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「くらしのパートナーというスマイルマーク」でスマートホームを快適に -Panasonic Wonder Life-BOX インタビュー

Panasonicが考える2020年から2030年の未来の街、Wonder Life-BOX。

Panasonicは、「暮らしの安心とシェアリング」が重要と考え、人とモノ、街とくらしなどあらゆる情報を繋ぎ、様々なくらしをサポートしてくれる「パートナー」と一緒にくらす未来をイメージしている。「パートナー」とはくらしの中で人をサポートしてくれる学習機能を持った存在のことだ。

「くらしのパートナーというスマイルマーク」でスマートホームを快適に -Panasonic Wonder Life-BOX インタビュー
写真上部に見える、太陽のモチーフが「パートナー」

 

今回、IoTNEWSは国際展示場駅にあるコーポレートショウルーム パナソニックセンター東京のWonder Life-BOXを体験させていただいたのだが、未来のキッチンの演出が特に印象的だった。

「パートナー」のサポートがすごい!未来のキッチン

主に「パートナー」と家主が会話したり、相談したりしながら暮らすデモンストレーションを見せていただいた。「パートナー」は、かしこまった大人の声ではなく、可愛らしい子どものような声だ。

キッチンの壁面の1部は、エントランスの宅配ボックスと繋がっている冷温庫になっていて、届いたお花やチーズを取り出すことができる。

「くらしのパートナーというスマイルマーク」でスマートホームを快適に -Panasonic Wonder Life-BOX インタビュー

 

「そろそろお茶にしようかな?」と家主がパートナーに話をすると、おすすめのハーブティを教えてくれ、2人分の浄水をポットに入れたあと、お湯も沸かしてくれる。

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「パートナー」が2名分の浄水を注いでいる

 

さらにケーキの準備をする際には、デコレーション方法や、パーティのテーブルイメージなどを映像で教えてくれるという至れり尽くせりの未来の様子を見ることができた。

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デコレーション方法を光で教えてくれる様子

 

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誕生日パーティのテーブル仕上がりイメージを光で表示してくれる

 

「パートナー」は家族の好みや健康状態も把握している。ランチの用意の際に「パートナー」が提案した内容が家主に受け入れられると嬉しい表情を見せたり、喜びを表現する効果音が流れたりなど、親しみやすく愛着がわくような設計になっていた。

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「パートナー」が家主にランチを提案している様子

 

淡々と情報を教えてくれるだけでは、味気ないと感じてしまって、使うことをやめてしまうかもしれない。だが、この「パートナー」は感情があるように見えるのだ。

裏側の仕組みとしては、天井にあるマイクが家主の声を拾って「パートナー」と会話をしている。現状では、デモンストレーション用のシナリオを準備しているが、実際に会話ができる仕組みになっているようだ。

天井のマイクと、光を表示するライト
天井のマイクと、光を表示するライト

 

インタビュー

Wonder Life-BOX体験後、パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部の平木政春さんにお話を伺った。

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左:パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 平木政春さん/右:IoTNEWS 代表 小泉耕二

-IoT製品というと、アメリカなどではDIYが普通で、自己責任だからということで外付けのものが多いです。外付けのものは、ダメなら外せばよいという気軽さがある一方で、見栄えがあまりよくありません。Panasonicさんが提案するWonder Life-BOXのように、ビルトインされていると、デザインは素敵なのですが、壊れたときに必ずメーカーの方にお願いしないといけないというのが、実際に使い続けると出てくる問題だと思います。この点はどのように考えていらっしゃいますか?

海外と違うのが、日本ではイニシャルには住宅に費用をかけるのですが、ランニングコストはかけないという傾向があります。もちろんオールPanasonicで揃えていただくのが嬉しいのですが、ビルトイン以外の方法も検討しています。

パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 平木政春さん
パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 平木政春さん

 

-Wonder Life-BOXのような未来は、いつごろを見ているのでしょうか?

