工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー

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UWB(超広帯域)無線を利用したリアルタイム位置測位システム「Ubisense RTLS」を提供しているユビセンス・ジャパン株式会社に、工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステムについてお話を伺った。

  • お話いただいた方
  • ユビセンス・ジャパン株式会社 ジェネラル・マネージャー 山口達也氏(トップ写真右)
    ユビセンス・ジャパン株式会社 RTLSビジネスユニットマネージャー 本多紀夫氏(トップ写真左)

  • 聞き手
  • 株式会社アールジーン 代表取締役/IoTNEWS 代表 小泉耕二

     

    小泉: 御社について教えてください。

    山口: ユビセンスはイギリスのケンブリッジで位置測位を研究していたメンバーが 2003年に作った会社です。大学ベンチャーが少しずつ大きくなり、自動車会社に採用されたことでさらに大きくなり、現在ではアメリカ、ヨーロッパ、アジアで展開しています。

    私どもは、ロケーションインテリジェンスプロバイダーというキャッチコピーで展開していて、位置情報をIoTの文脈の中にきちんと取り込んでいこうというポジショニングです。

    サービスとしては2種類あり、最初にご紹介するのは、スマートファクトリーで使用される生産工程内15㎝誤差ぐらいのモノの位置情報を管理するというRTLS(リアルタイムロケーションシステム)です。

    もうひとつは、Ubisense myWorldという製品で、社会インフラ、水道、ガス、電力、通信、分野において、設備などの空間的な情報をポータルとして管理するツールです。

    今まではそれぞれが完全に独立した事業としてやってきました。それが昨今のIoTでは、センサー情報があってもそれがどこで起こったことなのか、という位置情報が正確にわからないことが問題になるケースが多いので、それを補完していくことになりました。

    工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー
    ユビセンス・ジャパン株式会社 ジェネラル・マネージャー 山口達也氏

    ユビセンスのRTLS(リアルタイムロケーションシステム)

    本多: まずRTLS(リアルタイムロケーションシステム)の説明をいたします。工場内は屋根がありますのでGPSの電波が届きません。ですから、センサー類を使って位置測位をする必要があります。そういった工場向けに作っているわれわれの製品がUWB高精度位置測位システムです。

    ※UWB…ウルトラワイドバンド

    この製品は、タグという発信機を人やモノにつけて、そこから発信される電波を使って測位します。

    特徴は広い範囲に使えることです。工場は大きいので、広い範囲をカバーする必要がございます。実際には30m四方4台ぐらいの割合で設置していきます。 工場は広いので必要な分のセンサーを設置していくことで、工場全体での位置の測位が可能です。 大きな例になりますと2kmの生産ラインを約500台のセンサーでカバーしている実績もございます。

    UWB(ウルトラワイドバンド)は日本語でいうと超広帯域無線です。高い周波数の非常に帯域が広い微弱な電波です。 その特性を活かして、反射波のフィルタリングとAoA(受信角度による測位)とTDoA(タグから各センサーへの電波の到達時間差)の2つの測位方式を組み合わせ、数十センチレベルの測位精度の実現とタグのバッテリーの消費電力が少なくて済むので、タグの電池寿命が長くできるといった特徴があります。

    ユビセンスのタグとセンサーはすべて技適を取っていますので、特に申請することなくお使いいただけます。2003年以来ずっとこれを専門にやってきた会社で、お客さまのご意見を聞き入れながら製品のバージョンアップも重ねています。

    ユビセンス

    小泉: 直進性が強い帯域ですよね。それで、上とか下とかモノの向こう側にあるタグをどうやって認識するのですか。

    本多: そのためにセンサーを複数台置いておきます。おっしゃるとおり、電波は光と同じような特性持っていますので、まっすぐしか飛びません。 Ubisenseの測位システムは、タグからの電波が2台以上のセンサーに到達した場合に測位できるようになっておりますので、遮蔽されても2台以上のセンサーが見えるように配置にしていきます。

