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オムロン、設備の健康状態を可視化する 「状態監視機器」4シリーズを発売

オムロン株式会社は、製造現場の稼働状況を人にかわって監視する「状態監視機器」の以下4シリーズを本年11月29日より順次発売すると発表した。

  • 「モーター状態監視機器」:三相インダクションモーターの故障を予兆する
  • 「ネットワーク付パワーサプライ」:制御盤に組み込まれる電源の寿命・故障予知が可能
  • 「熱式液体流量センサーおよび液体圧力センサー」:プレス機や成型機などの作動油や冷却水を監視する
  • 「スマート状態監視アンプ」:設備や機械に搭載される既存のアナログセンサーのIoT化を加速する

「状態監視機器」は、オムロンが目指すIoTコンポ10万点への取り組みの一環であり、今まで見えなかった設備・装置の健康状態を常に可視化することで設備の状態異常を事前に検知し、生産ラインの保全や生産性の維持に貢献。

また、製造現場向けIoTサービス基盤「i-BELT」とともに、収集したデータを蓄積・分析し制御アルゴリズムとして機器の制御に反映、熟練技能者がもつ「匠の技」をオートメーション化していくという。

背景

近年、製造業では最適地生産の拡大や高齢化により熟練技能者の不足が深刻化する一方、設備の高度化・高速化に伴い保全業務がますます複雑かつ困難になっている。

こうした中、現場の稼働率を向上するための取り組みとして、IoTなどの技術を用いて「生産設備の状態を見える化したい」、「稼働時のデータを集めたい」というニーズが高まっている。

そこで、オムロンは、設備の様々な箇所の状態を把握し稼働率を向上させるための「見える化」の考え方として、設備の構成要素を以下の3つに分類。

  • モーターやポンプなど、設備の動力源となる「動力」
  • 冷却水や作動油など、設備の性能を維持するための「循環」
  • シリンダやアクチュエーターなど、製品を加工するための「機構」

各構成要素の変化をセンシングし、寿命予知や故障原因に繋がる課題の解決に最適な「状態監視機器」を提案するとしている。

「状態監視機器」4シリーズの概要

「状態監視機器」は、生産設備の“動力系統”と、“循環系統”の状態変化をリアルタイムに監視し、通信ネットワークを通じて故障前に部品の交換時期を知らせるなど、設備の緊急停止や製品の品質異常の予防に貢献。

これまで熟練技能者の経験や勘に基づいて行われてきた設備異常や不良発生の予兆把握を誰もが簡単に発見できるようにし、突発的な設備停止による機会損失を削減、メンテナンス計画の精度を向上させるという。

オムロンは、3つの“i”、「integrated(制御進化)」、「intelligent(知能化)」、「interactive(人と機械の新しい協調)」からなる戦略コンセプト“i-Automation!”のもと、製造業のモノづくり現場の革新に取り組んでいる。

今後は「状態監視機器」のラインアップを拡充することで、“i-Automation!”を実現する鍵となるモノづくり現場の「intelligent(知能化)」を顧客企業各社と共に加速させ、製造現場の生産性と品質を飛躍的に向上させていくとしている。

「状態監視機器」4シリーズの詳細

「モーター状態監視機器」(冒頭写真・2017年11月29日発売)

「モーター状態監視機器」は、コンベアやリフター、ポンプといった多くの生産設備で使用されている三相インダクションモーター(※1)の経年劣化によって発生する異常を、振動、温度、電流、絶縁抵抗のそれぞれの状態変化で捉え、機器本体の表示や、Ethernet/IP通信によって遠隔で監視することで、次の課題解決を実現するとしている。

  • 設備の突発停止による機会損失を最小化
  • 熟練保全マンのスキルをデジタル化し、遠隔地からでもモーター保全を均質化
  • 定期点検作業から予防点検への移行で、点検工数を削減

監視できるデータは、モーターの振動、表面温度、絶縁抵抗、電流、劣化度(※2)。出力方法はEtherNet/IP(パソコンで動く専用ツールでモニター可能)、アラーム出力、トランジスタ出力、バー表示灯、モニター表示である。

※1 三相交流電源を使用し、電磁誘導によって一次側(固定子)から二次側(回転子)に電力を送り、これを利用して動力を発生する誘導電動機
※2 モーター電流の状態を独自のアルゴリズムで測定/解析し、モーターだけでなく負荷側の異常を表すためのオムロン独自の指標

「ネットワーク付パワーサプライ」(2017年11月29日発売)

