東芝、IoT機器の個体認証向け新たなPUF技術を開発

東芝は、半導体チップのばらつきをチップ指紋(ID)として使う物理困難関数(Physically Unclonable Function:PUF)について、FPGA(Field Programmable Gate Array)(注1)に簡単に実装できる技術を開発した。本技術を適用することで、ロボットやIoT機器間の相互認証が低コストで実現可能となるという。

IoTやAIを活用して人々の生活をより良くし、新たな価値創造につなげる「デジタルトランスフォーメーション」が注目を集めている。この実現には、IoTの更なる普及が欠かせない。インターネットに接続される機器はますます増加し、例えば工場内の製造機器と制御装置が相互にデータをやり取りする等、機器同士のさまざまな連携が想定される。

また、多くのシステムがインターネットに接続されることでそれらのシステムへのサイバー攻撃のリスクが一層高まることが懸念されている。これらを背景に、ITセキュリティ技術に加えてデバイス認証技術を活用したIoT機器向けセキュリティ技術の重要性が指摘されている。

PUFは、電子回路を構成する個々のデバイスのばらつきを、チップ固有のIDとして利用することで、暗号による認証を実現するセキュリティ技術だ。PUFは、複製困難なため安全性が高く、低コストで実現可能なため、IoT機器の認証技術への適用が期待されている。一方で、従来のPUFでは、回路の配線に対称性が求められるなどの制約や、複雑な設計を要するため組込機器をはじめとするIoT機器への実装が困難という問題があった。

そこで同社は、発振回路の初期出力波形をIDとして採用する新たなPUFを開発した。本技術は、従来方式では必要だった回路の対称性等の制約がなく、FPGAのように頻繁に書き換えられる回路へも容易に実装できるという。更には、従来の方式と比較して、IDを発生させるために回路に電流を流し続ける必要がないことから、低消費電力化も可能となるという。

また、本技術を搭載した自走ロボットによる、相互認証を実証したという。PUFを実装したFPGAが搭載された親機と子機を用意し、子機は親機からの信号発信命令により、それぞれIDを発信する。事前にIDが親機に登録されていれば認証され、親機のLEDが光るという仕組みだ。実証実験では、本技術により機器間の相互認証が可能であることを確認できたという。

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