昨年以来AIスピーカーが複数発売されている。今年AmazonからもEchoが発売され注目を集めた。
IoTNEWSのコンシューマIoT/AIを専門に事業企画支援をする、「IoTNEWS生活環境創造室」では、自主調査として、約1年が経って、どの程度利用されているのだろうかが気になったため、実際に保有状況、利用状況について調査を行った。
保有している8%の中には、家族が入手してきたものも含まれており、実際に購入をした人は6%強というのが実態だ。まだまだ普及半ばではあるが、決して少ない数字ではない。ちなみにどのAIスピーカーを利用しているのかということも聴取している。
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TVCMを断続的に実施し、価格も安価なLINE ClovaよりもSonyのAIスピーカーのシェアが上回っていたことは少し驚いたが、SonyのAIスピーカーを保有している層が、若年男性に偏っていることから、音質にこだわる若年層の存在が見え隠れする。
一方のLINE Clovaは若年女性が最も利用者が多く、TVCMで伝えていた音楽サービスとセットになっていて、簡単にどんな人でも使えるという印象が届いていたものと思われる。
AIスピーカーは今後広まっていくのか?ということに関しては調査から課題が見えた。AIスピーカーの認知率は80%を超えているものの、利用意向が思った以上に低かった。
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この背景として考えられることは、AIスピーカーは便利そうには見えているものの、具体的に毎日の生活がどう変化するのか、明らかに便利になる用途はどんなことなのか、手に入れたら中毒性があり、無いと困るものになるといったことが伝わってないことにありそうだ。
AIスピーカーは情報インターフェースと操作インターフェースを兼ね備えた、多様な利便性があるものだが、現時点では「なんとなく便利そうなもの」というところから抜け出せていないというのが実態なのだろう。
ただし、多くの利用者はAIスピーカーの利便性が手放せなくなってきている。AIスピーカーによって構築された「話しかけるだけで良い環境」は、利用者にとっては、これまでになかった圧倒的に便利な環境になっている。実際に満足度も高く利用意向も高い。非利用意向者は10%に満たない状況だ。
様々なIoTデバイスの登場で、生活者が情報や頭での理解だけでは気付くことができない便利がこれからいろんなところで広まっていくことが考えられる。
ユニークなサービスやデバイスだけでなく、この課題を解決するための仕組みやアイデアも同時に考えていかなくては、生活者に新しいライフスタイルを提供することは難しいのかもしれない。AIスピーカーのマーケティング動向はその試金石になると思われる。
後編に続く
調査概要
記事内でご紹介した調査データはIoTNEWS生活環境創造室の
自主調査によるものです。
スクリーニング
調査時期:2018年9月末
調査手法:WEBアンケート調査
調査対象者:全国15~59歳男女
調査サンプル数:20,000ss
※エリア、性年代は人口構成比に準ずる
本調査
調査時期:2018年10月上旬
調査手法:WEBアンケート調査
調査対象者及びサンプル数:全国15~59歳
男女AIスピーカー利用者:300ss
AIスピーカー利用意向者:700ss
※スクリーニング調査における保有者の性年代構成比、意向者の性年代構成比に準ずる
調査項目
- AIスピーカー認知状況
- AIスピーカー保有有無
- AIスピーカー保有機種
- AIスピーカー利用可否
- AIスピーカー利用期間
- AIスピーカー利用停止理由
- AIスピーカー利用意向
- AIスピーカー非意向理由
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未来事業創研 Founder
立教大学理学部数学科にて確率論・統計学及びインターネットの研究に取り組み、1997年NTT移動通信網(現NTTドコモ)入社。非音声通信の普及を目的としたアプリケーション及び商品開発後、モバイルビジネスコンサルティングに従事。
2009年株式会社電通に中途入社。携帯電話業界の動向を探る独自調査を定期的に実施し、業界並びに生活者インサイト開発業務に従事。クライアントの戦略プランニング策定をはじめ、新ビジネス開発、コンサルティング業務等に携わる。著書に「スマホマーケティング」(日本経済新聞出版社)がある。