    小泉: なるほど。死角がないように数台置くのですね。

    山口: エリアの四方を囲むことで、多少の遮蔽があっても2台以上のセンサーは見ますので、そういった配置にしていくイメージです。

    本多: 上記で説明しているのは、Ubisense製品の位置づけです。工場内で使用している機器にはさまざまな製品があって、それぞれの製品が得意な分野をカバーしています。バーコードとかパッシブRFIDというのは、目の前にモノ来たときにIDを読み取る事ができます。

    次にアクティブRFIDやWifi、最近はBLEを利用した測位システムがありますが、そういった製品群については精度的に1m-20m位の精度で、だいたいこの辺にモノが来ている事がわかる技術となりますが、工場によっては、数十センチメートル程度のようにもう少し精度を良く取りたいという要望もあり、そこに当てはまるのが弊社の製品になります。

    工場内で数十センチメートル精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー

    なぜUWBを使うかですが、理由のひとつとしてマルチパス(反射した電波)の影響を最小限にするためとなっています。破線のように電波は壁に当たると反射します。ですから反射した電波を取ってしまうと、「そちらの方向にモノがあるのではないか?」と認識してしまいます。これは測位にとっては大敵です。図のようにオレンジ色の電波だけをなんとか取りたいのです。

    そういった場合に、WifiやBLEなどに多く使用されている2.4GHz帯のの周波数帯ですと、右図のように物理的に波が重なってしまい直接波と反射波を分離するのが大変です。ここで周波数を上げていくと右図のように短いパルスを作られるようになるので、まっすぐ飛んだ電波と壁に当たった電波、これがきちんと分離する事ができます。

    小泉: 一番距離が近いやつだけ取れば、直進しているといえるわけですね。

    本多: はい。そのとおりです。

    工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー

    本多: 次に、どうやってこれを使って測位するかという話です。25gのちいさな発信機から発射された電波が四方八方に出ます。それを天井付近に設置しているセンサーが受信します。そのセンサーが電波の受信角度がわかるので、2台以上のセンサーからその方向をたどっていくと、そこにモノがあるということがわかります。これはAoA(Angle of Arrival:受信確度)という測位方式です。

    ただこれだけだと、センサーの角度の分解能により、1~2mぐらいズレが発生し精度が不十分ですので、さらに精度を出す必要がありTDOA(Time Difference of Arrival)という方式も併用しています。

    それは、タグと各センサーの距離はそれぞれで違っていますので、電波の到達時間が変わってきます。その微妙な到達時間差ですが、例えば5m近ければ5m分だけそのセンサーの方が早く電波が到達します。それらの時間の計算をすると距離の比率がわかりますので、それでタグの位置が計算できます。それがTDoAと呼ばれる測位方式で、Ubisenseは、それら2つの測位方式を併用しているため、理論上ではなく、実際の現場で数十センチメートルの精度が出せるようになっています。

    工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー
    ユビセンス・ジャパン株式会社 RTLSビジネスユニットマネージャー 本多紀夫氏

    小泉: TDOAというのは、タグから発信される同じタイミングに出たであろう電波をそれぞれのセンサーが受け取り、それがケーブルを介してどのタイミングで来たとわかるから、何秒ズレたのかがわかるということですね。あとは三平方の定理を使って、位置を特定しようという考え方ですよね。もともとお話されていた角度がわかるって話と両方やるということですね。

    本多: そのとおりです。こういうものは誤差がそれぞれありますので、組み合わせることによってより正確な測位ができます。

    小泉: AoAとTDOAと両方なきゃいけないということですね。

    本多: はい。論理上はAoAやTDoAのひとつだけでも30㎝でできると言えるのですが、現場の状況は理想的な環境であることは無く、時々刻々と状況が変化してきます。さらに、金属が多い工場だと先ほどの反射の話も出てきます。

