OKI、IoTの音響センシング技術による「水中音響沿岸監視システム」を開発、評価キットを提供開始

OKIは、武器の拡散やテロ対策強化に向けた発電所などのプラント施設、空港、港湾、エネルギー基地などのインフラ施設をはじめとする、沿岸の重要施設への水上・水中からの不審物や不審者の侵入を検知する「水中音響沿岸監視システム」を開発し、評価キットの提供を本日12月11日より開始する。

同システムは、OKIの音響センシング技術により、リアルタイムの水上・水中からの侵入検知を可能としたものだ。これにより、沿岸の重要なプラントやインフラ施設への脅威を監視し、水際で対策を講じることができるという。

主な特長は以下の3つだ。

  1. パッシブ音響センシング技術のみで水上、水中の目標物方位、距離測定可能
  2. 目標物の位置を瞬時に把握することで目標物追尾可能
  3. 実環境での事前試験可能(海上計測バージ「SEATECII」)

昨今、世界では武器高度化や拡散、テロリズムの台頭などにより、従来とは異なる危険や新たな脅威にさらされている。それにともない日本でも、発電所、石油化学関連施設、空港、港湾、LNG基地や石油基地などの重要なプラントやインフラ施設の危機管理体制が見直され、東京オリンピック・パラリンピックに向けての対策も急がれている。

これらの対策のうち、陸上では、多様な不審者の侵入監視やチェックシステムが導入されつつあり、対策強化が進んでいる。しかし、沿岸部などの水中からの侵入については、光や電波が届きにくく、監視カメラや監視レーダーといった陸上と同じセンシング技術では十分な対応ができないため、対策が遅れているのが現状だ。

OKIは、水中でのセンシングという課題に着目し、不審物や不審者が発する音を検知する水中音響センシング技術を活用した「水中音響沿岸監視システム」を開発した。

同社の水中音響センシング技術は、約85年にわたり開発してきた水中の対象物を検出・分析する技術であり、防衛分野で高い信頼を得て活用され続けている。

水中音響センシング技術は、水中ハイドロホンアレイ(水中音響を受信するマイクロホンを線状、面状あるいは立体的に並べたもの)の出力に対して、ビームフォーミング技術や周波数分析などの様々な信号処理を適用して音の特徴を抽出し、高速艇、半潜水艇、水上スクーター、ダイバーなどの不審物を検知する。

また、検知した音をデータベース化することで不審物が何か特定できるようになるという。

「水中音響沿岸監視システム」は、水中に設置した音響センサー装置(複数の監視ブイ)と陸上に設置したモニターリングシステムで構成されたリアルタイム監視システムだ。

音響センサー装置は、不審物や不審者の放射音を検知し、無線で陸上側のモニター装置へ音響データを送信し、モニター装置は、音響センサー装置から受信した音響データを信号処理や情報処理を行うことにより、目標位置を特定し、画面上に表示する。

また、今回提供を開始する「『水中音響沿岸監視システム』評価キット」の検証を行うことが可能な施設として、OKIグループ会社のOKIシーテックが海上計測バージ「SEATECII(シーテック ツー)」を設備として保有している。

「SEATECII」は、水中でさまざまな検証や計測を行うための計測バージで、駿河湾という水中音響の実験に適した自然環境の中にあり、陸上実験室の感覚で各種水中音響の試験や計測、検証が可能だという。

この施設を利用することにより、顧客は実環境試験を行う前に、「『水中音響沿岸監視システム』評価キット」の検証を行うことができる。

OKI、IoTの音響センシング技術による「水中音響沿岸監視システム」を開発、評価キットを提供開始
「『水中音響沿岸監視システム』評価キット」構成イメージ

提供価格はトライアルで200万円(税抜)~、提供範囲は評価キット使用ライセンス(監視ブイ2台~4台、制御用PC、計測ソフト一式)で、機器設置・調整、データ取得・まとめなどの付帯作業(SE費用)は含まれない。

適用分野は以下の通りだ。

  • プラント施設:原子力・ガスなどの沿岸発電所や石油コンビナートへの水上・水中侵入検知
  • 空港施設:海上空港や沿岸空港への水上・水中侵入検知
  • 港湾施設:国際戦略港湾や国際拠点港湾への水上・水中侵入検知
  • 国際イベント・会議会場:オリンピック・パラリンピック、ワ-ルドカップ、主要国首脳会議など

【関連リンク】
沖電気(OKI)
「水中音響センシング」紹介サイト
OKIシーテック

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