日本の住宅メーカーはこれまでのCESでも殆ど出展していなかったが、スマートホーム系の展示はここ数年増加していて、注目度が高いカテゴリーである。そして今回、積水ハウスが初めてCESに出展した。

このPLATFORM HOUSE構想は「家を世界一幸せな場所にする」という想いから生まれた。その家で実は多くの命に関わる疾患が発生しているという。例えば脳卒中の約8割は家で起きているが、早期発見するテクノロジーが家に普及していない。
そこでPLATFORM HOUSEでは、家に生体情報をセンシングできる仕組みを搭載し、異常が起きた際にオペレーターが状況を確認し、救急通報できるようにしている。

ポイントの一つがこの異常検知である。常に詳細なデータをリアルタイムで収集するのではなく、平常時と違う動きが発生した際に、その異変がある一定時間続いた際にアラートが上がるというのだ。つまり、正確なデータをずっと計測するために高価な設備を導入するのではなく、床や壁、カメラなど、様々な手法でデータを収集し、日々のデータとの乖離を見るアプローチである。

またリモート電子錠は、オペレーターが居住者を救助するために救急隊員が到着した際に、インターホンの映像を見て開錠する流れになっている。こういったプロセスを見ると、コネクテッドしたスマートロックの普及が非常に重要だと感じる。
自宅にある個々のパーツがIoT化することで便利になる領域はあるが、PLATFORM HOUSEのように、健康状態を見守り、異常の際は遠隔で様々な救命措置をするためには、家自体にAIと通信が搭載されていかなくてはならない。
まだコンセプトの段階で、商用化は2020年春だという。今後の展開や市場への提供方法はもちろん、他のハウスメーカーの動向にも注目したい。
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未来事業創研 Founder
立教大学理学部数学科にて確率論・統計学及びインターネットの研究に取り組み、1997年NTT移動通信網(現NTTドコモ)入社。非音声通信の普及を目的としたアプリケーション及び商品開発後、モバイルビジネスコンサルティングに従事。
2009年株式会社電通に中途入社。携帯電話業界の動向を探る独自調査を定期的に実施し、業界並びに生活者インサイト開発業務に従事。クライアントの戦略プランニング策定をはじめ、新ビジネス開発、コンサルティング業務等に携わる。著書に「スマホマーケティング」(日本経済新聞出版社)がある。