    本多: ですからユビセンスのシステムはそのような現場で実際の業務に利用できる製品を想定しています。

    小泉: ちょっといじわるな質問かもしれませんが、直進性を売りにしているがゆえに、どうしてもモノにブロックされることってあるじゃないですか。そうすると、AoAもTDOAも取れなくなっちゃいますよね。そういう時はしばらく待つのでしょうか。

    本多: センサーが2台以上見えなくなってしまうとタグの位置測位ができませんが、次に測位できた時点で、その場所にあることがわかります。

    小泉: 取れなかったというステータスになるわけですよね?タグ自体は固定されているとこに置いて使うものなのでしょうか。

    本多: はい、位置を測位したい対象物へ固定します。タグの電波の発信角度0.1秒まで上げられます。広い工場で測位する場合には、25mから30m四方に4台のペースで置いていきますので、100m30m程度の工場であれば、おおよそ12台になります。ひとつのセンサーのグループ(セル)は最大12台のセンサーで構成されますので、センサーの数が多い時には、複数のセルを作成して運用します。

    山口: そうなると、論理的にできているセルみたいなところに、例えばさっき言っていたタグを見つけられなくなるとするじゃないですか。ただ、これが動いていたら次のセルに入った時に次のセルのセンサーが発見するので、「セルAからセルBに移動したんだな」とシステムが認識します。

    工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー
    株式会社アールジーン 代表取締役/IoTNEWS 代表 小泉耕二

     

    小泉: 全部つながっているわけですね。じゃあ、タグの中から出てくる電波はどのタグから出たか、何時何分なのかなどの情報が加味されて、あとでセンサー側で演算できるということなのですね?

    本多: はい、100個でも200個でもひとつのセンサーグループの単位の中に入っているタグは、瞬間を見ると必ずひとつのタグしか電波が出ないように制御されています。

    タグが範囲内に入ってくるとまずスケジュールします。「どの電波をどのタグから順番に出しなさい」とタグに司令されると、そのスケジュールでタグが電波を出すということになっています。

    小泉: ということは、タグは上りも下りも取っているってことなのですね。位置の計算しているのはセンサーですよね。センサーが例えばわかりやすいように4つ置いてあったとして、この範囲の中にタグが入っていた場合、タグが一発何か発信してくれれば自分が中にいることはわかりますよね。

    本多: 測位はUWBの電波ですが、タグが存在を示すのは2.4GHzの電波です。UWBと比較して広く取れます。2.4GHzといってもWifiではありません。隙間の電波を使っています。

    小泉: 干渉しないわけですね。その辺りに居そうだなぐらいはまずわかって、センサーがスケジュールをして、じゃあ君は2秒後にみたいな感じですか。

    本多: 全部のセンサーがあるタグから発射される予定の電波を待ち構えているのです。この瞬間はこのタグから来るはずだというのをわかっているので、この瞬間に来た電波はこのタグだとわかるのです。

    小泉: それを0.1秒間隔でコントロールしているのですか。

    本多: ひとつのセンサーのグループ毎に1秒間に40個のタイムスロットがあります。ですから4つまでのタグだったら0.1秒間隔で測位できます。そのグループは、たくさん作成できます。例えば2kmの自動車生産ラインだと500台ほどセンサーを使うので、500台のセンサーで受信した角度や時間差の情報が全部パソコンで測位の計算をしていたら、パソコンが何台あっても足りません。

    Ubisenseのシステムはひとつのグループの中にマスターセンサーを1台設けて、そこにグループのセンサー情報をすべて集めてきます。そうするとマスターセンサーが、XYZの座標を計算して、ID付きで、PCへ測位結果を返してくれるのです。ですからノートパソコンのような非力なPCであってもけっこう広い範囲情報を処理できますので、非常に効率的です。

