[資料DL可] どうなる?2018年のIoT/AI -八子と小泉が語る、2018年のIoTとAI、CESレポートセミナー・レポート[Premium]

1月26日(金)、IoTNEWSの運営母体である株式会社アールジーンが主催する、「八子と小泉が語る、2018年のIoTとAI、CESレポートセミナー」が行われた。そこで、プレミアムメンバー限定で、アールジーン社外取締役・株式会社ウフル専務執行役員の八子知礼による2018年のIoT/AIの予測レポートを紹介するとともに、資料もダウンロード可能とする。

データが売れる時代が本格的にやってくる

冒頭、八子は、2018年から本格的にデータの流通市場が立ち上がってくると述べた。

設備の稼働状況の見える化など、「デジタルツイン」を使ったさまざまなIoTソリューションが普及し、デジタル空間上に膨大なデータが集まってきたことが背景にある。

「デジタルツイン」とは、リアルな世界と同一な条件の環境をパラレルにデジタル上に構築してシミュレーションし、様々な状況変化にどう対応するか未来予測してリアルへフィードバックすること(八子氏講演資料より)

ウイングアーク1stはすでに、第3者データ活用サービス「3rd Party Data Gallery」を立ち上げ、データの販売ビジネスを行っている。

同社が販売しているデータには、たとえばNTTドコモの空間統計情報がある。顧客はそれらのデータをBIツール「MotionBoard」と連携させることで、マップ上で可視化された状態で活用することができるという。

つまり、顧客は人口の減少推移や住人の所得分布などの情報を、すでに購入できる状態となっているのだ。ヒトの移動情報などもわかるため、たとえば小売業では「どこに店を出せば儲かるか」という出店戦略などに活用できる。

また、「データ流通推進協議会」が昨年11月から立ち上がり、データの共通フォーマットをどうするかなど、実務的な議論まで進んでいるという。

データを持っていない企業は、「貯金がないことと同じ」であり、これからはデータが売れる時代を意識したビジネスモデルを考えるべきだと八子は語った。ただし、売れるデータは「使える状態であること」、「価値があること」が重要だという。

ここからは、IoTNEWS Premium Member向けに、アールジーン社外取締役・株式会社ウフル専務執行役員 八子知礼の講演の内容をくわしく紹介していく。資料は以下からダウンロードしてほしい。

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”CASE”視点と”CROSS”視点

さて、2018年のビジネスのキーワードは何だろうか。

自動車業界においては、「Connected」(つながること)、「Autonomous」(自動運転)、「Sharing」(シェアすること)、「Electricity」(電気自動車)の4つの単語の頭文字をとった”CASE”というキーワードが昨年から提唱されている。

一方、製造業領域については、「”CROSS”視点を持つべきだ」、と八子は新たに提唱した。具体的には、以下の5つのキーワードだ。

  • Cross Industry
  • Resource Sharing
  • Outcome-base
  • Smartphonize
  • Simulatable

「Cross Industry」は、ビジネスにおいて産業や業界の垣根がなくなることだ。

あらゆるモノ・ヒト・コトがつながることにより、業界や産業を超えていかなければビジネスモデルが完結しない時代が来ているということが背景にある。政府が掲げる「Connected Industry」にもつながる概念だ。

「Resource Sharing」は、データやヒト、設備などのリソースを積極的に共有するということだ。これまで、企業は自社が持つリソースは抱え込むのがあたりまえだった。

しかし、あらゆるモノがつながる時代では、そのようなビジネスモデルは優位性がなくなってくるという。たとえば、もし自社の工場設備が空稼働なのであれば、他社に提供し、その利用に対して課金していく方が良い。

「Outcome-base」は、得られる「結果」に対して「課金」するというビジネスモデルだ。

これまで顧客は製品やサービスそのものを購入しても、結果が得られない場合もあった。しかし今後は、結果が得られなければ払った料金を返すというような、結果にコミットしたビジネスモデルになっていくのだという。

「Smartphonize」とは、「スマートフォン」型のビジネスモデルが増えてくるということだ。

スマートフォンでは、そのプラットフォームに対して、サードパーティが参加してアプリをつくり、それが随時アップデートされることで成立している。これにより、アップルなどはそのプラットフォームの使用料として、サードパーティから利益を得ている。

今後は、産業におけるビジネスも、そのような「スマートフォン」型のビジネスよって収益を得るモデルに変わっていくという。

たとえば、物流企業が「物流プラットフォーム」なるものをつくり、そこにさまざまなサードパーティが参加する。それらの企業がアプリをつくることで、物流センターが随時アップデートされていくという仕組みだ。

