環境を利用し、1,400名が活用しているという。
2. 検証から導入、活用までを短期間で実現
検証で作成した分析手順や分析モデルを容易にAPI化できるため、アプリケーションへの組み込みが迅速に行え、検証から活用までを短期間に実現。
なお、同プラットフォームは「NEC Cloud IaaS」上のクラウドサービスとして提供する。さらに、同じプラットフォームをオンプレミスでも構築可能としているため、検証はクラウドサービスを活用し、実際の導入、運用はオンプレミスで利用するなど柔軟な対応が可能だ。
3. データサイエンティストによる活用支援サービスもあわせて提供
200件以上のプロジェクト経験を持つNECのデータサイエンティストチームによる実データを用いた分析検証の支援や、継続的な分析業務アウトソーシングなどのサービス提供を通じ、顧客業務での効果の高いAI活用を短期間に実現する。
【関連リンク】
・日本電気(NEC)
・「NEC the WISE」
・新日鉄住金(NSSMC)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。