    小泉: マスターセンサーは処理能力が高いのですね。

    山口: 物理的にはすべて同じで、論理的には誰がマスターになるかを決めているだけです。意外なところで時間を食いましたね(笑)ここまで食いついた人は珍しいです。

    小泉: でもこれがわかっていると、もし費用が高くても仕方がないなと思います。

    山口: この技術のユニークネスをわかっていただきありがとうございます。

    本多: BLEやWi-FiのハードウェアはUbisenseと比べてけっこう安いです。ユビセンスのハードウェアは高めで10倍以上はしますが、使用する目的が違います。Ubisenseは、約15年も変わらずこの技術1本でやってきてきます。ユビセンスのアンディ・ワードというCTOはここの業界で有名なドクターなのですが、まだ現役で開発しています。

    ユビセンスの技術が多く使われているのは自動車産業

    本多: 現在、ご利用が多いのは自動車産業、航空宇宙産業、重機などの特殊車両産業です。投資された分の成果が出ているということかと思います。

    航空産業の中ではエアバスが一番大きなクライアントです。特殊車両分野ではジョンディアやキャタピラーの工場で、さらにアメリカでは交通でも使っています。去年一番大きなニュースだったのは、ロッキード・マーチンのF35、生産計画に使われはじめたことです。

    小泉: F35って戦闘機ですよね。製造で使ったのですか。高いですよね。

    本多: はい。戦闘機そのものが、けっこう世界で売れているみたいです。1機あたり100憶円超ほどで販売されましたが、生産機数が予定より多くなり、その分値下げしなければいけないという課題がありました。その課題を解決するためのユビセンスは単なるひとつのツールに過ぎないのですが、生産性の向上に寄与しています。

    工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー

    本多: 工場での一番単純な使い方としては、工場内でのモノ探しのツールとしてユビセンスのセンサーをご利用いただいています。造船所とか、飛行機の工場とかでも、1日の作業時間の中でもモノを探す時間が多くあり、それは見えないコストとなっています。

    次に工場の中にはいろんなモノがあります。飛行機の羽がありますし、台車の上のカゴの中に部品が入っていたり、人が歩き回っていたります。これらは、上位の生産管理システムなどに上げてく場合に、そのままの位置情報だけではなく、意味のある情報として加工しなければなりません。そこでジオフェンシングという手法があります。

    工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー

    本多: このジオフェンシングについては、図のようにセンサーの有効範囲内でしたら論理的に作ることができます。その中にタグをつけたモノが入ってくると、このエリアの中に何が入ってきたかがわかります。例えば、図の一番手前の羽の位置だと、羽につけたタグがこのフェンスに入ってきたら羽がここにあるというのがわかります。人にもタグが付いているので羽に近付いてきたら、この位置で羽に対して作業するんだなとわかります。

    また、工具が動かす前にこの工具がきちんと点検された履歴があるかどうかのデータを使って、エリアにその工具を持ち込んだ時に、これからの作業を行ってよいかどうかの判断にも使えます。 そのように現実世界とデジタルデータを合わせてデジタルツインを形成することが可能となり、上位のシステムに現場の状況を上げやすくなるのです。

    小泉: 大きいものだと特に工程によってモノの移動のコストや、置き場所がないから仮に置くところがなくて外に置いておいて、そこに取りにいくのに時間かかることがよくありますが、それを最適化できるということですよね。

    本多: そうですね。あと航空産業に限らないのですが、例えばこの製品である羽のところに人が来て作業した場合に、どれだけの人が近くにいたかという情報で作業実績が取れます。そうするとコスト計算ができるようになります。昔は日報を書いて集計してやっていたのですが、その手間がなく、より正確になりました。

    自動車の生産工場で一番大きなお客さまはBMWの工場で、だいたい2kmの生産ラインに500台のセンサーつけています。だいたいの場合、タグは自動車側先端のエンブレムあたりに付いています。1日に1000台ほど生産しており、その全部に付いています。 また、ラインで使用している工具にも150ぐらいのタグが付いていています。こういったような使いかたで、世界中で走っている自動車のうち4%ほどが実際にユビセンスの仕組みで作られています。

