富士通、心臓の挙動を学習する「Heart Explorer」を販売開始

富士通株式会社は、大学医学部などの医療・看護系の教育機関に向け、心臓の挙動を精緻に再現する心臓シミュレータ(※1)を活用して得られた心臓データを3Dモデルで観察・分析できるソフトウェア「FUJITSU ヘルスケアソリューション Heart Explorer(ハートエクスプローラー)」を、本日より販売開始する。

Heart Explorerの価格は385万円(税別)、アカデミア向けには250万円(税別)だ。

「Heart Explorer」は、スーパーコンピュータ「京」(※2)などを活用して研究開発を行ってきた心臓シミュレータの出力データを利用し、従来表現することが非常に困難とされていた心筋の動き、血流、興奮伝播(※3)、心電図などの心臓の挙動を観察・分析する。

心筋にかかる圧力などの物理的な値をグラフで表示し可視化する構造解析機能や、学習者自らが3Dモデルの視点や断面を設定できるなど、体験しながら学習できるソフトウェア教材だ。

教材には、健康な心臓だけでなく、心筋梗塞などの症例ごとのコンテンツも用意され、心疾患についても学習できるという。

また、3次元立体視ディスプレイなど「zSpace 200」(別売り、zSpace株式会社が販売)を用いたVirtual Reality技術(以下、VR)で、目視することが困難な心臓の立体構造や内部構造、心拍動などを360度立体的に観察し理解が進むようにデザインされている。

背景

現在、心臓病は世界の先進各国における死因の上位(日本2位、米国1位)を占めており、様々な治療法、治療機器が日々、研究開発されている。治療法の確立だけでなく、医療・看護系の学生への心臓についての教育にも力がそそがれている。

心臓は体の中でも複雑な構造を持ち、心筋の複雑な動きや血流の動きを文献などで学ぶのは難しいとされている。従来は、教科書、クリエイターにより作成されたCG、3Dプリンターなどから造形された模型、解剖実習などで心臓の構造と基本的な機能を学習していたことから、拍動する心臓を学習できる教材が必要とされていた。

富士通は、このような課題を解決するため、東京大学との心臓シミュレータの共同研究の成果から得られた技術を取り入れ、「Heart Explorer」を開発。

スーパーコンピュータ「京」などを活用して研究開発を行ってきた心臓シミュレータの出力データを利用し、心臓の拍動を精緻に再現する(東京大学大学院新領域創成科学研究科 杉浦清了元教授 監修)。

「Heart Explorer」の特長

精緻な3Dモデルによる高い学習効果

学習者は視点や断面を自由に設定し、模型では困難な立体構造や内部構造、拍動、血流を3Dモデルで学ぶことができる。さらに可視化機能と解析機能を使うことにより、心筋から生じる力や、血流挙動、興奮伝播もグラフ表示を行い可視化できる。

富士通、心臓の挙動を学習する「Heart Explorer」を販売開始

複数の学習要素を関連付けながら同時に学習

教科書や模型などを用いた教育では、心臓の示す心電図波形と興奮伝播の過程との関係を理解することが困難であると言われている。

「Heart Explorer」は、シミュレータにより再現した体の表面に電極を設置し電圧を変化させて心電図を表示すると同時に、心臓内に興奮が伝播する様子を可視化することができ、両者の関係を関連付けして理解することができる。

富士通、心臓の挙動を学習する「Heart Explorer」を販売開始

VR技術を用いた臨場感のある心臓の再現(トップ写真)

心臓は、構造の奥行きや血液の流れを把握することが難しい臓器とされているが、「zSpace 200」を用いたVR技術で、複雑な心臓の形状を立体的に把握することができる。また、4Kプロジェクターにつなぐことにより、大学の大教室での講義にも活用できる。

※1 心臓シミュレータ:
国立大学法人東京大学様と富士通株式会社の共同研究から生じた心臓を高精度にシミュレート可能なシミュレータ。心臓の挙動を高精度に再現するシミュレーションを行うことができる。

※2 スーパーコンピュータ「京」:
文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理化学研究所と富士通が共同で開発を行い、2012年9月に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。

※3 興奮伝播:
ペースメーカー細胞(心臓の拍動の頻度を調節する細胞)から電気刺激が心臓全体に伝わる現象。

【関連リンク】
富士通(FUJITSU)

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