オムロン、設備の健康状態を可視化する 「状態監視機器」4シリーズを発売

「ネットワーク付パワーサプライ」は、設備内の機器へ直流電流を供給する「パワーサプライ」の基本機能に加え、電源供給の維持管理を行うために必要な本体の交換時期や出力電圧電流、ピーク電流の情報をEthernet/IP通信による遠隔監視と、本体モニターで可視化することで、次の課題解決を実現するとしている。

  • パワーサプライの交換時期を予め通知することで、電源トラブルによる設備の突発停止の発生を削減
  • パワーサプライの交換時期、稼働時間、電圧電流を遠隔監視することで、巡回保全の工数を削減
  • 専用ソフト「Power Supply Monitoring Tool」(近日対応予定)と組合せて利用することで、ディレーティング曲線(※3)図上で電源の状態を可視化。設置環境の改善や、電源容量の変更などの改善策を簡単に検討・実施することができ、電源寿命を延長

監視できるデータは、パワーサプライの交換時期までの年数、積算稼働時間、出力電圧電流、ピーク電流、自己診断(過熱、計測異常、メモリ異常)、製品型式、シリアルナンバー。出力方法はEthernet/IP、Modbus/TCP、モニター表示である。

※3 パワーサプライの各仕様を保証できる使用条件を「使用周囲温度」と「負荷率」から規定したもの。内部部品の温度上昇や温度環境に起因する内部回路の動作特性を考慮して規定している。

「熱式液体流量センサー」「液体圧力センサー」(2018年2月1日発売予定)

オムロン、設備の健康状態を可視化する 「状態監視機器」4シリーズを発売

「熱式液体流量センサー」は、溶接機や成型機に使われる冷却水の流量と温度を、一つのセンサーで計測することが可能。従来は冷却水の流量だけを監視していた状態から、流量に加えて温度による異常を監視することで、電流トランスの過熱による突発停止などの予兆を把握し、より安定した溶接品質や成形不良を防止できるという。

「液体圧力センサー」は、マシニングセンター(※4)や、プレス機における作動油の圧力と温度を同時に見える化できる。稼働時の温度上昇によるパッキンの劣化や、それに伴う作動油漏れの予兆を把握。また、作動油の粘度劣化による温度変化を捉えることで、安定した加工品質を維持することが可能。

さらに従来のように、配管に圧力センサーと温度センサーを別々に取り付ける必要がなく、センサーの取り付け個数、工数を半減することができる。

これらのセンサーは、上述のように、センサー単体で、「流量と温度」「圧力と温度」といった複数データをセンシングすることで、設備状態の見える化を省コスト・低工数・省スペースで実現するとしている。

監視できるデータは、流量+温度、圧力+温度。出力方法は、状態出力、制御出力、アナログ出力、IO-Link、モニター表示、状態表示灯である。

※4 金属などの材料に対して、穴あけ、研削などを行う加工装置

「スマート状態監視アンプ」(2017年11月29日発売)

オムロン、設備の健康状態を可視化する 「状態監視機器」4シリーズを発売

「スマート状態監視アンプ」は、汎用のアナログ出力タイプ(※5)のセンサーが接続可能なアンプユニット。

オムロンでは、ファイバセンサーやレーザセンサーが接続可能な次世代センサーシリーズ「N-Smart」を展開しており、今回、汎用アナログ出力タイプのセンサーが接続可能な「スマート状態監視アンプ」をラインナップすることで、設備の状態把握に用いる様々なセンサー(※6)を、安価で簡単にネットワーク化することが可能になるという。

また、従来は、高価なデータロガーや計測器によるシステムアップが必要であったアナログ出力タイプのセンサー群のデータ取得を、高速1msで30台まで同期して収集することができる。

そのため、設備が稼働するタイミングに合わせてデータを収集したり、設備の微妙な変化や、予兆現象の相関関係も確実に捉えることが可能になり、設備の状態変化に応じて最適化した、機械制御を実現するという。

接続できるセンサーヘッドは、測定結果を電流(DC 4-20mA)または、電圧(DC 1-5V)で出力伝送するセンサー(熱式液体流量センサー、液体圧力センサーも接続可能)。出力方法は、制御出力、モニター表示、通信ユニットと接続することで、オープンネットワーク(EtherCAT、CC-Link)にも対応。

※5 測定結果を電流(DC 4-20mA)または、電圧(DC 1-5V)で出力伝送するセンサー
※6 電子部品のピック&プレースにおいて、エア吸着状態を監視する「エア圧力センサー」など

【関連リンク】
オムロン(OMRON)
「N-Smart」シリーズ

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