稼働率の分母は?
ところが、分母の負荷時間をどうするかが意外に難しい。
多くは稼働率管理の目的に応じて、また、かける手間と効果を天秤にかけて負荷時間の定義を決めている。一般的には次の三つのいずれかに近い考え方が採用される。
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① 負荷時間を 365 日 24 時間とする
シンプルだが、現場で管理できない計画休止分のロスが相当紛れ込む。例えば受注不足や長期休暇などでも稼働率が下がる。そのためOEEの活用目的であるロス対策の指標にはなりにくい。
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② 負荷時間を工場の操業時間とする
工場の操業カレンダーを使って実際に工場が操業する時間を基準にする。①よりは現場向けの指標に近づくが、定期メンテナンスなど設備個々の状況の考慮が漏れる。ただ、計算は簡単なので現実的な案と言えるかもしれない。
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③ 負荷時間を生産計画時間とする
現場が本来モノづくりをすべき時間を基準にする。トヨタ生産方式でよく知られたベキ動率という指標があるが、この考え方に近い。ただ、設備ごとの生産計画時間を日々メンテナンスする必要があり、一番手間がかかる。
稼働率の分子は?
分子となる稼働時間の定義がぶれることは少ないが、そもそもどうやってデータを集めればよいかが問題になる。手作業でつけた日報を集計する企業も多いが、これでは負担がかかり正確性にも疑問が残る。ここでIoTの登場である。IoTを活用すれば設備の稼働状況を簡単に収集できるようになってきている。集計の労力が無くなり正確性も格段に向上する。SIGNAL CHAINの狙いのひとつはこれである。
最後に
OEEを活用している企業ではこれをうまく改善活動のための指標に組み込んでいる。ただ、収集した稼働率や稼働状況の正確性に課題を持つ企業もまだ多い。IoTの普及はその解決の一助になっている。
今回はOEEの下位指標のうち稼働率を紹介したが、性能についても各様の考え方があり面白い。機会があれば紹介させていただきたい。
【関連リンク】
・mcframe SIGNAL CHAIN
・ものづくりIoT
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