「Simulatable」は、デジタルツインにおけるシミュレーションのノウハウに対して課金するモデルだ。

デジタルツインでは、アナログのデータをデジタル空間上に上げてシミュレーションし、そこから予測される結果をアナログ世界に再びフィードバックする。

それにより、たとえば設備の予知保全が可能になり、それらを一つのソリューションとして販売するビジネスが主流だった。しかしこれからは、その予知保全を可能にするノウハウに課金するモデルになる。

たとえば、切削工具の予知保全を実現するには、AIを活用して何度もシミュレーションを重ねることになるだろう。その際にどのようなAIアルゴリズムを使うとうまくいくのか、といったノウハウの販売がビジネスになっていくということだ。

エッジコンピューティング2.0

つづけて八子は、2017年を「エッジコンピューティング元年」として振り返った。

リアルタイム処理やセキュリティが重要であるという自動車や製造現場のニーズに対し、IoTのさまざまなアプリケーションをネットワークの末端(エッジ)で実行できる技術や環境が整ってきた。

2018年はそれがさらに進み、「エッジコンピューティング2.0」の時代が来るという。それは、従来シスコが提唱してきた「フォグコンピューティング」の概念と似ている。

「フォグ」とは、デバイスとクラウドの間にある中間層が、「メッシュ・ネットワーク」でつながるということだ。メッシュ・ネットワークとは、エッジからクラウドへ接続するという単純な垂直方向の接続ではなく、中間層で水平方向にネットワークを張り巡らせることで、複数のデバイスに機能を分散させるという方法だ。

「エッジコンピューティング」という概念は、何億もあるデバイスのデータのすべてをクラウドに上げると処理が追いつかないため、それエッジ側で処理しようという狙いから生まれた。

しかし、デバイス数も膨大になってくると、現場にあるエッジだけでもリソースが足りなくなってくる。たとえば今後、機械のインテリジェンス化が進み、あらゆるデバイスにAIの機能を持たせようとした場合、デバイス単体だけでは非力な場合も考えられるだろう。

そこで、AIの処理を複数のゲートウェイやその配下にあるデバイスで分散し、対応しようという考えが生まれる。これが、エッジコンピューティング2.0の意味するところだ。

そして、2018年はプラットフォーム元年に

[資料ダウンロード可]プラットフォーム時代は、「機会を最大化」することがビジネスに -八子と小泉が語る、2018年のIoTとAI、CESレポートセミナー

2017年の「エッジコンピューティング元年」に対し、2018年は「プラットフォーム元年」になると八子はいう。

これまで、製造業であればシーメンスの「MindSphere」、土木建築業であればコマツの「LANDLOG」など、プラットフォームがリリースされてきた。

しかし今年は、それらの他に様々な業界・産業別のトップ企業を中心に、次々と新しいプラットフォームが登場すると予測する。そして、さらにそれらは相互に接続する「マルチレイヤード・インダストリアル・プラットフォーム」の時代がくるというのだ。

たとえば、コマツの「LANDLOG」、GEの「Predix」、ブリヂストンの「Tirematics」は、鉱山の現場ではすでに密につながっているという。

コマツとGEにおいては、それぞれが持つデータについて、互いに課金せず、相互流通をしているということだ。

なぜそのように、業界・産業別のトップ企業を中心に、次々と新しいプラットフォームが登場する動きが起こるのだろうか。それは、「業界のライバルに先んじてプラットフォームをつくらなければ、飲み込まれてしまう」という危機感によるものなのだという。

前述したように、今後は、プラットフォームの利用に対して課金するビジネスモデルが生まれてくるため、他社のプラットフォームに飲み込まれた場合、その企業は業界中では競争優位に立てなくなるのだ。

八子は、「そのため、強い産業や、守らなければならない産業は、世界に先んじてプラットフォームをつくらなければならない」と語った。

プラットフォームを作る際のポイント

次に、これから企業が新たにプラットフォームをつくる際のポイントについて言及した。

まずは、自社で手に入る現場のデータやノウハウを蓄積すること。そして、それらを反映させた自社オリジナルのリファレンス・アプリケーションをつくることだという。

次に、既存の取引先に展開することだ。ある製造メーカーでは、自社が使用している既存設備のメーカーにデータを販売するプラットフォームをつくり、すでに収益を生み出しているという。

