「スマホだけで」設備の稼働率を見える化、武州工業がIoTアプリ「生産性見え太君」を提供開始 —スマートファクトリーJapan 2018

パイプ加工製品の製造を手がける武州工業株式会社は、スマートフォンを用いて設備の稼働率を可視化するIoTアプリ「生産性見え太君」を6月1日より提供開始する。「App Store」か「Google play」からダウンロードが可能だ。

同製品は、5月30日~6月1日まで東京ビッグサイトで開催されている「スマートファクトリーJapan 2018」にて、「スマートファクトリーAWARD 2018」を受賞(合計6社が受賞)。その専用ブースで初披露した。

スマホの加速度センサーから、設備の動きをとらえる

武州工業はパイプ曲げや板金加工の技術を持ち、建設機械メーカや自動車メーカ向けの部品を製造する企業だ。同社が、これまで自社工場内での運用を経て、このたび外販する「生産性見え太君」は、主に旧式の設備の稼働率(計画に対して、どれくらいのペースで稼働しているか)などを見える化する製品だ。

旧式の設備にセンサーを後付けし、データを取得して見える化するソリューションは、多くの企業が提供している。それに対し、「生産性見え太君」のユニークな点は、”スマートフォンそのものがセンサーになる”ということだ。

「スマホだけで」設備の稼働率を見える化、武州工業がIoTアプリ「生産性見え太君」をリリース
「生産性見え太君」のスマホ画面。リアルタイムのショット数と、その工程での目標の生産個数と実績がグラフで表示されている。右上には、担当者の名前が表示されている。

スマートフォン(以下、スマホ)には、加速度センサーが搭載されているため、上下と前後左右の動きをトラッキングできる。そのため、機械の動作部分にテープで固定するだけで、その動作からショット数をカウントすることができるのだ。

たとえば、ある機械が金属を加工する際に右へスライドし、1つ製品ができると左へスライドしてもとの位置に戻るような場合、それを1ショットとカウントする。

ショット数をカウントできれば、目標の生産個数に対して、どれくらいのペースで生産できているのかをリアルタイムで把握することが可能だ。

スマホの取りつけ位置は設備によってさまざまだが、たとえば工作機械の扉が一度開閉すると製品が一つできるとわかるような場合には、扉の部分にスマホをとりつければショット数を把握することができるだろう。

「スマホだけで」設備の稼働率を見える化、武州工業がIoTアプリ「生産性見え太君」をリリース
パイプ製品をつくる機械に取りつけたスマホに、「生産性見え太君」の画面が表示されている。赤くなっているのは、生産の進捗が遅れているためだ。

計画の個数に対して進捗が遅れている場合は、画面が赤く表示される(上の写真)。順調なペースであれば、青く表示される。

また、「生産性見え太君」では、スマホは機械の始動と停止を自動的に検知するため、設備の稼働状況も見える化が可能。それにより、機械が頻繁に停止している傾向などを見つけ、作業の改善に活かすことができる。

「スマホだけで」設備の稼働率を見える化、武州工業がIoTアプリ「生産性見え太君」をリリース
青い線が目標値、赤い線が実績だ。機械が停止している際には、その理由を「離席」/「点検」/「声かけ」/「故障」などの用意された項目の中から作業者が選択する。

機械が長時間停止している場合は、スマホは作業終了と判断する。もし、そうでない場合は、停止の理由を「離席」/「点検」/「声かけ」/「故障」などの用意された項目の中から作業者がスマホをタッチして選択する。それ以外は、作業者はほとんどスマホを操作する必要がないことが、同製品の特徴の一つだ。

ターゲットは中小企業、現場目線で拡販目指す

「生産性見え太君」は、稼働率のリアルタイムの可視化だけであれば、無料アプリとして利用できる。

しかし、取得したデータのCSVファイルへの出力や詳細な分析を行ったり、複数の設備のデータをまとめて管理したりするには、別途「見え太君サーバー」というクラウドサービスの契約をする必要がある。

「見え太君サーバー」は初回登録料が98,000円だが、6月1日~30日の期間は50,000円で提供するということだ。

武州工業は「生産性見え太君」のしくみを自社で3年間、約60台の機械で運用したが、故障したスマホは1台だけだったという。しかもそれは充電用のケーブルの破損であり、機器本体の故障はなかったということだ。

同社では、このしくみを用いて機械の停止理由を明確にし、作業改善に活かすことで生産性を2割向上。それにより、作業時間を短縮し、残業時間も減らせたということだ。

同社の新規事業創出G チーフエンジニアの町田武範氏は、「担当者ごとにデータを見ることができるため、個々の担当者の作業改善につなげることが可能。また、どの担当者が作業しても目標と進捗のギャップが埋まらないのであれば、計画を修正する必要があることがわかる。現場で何が起きているのかわかれば、必ず改善につながる」としている。

また町田氏は、「工場の見える化のしくみは、多くの企業が既に提供しているし、大手企業であればすべての機械のデータを収集するシステムを導入できるかもしれない。ただ、古い設備が多くそれが難しい中小企業も多い。そうした企業にはぜひ、当社の製品を使ってほしい」と話している。

【関連リンク】
武州工業(BUSYU)
スマートファクトリーJapan 2018

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