NEC、不安定な通信環境でも自動車のリアルタイム通信を可能にするネットワーク技術を開発

NECは、多数の自動車やスマートフォンなどの通信端末が存在する不安定な通信環境においても、リアルタイムに自動車が周辺情報を共有できる適応ネットワーク制御技術を開発したと発表した。

昨今、自動車の自動運転、工場や倉庫における搬送車の自動運行、検査や宅配のためのドローンの自動運行の実現が期待されている。特に、モバイルネットワークを活用して周辺情報をリアルタイムに共有することで、衝突を回避し、より安全な自動運行を可能にする。

しかし、モバイルネットワークでは、無線基地局あたりに接続する通信端末の数が増えるほど一台あたりの通信遅延は増加し、また通信遅延に影響のある無線品質は通信端末ごとに異なり刻々と変動するため、自動車が100台規模で集まる事故の多い交差点などでは、安定的に通信遅延を100ミリ秒以下に抑えることが難しかった。

そこでNECは、各通信端末の通信の流れから緊急度の高い通信端末を特定し、無線基地局で割り当てる帯域や通信時間(無線リソース)を瞬時に緊急度の低い通信端末との間で調整する適応ネットワーク制御技術を開発した。

今回、実在する交通環境での自動車の自動運転を想定し、100台の移動する車と100台のスマートフォンがLTE無線基地局に接続する環境下でシミュレーション実験を行い、自動車の通信遅延を100ミリ秒以下で通信成功率を95%(従来比の5倍以上)となることを検証した。

背景

昨今、IoTの普及に伴い、より細かな状態検知が可能となるため、自動車の自動運転、工場や倉庫における搬送車の自動搬送、検査や宅配のためのドローンの自動運行などの実現が期待されている。

特に、モバイルネットワークを活用して位置情報やカメラ画像などの周辺情報を100ミリ秒以下のリアルタイムに共有することで、衝突を回避し、より安全な自動運行を可能にする。

モバイルネットワークの要件や仕様を検討する団体(3GPPなど)では、自動車向けの通信要件を、「通信遅延:100ミリ秒以下」で「通信成功率:95%以上」と掲げている。

しかし、モバイルネットワークでは、無線基地局あたりに接続する通信端末の数が増えるほど端末一台あたりの通信遅延は増加する傾向にあり、また通信遅延に影響のある無線品質は通信端末ごとに異なり刻々と変動するため、自動車が100台規模で集まる交通量の多い交差点などの場所で安定的に通信遅延を100ミリ秒以下に抑えることが難しかった。

そこで今回、NECは、100台規模の自動車の自動運転を想定した交差点での環境で、モバイルネットワークで発生する通信遅延を目標時間(100ミリ秒)以内に抑制する適応ネットワーク制御技術を開発した。

新技術の特長

1. 通信データの流れから緊急度の高い端末を発見

通信遅延を目標時間内に抑えるためには、瞬時にどの通信端末が目標時間までの余裕がないかを把握することが重要となる。

同技術は、各通信端末の通信データの流れの変化から順調にデータ送信が進んでいるかの緊急度を算出し、そこから瞬時に緊急度の高い通信端末の特定を可能にするものだ。

2. 目標時間内にデータ送信を完了させる無線リソース調整

通信遅延を目標時間内に抑えるためには、目標時間内にデータ送信を完了させることが重要となる。

同技術では、無線基地局に接続している全通信端末の緊急度から無線基地局で割り当てる帯域や通信時間(無線リソース)を瞬時に通信端末間で調整することで、目標時間内におけるデータ送信の完了を可能にする。
 

今回、実在する交通環境での自動車の自動運転への適応を想定し、100台規模の移動する自動車やスマートフォンなどの通信端末がLTE無線基地局に接続する環境下でシミュレーション実験を行い、自動車の通信遅延を100ミリ秒以下、かつ通信成功率を95%となることを検証した。これは従来比の5倍以上の改善となる。

またNECは、同技術の応用事例として、自動車の自動運転をはじめ、工場や倉庫における自動搬送車、警備ロボット、災害時の調査ロボット、検査や宅配のためのドローンの自動運行など、様々な領域の社会システムに応用するために実証・製品化を進めるとしている。

なお、今回開発されたネットワーク制御技術の一部は、2016年度からNECが参画している、総務省の「多数デバイスを収容する携帯電話網に関する高効率通信方式の研究開発」の一環として進めてきた研究成果だ。

【関連リンク】
日本電気(NEC)

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