マイクロソフトはエッジへの対応力が強化 ーハノーバーメッセレポート13

ハノーバーメッセレポートの第13弾はマイクロソフトからだ。

マイクロソフトは、今年も多くの企業と連携した展示を行っており、具体的な実行能力を示していた。特に、Azure Sphereと呼ばれるチップのリリースや、Azure Stackと呼ばれるオンプレ環境でのAzure環境の実現、Azure IoT Edgeの強化などエッジ側への対応が目立った。

Azure Sphere(タイトル画像)

このチップは、マイクロソフト自身がシリコンベンダーと共同で開発したもので、LinuxベースのセキュアOSを搭載し、セキュア認証を行うというものだ。

家電メーカーや自動販売機のような「コネクテッドプロダクト」をターゲットにしていて、これまで対応が難しかったチップ自身のセキュリティ問題への対応や、問題が起きた時のリカバリをどうするのかといった課題に応える製品だ。

具体的にはARMとも共同で開発していて、この設計の場合Cotex-Mよりもバッテリー消費が高くなるが、そこはなるべく消費量を抑えるロジックで制御をしているという。また、この製品は、最低10年は安全性を保証していて、アップデートも行うということだ。

本格的に家電製品などのデバイスに入れ込むチップとしては、安全性の担保やアップデートの保証があるチップが登場したのは朗報と言える。

また、マイクロソフトは、この安全性を担保するために、「7つのプロパティ」を定義しているが、これは、X-Boxでの経験を活かしているのだという。

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今回のチップの開発にあたって、シリコンベンダーとしては、ノルディックセミコンダクターなどいくつもの企業が参画しているということだ。

また、Azure Sphere具体的な展示として、「LEONI」というEVの充電器に使われるケーブルメーカーが紹介されていた。

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ケーブル企業LEONIでのAzure Sphereの活用事例

Azure Sphereを搭載したセンサーは、ケーブルの温度などの情報を取り、ハイパワーチャージングをする際にケーブルの温度が上がりすぎないようにするというものだ。

60℃を超えると、利用者が火傷をする可能性があるため、クラウドに情報をアップロードしつつ充電設備をコントロールする。

すべてのデバイスを適切に管理することは簡単ではない。そこで、セキュリティ性にも優れるAzure Sphereを採用したということだ。

オンプレ環境でもクラウド版Azureと同じことができるサービス

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Azure Stackはオンプレ環境でもクラウドと同等のことができるようになる。

仮想マシンを立てたい、データベースを作りたい、IoTサービスをやりたい、といったクラウドで出来ていることを、オンプレでも実現したい場合がある。

Azure Stackは、そう言った要望に応える、パブリッククラウド版のAzureとほぼ同じ使い勝手が可能となるオンプレ用Azureの拡張機能だ。

HP、シスコ、DELL、EMC、レノボ、アバナード、HuaweiなどからAzure Stackが搭載されたマシンが出ている。

利用シーンとしては、日本の工作機械メーカーなどネットワーク的に閉じた環境や、東南アジアのようにネットワークが潤沢で無い環境の場合にこういったものが活躍する可能性がある。

機能としては、データはオンプレミスに、抽出データの分析はクラウドに、といったシーンにも対応することができる。

開発者は、Azureのスキルがあれば、オンプレ用のスキル学ぶ必要が無い、さらに、ある時オンプレのデータをクラウドにあげようとした場合でもノー・プラミングで対応することができるのだ。

アクティブディレクトリも搭載されていて、アプリケーション開発も1つやればクラウド・オンプレへの対応が可能となる。

Azure IoT Edgeが組み込まれたゲートウエイのエッジヘビーへの対応

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IoT Edgeは、Azure IoT Hubと呼ばれるクラウド側での接続をする口に対して、MQTTやHTTPなどのプロトコルで双方向通信するモジュールだ。これまでも各種ゲートウエイに搭載されていて、デバイス側とクラウド側のつなぎを行う役割を担っていた。

今回の展示では、Dockerというアプリケーションの実装環境を仮想化するテクノロジーを使って、エッジ側でもクラウド側で鍛えた認識アルゴリズムを使って動作するものであった。すべてのゲートウエイがOPC-UAにも対応している。

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OPC-UAでの接続やエッジヘビーへの対応などが実現できているIPCやゲートウェイが多く展示されていた

