MWCでも存在感を示すKTとSKtelecomの取り組み ーMWCバルセロナ2024レポート2

例年MWCでも韓国企業の存在感は大きい。

LGはスマホ市場から撤退したこともあり、出展していなかったが、Samsung、KT、SKtelecom(以下SKT)はMWCのトレンドを生み出す存在であり、それぞれ印象的な展示をしていた。ここでは通信事業者でもあるKT、SKTにフォーカスをして紹介する。

韓国内企業連合でAI領域を拡張するKT

KTは通信事業者からAICT(AI+ICT)企業への変革を目指す宣言をしており、MWC2024でもKTブースの多くで「AI」という単語が溢れていた。

これも通信事業者からCSPへの変化と近いニュアンスで、その変化と成長の核となるがAIと捉えていることがうかがえる。

GBIKEのe-Scooter
GBIKEのe-Scooter

まずはパーソナルモビリティ向けのAI活用だ。ブースにはKTのパートナーであるGBIKE社製のAI e-Scooterが展示されていた。

AI e-Scooterとは、ADASを搭載した電動キックボードで、ハンドル下に取り付けられているAIカメラで周囲を捉え、事故などを未然に防ぐための運転者への情報提供、モビリティ制御などを行う。

またGBIKE社はパーソナルモビリティ業界でアジアNo.1の規模に成長しているが、成長の要因の一つが、バッテリーも含めて自社でプロダクトを開発・製造しているということにある。

e-ScooterにADASを搭載
e-ScooterにADASを搭載

特にバッテリーは消耗品であり、充電・利用を繰り返すものなので、この管理がユーザビリティに直結する。

そのため、AIでバッテリーの状態をトラッキングし、どこでどのように充電すると良いのか、劣化状況や交換タイミングなどの把握ができるようになっている。

またモビリティ別にバッテリーに求められる仕様や最適な利用方法も把握できるため、その情報を基に各モビリティ別にバッテリーを開発しているという。

運用の先読みをしたAI活用と製造プロセスへのフィードバックで、さらに競合他社をリードする気配を感じた。

AI EV Charger
AI EV Charger

続いてCookieを利用せずに、ユーザーの関心に近い広告を表示する手法として広まってきているコンテクスチュアル広告についても触れておきたい。

現状のコンテクスチュアル広告の多くはカテゴリーやキーワードとの関連性で表示されているものが多いが、今後は文章の内容や文脈を把握した上で、親和性の高い広告を表示するようになるという。

情報の文脈と広告の親和性を判断する頭脳としてKT LLMが活用されている。

AI Contextual Advertiging
AI Contextual Advertiging

またKTが出資するAIファブレススタートアップのRebellions Inc.が設計するAIチップATOMを搭載したボードとWaferも展示されていた。

スタートアップでありながらSamsungとも提携し、処理能力は先行するNVIDIA、Qualcomm以上とも言われている。

e-Scooter含め、このような韓国国内企業連合による領域統合型のAI活用は、加速的な進展を見せる可能性が高く、CES2024でも感じた韓国企業の存在感向上の後押しになるだろう。

Rebellions Inc.のATOM BoardとWafer
Rebellions Inc.のATOM BoardとWafer

派手な演出とアイコニックな展示で人を惹きつけるSKT

SKTのブースはMWCの中でもメインホールと言われるHall3の中央付近にあり、場所的にも集客力が高く、一時はブース内に入る入口付近に人だかりができ、すぐに中に入れないほどの混雑ぶりだった。

理由としては注目されやすい演出と映像で撮影したくなる展示(足を止めてしまう演出)が多いということが挙げられる。

SKtelecomのブース
SKtelecomのブース

SKTは「空を飛ぶタクシー」と呼ばれる都心航空交通(UAM)の関連技術アピールをするために、実機のモックアップをブース内に展示し乗車体験ができるデモを行っていた。

韓国も都心部は日本同様人口密度が高いこともあり、渋滞は社会課題の一つでもある。そのためUAMに対する期待は大きく、2025年の商用化をスコープにUAM関連の取組みが加速している。実際にSKT同様KTでもSkyPathというUAMを対象とした空中無線ネットワークを展示していた。

SKTブースも半分はAI関連の展示だったが、通信事業におけるAI活用が中心となっていた。例えばOn-device AIは通信品質・速度の最適化をしつつ、デバイスのバッテリーパフォーマンスの最適化も同時行うようなものだ。

通信事業におけるデバイス上のAI活用
通信事業におけるデバイス上のAI活用

NETWORK AIのコーナーでは6Gのネットワークシミュレーターを見ることができた。多くのビルが立ち並ぶ街の3Dマップをベースに、無線アンテナと端末の接続をAIが最適化する様子を、無線を可視化した映像で確認することができた。

AI Based RANでは、ドコモ、NTT及びNokiaと共に取り組んでいる6G向けのAI無線インターフェースの取組みが紹介されていた。

これはMWC開幕直前の2024年2月22日に4社共同でプレスリリースされた取組みで、各社が実際のネットワークから得たデータなどのノウハウを活用し、AIモデルの性能向上を効率的に進めていくことが目的だ。

グローバルで展開するNokia、人口密度の高い日本・韓国のデータを活用し、6G RANにおける理想のAIモデル構築に向けた取組みを進めていくことが期待される。

ドコモなどと共同実証を行っているAI Based RAN
ドコモなどと共同実証を行っているAI Based RAN

通信事業へのAI活用は、海外の通信事業に関わる企業との連携が非常に効果的になってきている。

昨年発表した通信事業者専用LLMの共同開発についても紹介されていて、これはドイツテレコムはじめ、シンガポールのSingtel、UAEのetisalat、そして日本のソフトバンクが参画している。

ソフトバンクはMWC開幕直前にこのアライアンスに参画したとのことだ。

SoftBankも参画するGLOAL TELCO AI ALLIANCE
SoftBankも参画するGLOAL TELCO AI ALLIANCE

この共同開発のポイントは多言語であることだ。共通点が通信事業だが、それぞれ企業別にメインとなる言語が異なる。

韓国語、ドイツ語、英語、アラビア語、日本語に対応した通信事業に必要となるLLMの共同開発を進めている。

具体的な活用シーンとして、サポートやセールスのためのコンタクトセンターの構築をスピーディに行うことやネットワークオペレーションサポートなどが考えられる。

特に前者は現状でもユーザーがきちんと理解できないサービスや契約が乱立していて、どこに何を問い合わせたら良いかがわからないことが多い。

こういったユーザーのストレスを軽減していくことや、インターネット上の詐欺やトラブルを防ぐためにLLMの活用をしていくという。

AIによる顧客へのベネフィット
AIによる顧客へのベネフィット

国内を中心に事業を展開する通信事業者だが、KT、SKTは共に海外への影響力を意識した取組みを加速させている。

KTのパーソナルモビリティやAIチップへの関わりは、韓国内企業連合で世界が採用したくなる品質を提供しようとしている。

またSKTのグローバル企業を巻き込んだ共同開発などは事実上の標準化を創出する可能性がありそうだ。

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