もちろん、設備メーカー自身が、顧客先の(設置された工場の)データを収集し、予知保全のサービスを展開する方が無駄がない。しかし、そのメーカーがそのようなサービスを立ち上げる投資ができない場合や、工場に入れない場合に、顧客先の工場で取得されたデータを購入することで、設備の動作状態を把握することができ、予知保全に繋げるなどのメリットを得ることもできるのだ。

そして、既存の取引先を巻き込んだら、次は新規顧客に提案し、プラットフォームを拡大していく。そして、さまざまな業種・産業のプラットフォームとマルチレイヤーでつながっていくことで、ビジネスチャンスをつかむことができるということだ。

新しい課金モデルが生まれる世界へ

[資料ダウンロード可]プラットフォーム時代は、「機会を最大化」することがビジネスに -八子と小泉が語る、2018年のIoTとAI、CESレポートセミナー

八子は、これまで紹介してきた、メッシュネットワークによるエッジコンピューティング2.0やマルチレイヤーのプラットフォーム連携によってできるビジネスの世界を、「Multi Layered Mesh Grid」として説明した。

つまり、上の図にあるように、クラウド上ではさまざまなレイヤーのプラットフォームが相互に連携する。また、その下のエッジ側では、メッシュネットワークでつながれたゲートウェイや、その配下の機械やデバイスが相互に接続している状態になる。

つまり、あらゆるモノ・ヒト・コトが、マルチレイヤーかつメッシュ状につながっていくということだ。そして、つながるモノが増えるほど、このモデルに近づいていく。

さらに、2020年には高速・低遅延・大容量を実現するネットワーク技術である「5G」が到来すると言われている。それにより、エッジとクラウドを隔てていた低遅延の問題が解消されるため、エッジを使うべきか、クラウドを使うべきかという従来の議論は問題にならなくなるという。

その結果、つながるデバイスの数はさらに爆発的に増えることとなり、あらゆるレイヤーで、ビジネスモデルが変化してくる。

 
たとえば、クラウドのレイヤーにおいては、プラットフォーム間で「データ流量に課金する」モデルが実現する。

ローカルネットワークについてはどうか。これまでは、デバイス1個をクラウドにつなぐのに、デバイス1個に課金するというビジネスモデルが普通だった。

しかし、これからはデバイスの数が多くなりすぎるため、そのような課金モデルが成立しなくなってくる。

その結果、ローカルネットワークにおいては、デバイス1個ではなく、「サイト(場所)単位に課金」するというモデルが実現する可能性があるという。

たとえば、会議室に100個のセンサーがあった場合、そのセンサー1個に対して課金するのではなく、100個のセンサーにより何らかの機能を持った会議室そのものに課金するということになる。

また、エッジデバイスについては、メッシュネットワークによりアルゴリズムやAIの処理を複数のデバイスに分散させることになる。それにより、あらゆるデバイスがAIの機能を持つことができ、エッジのインテリジェンス化が進む。

その場合には、「デバイスごとにディープラーニングのソフトを購入する」といった従来のビジネスモデルは成り立たず、「AIのアルゴリズムそのものに課金する」といったモデルになっていくだろう。

このように、「あらゆるモノ・ヒト・コトがつながる世界では、企業のビジネスモデルは大きく変わる」と八子は語る。

これまでは「量の最大化」こそが収益を拡大できるモデルだった。しかし、これからは「機会の最大化」によるビジネスモデルにとって代わっていくのだ。

また、「量の最大化」の時代において、差別化要因は「機能」「品質」「コスト」だったが、「機会の最大化」の時代においては、「マイクロ」「速さ」「共有」が重要だという。

まとめ

これまでの流れをまとめると、企業はまず、産業や業界の垣根がなくなっていく「CROSS Industry」を意識してビジネスを実行していかなければならない。

そこでのカギは、データだ。IoT時代では、膨大なデータが集まる。そのデータが膨大になると、デジタル・オーシャン(海)ができてくる。

そのようなデジタル・データの海を通して、製造業、流通・小売、物流、不動産、そしてIT企業などあらゆる産業・業界で、垣根を飛び越えていくことができるようになる。

そこでビジネスチャンスをつかむには、販売できるデータを持つこと(貯金を持つこと)、そして、プラットフォームを先んじてつくっていくということが重要だ。

また、つながるモノ・ヒト・コトが爆発的に増えていくと、課金モデルが変わる。その際に、どこで差別化をはかるのかについて、企業は考えていかなければならない。

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