    下記図のように、車と人が持っている工具にタグが付いているので、そのタグが発信すると、それらの位置が正確にわかります。

    工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー

    本多: 最近の自動車の生産ラインではでは15㎝以下の精度で、位置を求める必要があります。 自動車につけられたタグの位置と取り付けた自動車の大きさによって、周りに上記のような作業エリアのジオフェンシングを作り、これが車とともにジオフェンシングも流れてきます。

    最近では無線工具といって、工具単体にバッテリーを積んで動くツールが流行っています。これをRTLSと組み合わせて制御を行い、作業員が正しい工具を持ってこの車に近づくと、その空間でだけマッチングが生じるのです。

    そうすると、「この工具はこの車に対してこの力で締めなきゃいけない」というのがプログラムとしてダウンロードされます。

    小泉: 工事をする時にはその情報はどこかに表示されるのでしょうか。

    本多: この人は正しい工具持って入るだけなので、情報は表示されません。万が一この人が変なツール持ってきて入っても電源が入らず動かないようになっています。最近の工具はゾーンマッチングしない限り、電源が入らないのです。

    そうすると設定の自動化と間違い防止になるので品質や生産性が上がります。あとは混流生産なので、対象の製品によって作業時間が異なる場合に、作業できるライン上での位置を変えることで、それに対応することができるようになります。例えば3列シートか2列シートの車種が混流するラインで、その車種によってタクトタイムが変えられるのです。

    多くの工場ではRFIDで、それを制御しています。RFIDはライン上に固定されているので、車種ごとにタクトタイムを変更する(ライン上の作業可能エリアを変更する)ことが容易にできません。しかしユビセンスのこの仕組みを使うと車種ごとに持ち時間を変えられるので、非常に柔軟性を持っています。

    小泉: 作業の持ち時間を変えられるということですね。例えば「10秒位内にこのシート取り付けてね」という作業がまずあるわけですよね。そのときに、ボルトを締める機械を持って車に近づくと、それはゾーンチェックされているので、正しい工具を持って近づけば作業の開始ができきてシートを締め付ける事ができるようになりますが、例えば車種Aは、その10秒の時間が与えられ、車種Bは、作業量が多いので20秒の時間が与えられるということですね。

    本多: ラインは同じ速度で動いていますので、ライン上の広さで持ち時間が決まります。例えば、2列シートだったら60秒、3列シートだったら90秒与えられて作られます。

    小泉: それが日本だと違う方式になるとおっしゃったのはどういうことですか?RFIDだとなぜ、柔軟性がないのでしょうか。

    山口: RFIDはライン上で固定されて配置されていますので、車種によって読み取り位置を変更できません例えば、3mの作業領域にしなさい、6mの作業領域にしなさいみたいな、ダイナミックな切り替えが絶対できないのです。

    小泉: ユビセンスのゾーンの仕組みを使うことで、それができるということですね。

    山口: はい。混在車種を作ること前提で、今考えています。同じだったら別にいらないです。実際に見るとすごいですよ。さまざまな種類が混じってきます。一番使われているのは、ファイナルアッセンブリラインという一番人手がかかるところです。機械化されてしまった工程は、あまり関係ありません。

    小泉: わかりました。

    オフライン・プロセス・コンテキスト

    本多: 今度はオフラインの話です。今度はラインをオフすると、検査工程もあって、その検査結果によって手直ししなければいけないとか、オプションをつけるとか、そのまま出荷できるとかいろんな状態があるので、車が今どこにいてどういった順番で行くかわからないのです。

    ですから、センサーの範囲内でどこにどういった車が今いるか、どういった順番で出荷していったか、どういったところでどれだけとどまったかわかるものができました。そうすると統計が取れるので、統計を使って次の工場の改善案が出てきます。

