[第14回]Googleが、人工知能ライブラリTensor Flowを無償提供する理由

IoTをゼロベースで考えるの第14回は、昨日Googleより発表された人工知能ライブラリの「無償提供」についてだ。

Googleといえば、入力フォーム一つにどんな言葉を投げ込んでも、こちらの心がわかっているかのような検索結果を打ち返す。画像を検索していても、犬といれれば、写真に犬がうつっているものを一覧する。すごい人工知能を持っている企業だ。

こんな、企業の中核の機能を無償提供するなんて信じられないと思うかもしれないので、その点を邪推する。

Tensor Flowとは?

Googleの説明によれば、

TensorFlow™は、データフローグラフを用いた数値計算のためのオープンソースソフトウェアライブラリです。TensorFlowはもともと機械学習と深いニューラルネットワークの研究を行う目的で、Googleの機械知能の研究組織内でGoogleの研究者やエンジニアによって開発されましたが、このシステムは、多種多様な用途に使えます。

と言っている。つまり、もともとGoogleが作っていた機械学習用のライブラリを無償で提供しますよ。というものだ。

こんなもの、無償で提供していいの?さすがGoogle太っ腹!と思う人も多いと思うが、IoTの側面からすると少し違う面が見えてくる。

機械学習とは?

IoTやAIの記事を読んでいるとたびたび登場する、「機械学習」という言葉。
機械学習には3つの種類がある。

教師付き学習

その名の通り、先生がいて、「Aというデータを入れたらBという結果を返しなさい!」と教え込むやり方だ。例えば、「メールが着たら、読むべきメールと、スパムメールを分けなさい。」といったものだ。
入力されるAの部分は、必ず教えられたことがあるものばかりではないから、AからBを導き出す手法をなるべく一般化してA´にも対応できるようなアルゴリズムを作るのだ。

教師なし学習

この場合、教師はいないので明確な教えはない。データの本質的な構造を見出そうとするやり方だ。例えば、クラスター分析や、主成分分析といったデータベースマーケティングでよく使われる手法だが、こういった分析を通して、どういう分析結果を導くべきかという分類も自分で考えさせるというやり方だ。
この場合、「メールは来るけど、どういう分類にしたらいいかも自分で考えて適当に分けてね」という学習になる。

半教師つき学習

教師付きは付きっきりの家庭教師、教師なしは結末は出てからのお楽しみ、とどっちも極端な学習方法だとお気づきの方も多いと思う。そこで、一部分くらいは正解を教えて学習させようというやり方だ。「誰かがスパムメールだといったメールの送り主は、大抵スパムを送る人だろうから、その人から来たメールはとりあえずスパムとしよう、あとは自分で分類してみてね。」といった具合だ。

なぜ、機械学習の話をしたかというと、すべてにおいて教師付き学習をすることは不可能だから、半教師付きの学習をしようと思うと、なるべく多くのデータが多くないといけないことに気づいていただきたいからだ。

IoT社会におけるデータの意義

実は、私はGoogleはIoT社会を恐れているのではないか?と思っているのだ。なぜかというと、Googleの優れたサービスはその大半がブラウザ上で実現されるにもかかわらず、IoTにおいてはブラウザは決して主役ではなくなるからだ。

冒頭に書いた、魔法のような検索システムも、多くの入力に対して期待される結果をアルゴリズム化したり、まちがった入力や誤記までも吸収する仕組みを整備していったことによる。

一方、IoTの社会では、モノがインターネットに直接つながることになる。なにかのインプットを人が行うとしても、モノに対して音声で命令をしたりする可能性は高い。モノに対して行われた音声による命令は、解析されテキストかされたうえでクラウドに上がるのだ。その後、この魔法のような人工知能によって様々な情報が解析される。

しかし、ものに対する多くの命令が、Googleに集まってこなかったらどうなるだろう?

せっかくの高度な人工知能エンジンも宝の持ち腐れになる。

IoTにおける情報の流れ

つまり、IoT社会におけるAIの分野では、ブラウザ主体のインターネットとは違うゲームが行われ、より多くの自然に揺らぐデータを集めたものが勝つのだ。だから、Googleはこのライブラリを無償で提供することで多くのエンジニアに使ってもらい、多くのデータを集めたいと考えていると思われる。

データを集めれば集めただけ、AIのもつ仮説力が高くなり、制度の高いアウトプットができるようになるのだ。

これまでのブラウザ主体のインターネットサービスだけを考えていれば、これまでのGoogleのアプローチで問題がなかったが、IoT社会においてはブラウザは必ずしも主役ではない。

しかし、多くのデータを集めまくって、賢いAIを作っていかなければ上の図でいう、IoTの解析分野(③)では主役になれない。

参考:TensorFlow

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