ハタプロ、LoRaWANによるスマート水道メーター遠隔検針実験を完了

株式会社NTTドコモと共同で39Meister事業を運営する株式会社ハタプロと、長野県大町市、株式会社ケイ・オプティコム、株式会社グリーンハウスは共同で、水道メーター検針を遠隔で行うための実験を、LPWA方式のひとつであるLoRaWANを利用して実施した。

その結果、大町市内の3軒の実際の住居におけるデジタル水道メーターの検針データを、大町市役所本庁舎に対してLPWA通信によって長距離伝送を行うことに成功し、水道メーター検針の遠隔化が可能であることを確認したという。

背景

長野県大町市は、住居や集落が北アルプスの山中にも点在しており、さらに冬季には多くの雪が積もる。そのため、水道をお使いの各家庭まで訪問し、目視で行ってきた水道メーターの検針作業はこれまで多くの労力と時間を必要としていた。

今回、39Meisterでは、デジタル水道メーターの検針データをLPWA通信によって送信する機器を新たに開発した。このスマート水道メーターからの検針データは、ほぼリアルタイムで大町市役所に送られる。実験では、実際の住居3か所において、既存水道メーターと置き換える形でスマート水道メータを新設し、さらにデータ伝送のためにケイ・オプティコムが開発したLoRaWANゲートウェイとプラットフォームを使用し、LoRaWANネットワークを各住居と大町市役所との間に構築した。

これにより、各家庭における水道の使用状況を遠隔にて常時監視することが可能であることを確認した。水道メーターは地中に埋められていることも多く、今回の実験でも地中にスマート水道メーターを設置した状態での実験だったが、最適な通信条件を設定することで、気象条件等にも左右されることなく安定した通信が可能となったという。また、冬季にはスマート水道メーターの設置部分に対して積雪があったが、その間でも通信品質に大きな影響がなかったそうだ。

今回の検証に際し39Meisterチームはオープンイノベーションの一環として、リーン型開発手法※を導入したハードウェアの設計・開発技術と、ケイ・オプティコムのLoRaWANネットワーク構築技術、グリーンハウスのLoRaWANモジュール搭載デバイス開発のノウハウを融合し、長野県大町市と共同で課題解決に取り組んだ。

※リーン型開発手法とは、市場のニーズを探りながら仮説検証を繰り返し、短期に開発を進める手法。

実験概要

・場所
長野県大町市 大町地区・平地区・常盤地区・社地区
※セキュリティ上の理由で 施設の詳細概要については非公表

・実施期間
2017年12月~2018年3月

・使用機器等
LPWAスマート水道メーター、LPWAゲートウェイ装置、水道検針データ管理ツール

・実験結果

1水道検針データを送る水道メーターの安定動作
デジタル式水道メータの検針データをLPWA方式で送信するために、最適なデータ処理を行う機能を持ったLPWAデバイスを新たに開発した。電源が無い場所において長期の動作を実現するために大容量のバッテリを搭載し、さらに厳しい気象条件等の中でも動作するよう防水・耐水型のボディを採用している。 本スマート水道メータが実際の住居に設置された状態で、長期に渡り正しく水道メータの検針データを送信し続けることを確認したという。

2LoRaWAN通信による各住居との安定通信
住居に設置したスマート水道メーターと、大町市役所本庁舎に設置したゲートウェイ受信装置とをLoRaWAN方式で接続し、実際の水道検針データをほぼリアルタイムに送信し続けた。それぞれスマート水道メーターは地中に埋められた状態の上、開閉式の上蓋でさえぎられている環境下だったが、最大約1kmの間を長期に渡り安定して通信した。実験期間中、上部に積雪があったが、その間も検針データの送信を滞りなく行うことに成功したそうだ。

3水道使用状況の可視化と管理
各住居における水道の利用状況を確認するためのケイ・オプティコムが提供したクラウドシステムにより、大町市役所において複数の水道メーターの検針データを一括管理することができた。これにより、水道メーターの検針業務の効率化が図れるだけでなく、日々の水道使用量をみえる化することで、水道の使い過ぎや未使用時の異常検知機能などを組み合わせることで、水道データを起点とした新たな市民サービスの開発を行うことに目途を立てることができたという。

※LPWAとは
Low Power, Wide Area の略称であり、日本においては免許不要な920MHz帯域における通信方式。特徴として、長距離通信が可能であること、通信モジュールの低消費電力化が可能であることが挙げられている。特定のエリアにおいてローカル通信を行う用途に加え、インフラ型でネットワークを構築するモデルも提案されており、特にIoTの分野で今後急速に発展が見込まれる通信方式。

※LoRa/LoRaWANとは
「LoRa/LoRaWAN」は、LPWA規格のひとつであり、「LoRa Alliance」にて仕様策定が進められているグローバルな通信規格。オープンな規格であることから、事業者にとっては機器開発やネットワーク構築への参入障壁が低いと言われているが、実際には日本国内における電波法やARIBへの対応など、商用化に際して特別なノウハウを必要としている。

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