    工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー

    山口: 現場に行ってみると、どのメーカーさんも想像以上にコントロールされていません。次にどの工程が空いているのかもわからないし、どの順番で行くべきかもわかっておらずかなり混乱している状況です。例えば、8台分のスペースしかないところに一斉に集中して10台行っちゃって2台が待っていることもあります。

    myWorld

    本多: 続いて別のUbisenseプロダクトのmyWorldをご紹介します。下記は概念図です。

    工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー

    多くのお客さまはGIS(Geographic Information System:地理情報システム)をお持ちです。古いものや操作性の悪いものなどがあります。また、そのデータを皆で使いたいというニーズあります。例えば電力会社だと、設計や工事をしている情報を営業の人も見たいなど横の連携が求められていました。しかし、部門ごとに皆違うGIS を持っていて、なかなか連携できませんでした。

    そこにひとつの仕組みを1枚かぶせてあげて、いろんなところからデータを持ってきて見られるようにしましょうというのが、ユビセンスのmyWorldです。オフィス内ではパソコンで、屋外だと、タブレットやスマートフォンで対応可能です。ユーザーは通信会社、電力会社、ガス、水道などの企業です。

    ケーブルテレビの事例をご紹介します。ケーブルテレビを見るためにお客さまの自宅にモデムがあります。 そのお客様300万件ありそのすべてのモデムの生き死にという情報を15分ごとに集めてきて、正常の状態の時は緑で表示しています。以前、ハリケーンサンディが来た時にはすべて落ちてしまったので、表示が真っ赤な状態になりました。

    これまでは、落ちたというのが広範囲見られるサービスがありませんでした。こういった細かいミクロのデータを使って、全体的にマクロで見ることができます。拡大してくこと電力の送電線とか配電線の状況が見えてきます。

    アメリカだとけっこう停電が多いのですが、アメリカのオペレーションでは停電が起きた時にすぐ直しに行く事が必要です。ですので、停電があった際にはクルーに近くの〇〇へ行けという指示ができます。逆に日本は停電させないいのがポリシーなので、自動化のシステムで停電がほとんどありません。

    操作が直感的で、圧倒的に早いです。30万件のデータの画面いっぺんに出しても、ストレスなく見ることができます。

    既存GISがあることを前提に作られたシステムですので、そのシステムと連携して導入も早く数週間で対応します。通常のGISをリプレースする場合、システムの構築やデータの移行などで運用も変わり大変な目に遭うのですが、これだとGISや業務の部分の変更が最小限となります。住宅リフォーム業界で「新築そっくりさん」というのがありますが、このサービスもそういったものです。外部データ連携も可能なので、Googleの交通情報や天気予報の情報も組み合せることができます。

    工場内で数十cm精度での測位可能なリアルタイムロケーションシステム -ユビセンス・ジャパン インタビュー

    小泉: 技術的アドバンテージという意味では、そんなむちゃくちゃ難しくはないのですよね。

    本多: お客さまに見えるところは本当に氷山の一角です。ベースになっている技術はかなり奥が深いものになっていて、いかにたくさんの情報を高速に表示するとか、お客さまが簡単に設定しやすくするとかというのをけっこうがんばっています。

    これを作った技術者が、アメリカにいますが、彼は世界三大GISの2つを作った人なのです。世界GISというのは、ESRI、Smallworld,インターグラフという3社とした場合、そのうちのSmallworldとインターグラフのCTOだった人が、そういったものが既存GISがあるうえで、それにプラスして世の中に必要なコンセプト何かって考えてこのmyWorldという製品が生み出されました。彼が今のUbisenseのCTO、ピーター・バッティという人です。

    小泉: 時系列って過去にさかのぼったらできるのですか。

    本多: 例えば障害情報の管理などは、過去はずっと取れますのでできます。

    山口: これは情報ソースは別のとこにあって、それを持ってきてマッシュアップで見せているだけなのです。特に優れているのは検索です。

    検索ウィンドウがありますが、ここがほぼGoogleのフリーワードサーチと同じような機能を持っているので、操作は非常にシンプルです。検索すればマルチソースのどこにあろうがとりあえず引っかかるものを持ってくるのです。そしてクリックするごとに関連先から全部連動して結果を出してきます。

    小泉: 本日はありがとうございました。

    【関連リンク】
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