MWC2024レポート第三弾は100周年を迎えた、テレフォニカのブースから。MWC初日にスペイン国王が100周年のお祝いも兼ねて来訪し、多くのメディア、来賓で溢れていた。
そのブースの中央では、ロボットアームが100周年記念の木製キーホルダーを制作するデモを行っていた。
2台のロボットアームがあり、AIで双方の動きをそれぞれが認識し、自動でキーホルダーを制作。仕上がりの品質チェックも画像認識AIで行う仕組みも搭載していた。

注目は、今年のトレンドでもある「NetworkAPI」を活用したユースケースであるTelefonica Open Gatewayだ。
Telefonica Open Gateway
これは場所に応じて楽しめる映像、デバイスを変えて、それぞれに最適化した通信でコンテンツを配信できる。ブースではスタジアム内にあるスマホの場合はマルチアングル映像をリアルタイムに視聴可能とし、自宅にいる場合はMeta Questでバーチャルスタジアム体験ができるというデモを行っていた。

これらのデモの実現に活用したAPIには、大きく4つの機能がある。
1つ目がDevice Location APIで、ユーザーの居場所を把握する。このAPIによりスタジアム内にいる人にだけ限定のコンテンツ配信などが可能だ。
2つ目は日本では一般的なキャリア課金APIだ。3つ目はQoD(Quality on Demand)モバイルAPIで、利用目的に必要となる通信速度や品質を要求し、それに対してモバイルネットワークをダイナミックに最適化するものだ。
3Dの高解像の映像を快適に楽しむ際などに有効になる。
同様のAPIは他のブースでも多く紹介されていて、5G SAのネットワークスライシングがようやく期待に応えらえるようになってきたことがわかる。
一方、実用度に関しては国やエリアによって状況が異なってきそうだ。日本のように人口密度が高く、テキストなどの通信ですらスムーズにやりとりできない時間帯がある場所では、当面は法人向けに限定されるだろう。

このAPIはこれまではVoIPなどで利用されている印象が強かったが、オンライン会議の拡がりもあり、大事なプレゼンテーションをオンラインで実施する際などはぜひとも利用したいAPIだと感じた。
自宅では利用者数も限定され、自身でWi-Fiの設定変更もできるが、オフィスなど不特定多数の人がいる環境では、ユーザー側からの申請で利用できるようになることが理想だ。

双方でボールをぶつけあい、その回数を競うゲームになっていて、ボールメタバース上のプレイヤーに当たるとHapticsベストにその衝撃が伝わるようになっている。
基本的に1対1で対戦するものだが、外部からの参加も可能な仕組みで、メインプレイヤーの2人だけでなく、マルチユーザーでの超低遅延ネットワークを実現し、新しいメタバース体験の提供をしていた。
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未来事業創研 Founder
立教大学理学部数学科にて確率論・統計学及びインターネットの研究に取り組み、1997年NTT移動通信網(現NTTドコモ)入社。非音声通信の普及を目的としたアプリケーション及び商品開発後、モバイルビジネスコンサルティングに従事。
2009年株式会社電通に中途入社。携帯電話業界の動向を探る独自調査を定期的に実施し、業界並びに生活者インサイト開発業務に従事。クライアントの戦略プランニング策定をはじめ、新ビジネス開発、コンサルティング業務等に携わる。著書に「スマホマーケティング」(日本経済新聞出版社)がある。