画像認識と深層強化学習によるマテリアルハンドリングマシンの自動操縦

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トヨタマテリアルハンドリングヨーロッパとの共同開発展示として、オートノマス・パレットと呼ばれる、自動運転するパレット搬送機のデモが展示されていた。

このパレットには、「AirSIM」と呼ばれる深層強化学習のアルゴリズムが活用されていて、バーチャル空間の中で自律的走行のトレーニングをしているのだ。バーチャル空間上とはいえ、カメラは現実と同じ性能のカメラを使っていて、空間の奥行きなどもバーチャル空間上で再現し、学習している。

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AirSIMという独自技術を使って、バーチャル空間上で深層強化学習がされている。

通常この手の機械は、ラインに沿って動くというルールがついているが、「ラインがないところで自分がどう動くべきか」も学習していくのだという。例えば、荷物がある別のリフトが近づいてきたら、荷物がある状態を画像認識して、自律的に荷物があるリフトを優先して道を譲ったりする。

ある程度まで鍛えられたら実機にインストールして実現世界でもテストを行うということだ。

業界別プラットフォームへの対応

AzureのIoT製品群を活用して、業界別プラットフォームを造る動きも進んでいる。

農業プロセスの全体最適化

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CNHが作る、大型農機具。
後方にアタッチメントがあり、様々な用途のデバイスがつくが、そこにセンサーが付いている。

CNHという大型の農機建機メーカーで、農業建機のアタッチメントなどにセンサーをつけて、情報をクラウドにアップロードするというものだ。

一つの農場で動いている機械はたくさんある。農業建機だけがインテリジェントになっても、トラックが来なければ収穫した農作物を運べないといった問題があるが、そういったビジネスプロセス横櫛の問題をクラウドを使って全体最適していく取り組みだ。

細胞培養のプロセスの全体最適化

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カールツァイスは電子顕微鏡のメーカーだ。細胞培養において、培地を作り、培養した細胞を顕微鏡で検査して、レポートを書いて提出するというプロセスがあるが、それぞれのプロセスに必要なアプリケーションは別々だ。

そこで、それぞれの処理をワークフロー状に並べることで、一連の研究に関するプロセスを効率化するというクラウドプラットフォームが展示されていた。

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例えば、顕微鏡で取得した画像データをクラウドにあげ、自分が見たい細胞があるかどうかを解析する。これまでは多くの画像データを「人」がみていたが、機械学習の進化によって検出が自動化されたり、統計情報をレポーティングされたりするというものだ。

ホロレンズをつかったMRソリューション

ホロレンズをつかったMR(Mixed Reality)に関しても展示が行われていた。

ロックウェルのバーチャルファクトリー

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この展示では、作業者はホロレンズをかけているのだが、設備の周辺には表示板も指示板もなく、非常停止ボタンしかない。しかし、ホロレンズをかけることでIoTで取得したセンサーデータが、作業者の周囲に現れるというものだ。

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ロックウェルは「FactoryTalk」というブランドでアプリケーションを提供していて、チャットボットを使って、自然言語によるユーザインタフェースが実現されている。例えば、「今日この機械の調子どう?」と聞くと、機械が「正常です」と教えてくれるといったものだ。

音声認識も可能だが、現状では工場内のノイズも多いこともあり、自然言語による対話についてはテキストベースで行っている。

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メルセデスの教育に使われるホロレンズ

また、ホロレンズを活用した工場の中での作業手順、作業指示、メンテナンス指示を行うソリューションは、メルセデスでは、すでに13,000人に対してトレーニングが行われているということだ。

VISIO 3Dをつかったレイアウト替え

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VISIOを使ってフロアーレイアウト図や物流倉庫のレイアウト図を書いている利用企業は、「VISIO 3D」と呼ばれるアドインを使うことで、設備の3Dデータをあらかじめ取り込んでおいた場合、VISIOでレイアウトを変えるとバーチャル空間上でのシミュレーションも行える。

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VISIOと連携してバーチャル空間上のシミュレーションが可能となる。

実際に、VISIO上からオブジェクトを消すと3D空間上から取り去られ、逆にオブジェクトを足すと3D空間上にも現れる。

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操作をすると、様々なシーンでの情報のドリルダウンができるようになっている。

また、SQLデータをVISIOに重ね合わせることができるので、Azure IoTで取得するデータも重ね合わせすることができるようになる。

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