ターゲットを2020~30年という幅を持たせています。事業ロードマップにのっていない、ずっと先のことを研究部門と一緒に開発しています。最終的に住宅にスペックインとなると、住宅そのものの価格もあがってしまいますし、非常に高いハードルがあります。よってまずはBtoBで、商業施設やホテル、店舗にご利用いただく流れからはじまり、こなれた技術になり価格も下がってきたら、次は住宅へという流れとなります。2ステップあると思っていますので、現状は様々な企業にお話をさせていただいている段階です。

今回ご覧いただいたWonder Life-BOXの中で、音声対話や住宅水素インフラ、ミリ波レーダーなどは2030年ごろの展開を目指しています。

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展示されていた、光水素生成デバイス。このブラックパネルで水素を生成する

 

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寝室の天井に設置してあるミリ波レーダー(写真中央右側にある小さい黒いデバイス)で身体を計測し、天井に計測した状態を映像で表示している様子

 

その他、店舗でご覧いただいた、透明⇔映像表示の切り替えが可能なサイネージや、物体を認識して映像が変化するスマートダウンライトなどは、ほぼ実稼働で動いています。

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通常の店舗の様子

 

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デジタルサイネージで、窓に様々な情報を表示できる

 

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本をテーブルに置くと、本のサイズに合わせたスマートダウンライトが点灯する

 

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テーブルにおもちゃの電車を置くと、レールが表示される

 

また、不在時でも荷物を受け取れ温度管理されるスマートロッカー、室内空気環境等の住まいの見えない情報を見える化する「おうち環境マネジメント」はまだアイデア段階なので、お客様の声を聞いて本当にニーズがあれば、試作開発につなげてしていきたいと思っています。

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家の状態が「見える化」されている様子

 

-面白いですね。ワクワク感がすごくあります。

くらしの「パートナー」というスマイルマークはチャレンジでした。我々の中でも今後到来するIoT社会を迎えるにあたり、リアルなロボットを作るのかという議論があり、実際に研究開発している部門もあります。そして今回企画を進める中で、くらしの中にいてくれるパートナーは、「いてほしい時はいてくれて、必要ない時には見えない状態がいい」、というご意見があったので、ひとつのトライアルとして映像で表現するといいのではないか、ということで設計してみました。

「パートナー」と会話している様子
「パートナー」と会話している様子

 

-「パートナー」はすごくよかったと思います。表情が見えるし、指示したことがきちんと通ったというのがわかりやすいし、好感を持てます。

当初、企画段階では電球の形をしていました。Panasonicはもともとソケットからはじまった会社なのですが、一般の方には、電球や明かりというイメージがすごく強いようです。電球から、くらしをあたたかく包んでくれたり、照らしてくれたり、というイメージを膨らませていきました。なおかつ「パートナー」というのはかしこかまった執事やコンシェルジュではなくて、ちょっと隙があって、アニメの中に出てくる主人公のパートナーになりえるようなキャラクターというのを考え、この電球を抽象化したデザインになりました。

 

IoTNEWS 代表 小泉耕二
IoTNEWS 代表 小泉耕二

 

-話す時に顔に見える対象は必要ですよね。

はい、声を拾うためにマイクを天井につけているのですが、対話の時というのは「話しかける対象物が絶対必要だよね」という議論になりました。そして、スマートスポットライトという、プロジェクターの前に鏡を置き、鏡を動かすという技術によって、広範囲に「パートナー」を動かし、家主についていったり、表情を動かしたりということができました。

 

-海外で水素を押している企業はあまりないのですが、Wonder Life-BOXで水素発電を取り入れているのはなぜでしょうか。

日本は国レベルで水素を推進しています。海外は石油やガスがありますが、日本ではそもそも資源がなく、シェールガスといってもコストがかかります。そうなると水素が広がる可能性としては高いのではないか?ということを考えています。

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-量産体制に入った時に、マーケットは多少環境に悪くても、安い方に転びがちです。そういう状況で日本が水素を押している状態というのが、少し気になります。

Panasonicだけではなく、国や様々な企業と一緒に水素の研究開発を進めている状況です。2020年のオリンピックのレガシーを水素にしたいと考えている方もいらっしゃり、水素は電気に比べると効率的と言われています。

電気は溜めておけないというのと、送電ロスというのがありますが、水素は圧縮してしまえば、ロスなく運ぶことができます。カセットボンベみたいな形で、水素が普及してくれば、使いたいときだけ使うことができます。

小資源の国、日本ならではの取り組みで、2030年までにはビジネスの市場があるとにらんで今、研究開発をしているところです。
-家で十分な量の水素が発生できるようになって、クルマにも供給できるような経路も確保できればずいぶん違いますね。例えば、シリコンバレー周辺のEVの発展は、都市全体がバックアップしているのが大きいかなと思います。

日本では急速充電インフラがほとんどないのですが、我々もテスラに出資していますので、電気も水素も可能性があると思っています。
-本日は、ありがとうございました。

 

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近未来の家のあり方を、様々な角度からインタビューさせていただいた。

Panasonicが考える未来のくらしは、よくあるスマートホームのように家が勝手に自動で電気をコントロールするという機能もきちんとありつつも、フォーカスされていたのは「パートナー」と会話をしながら、相談をしながら、1日を過ごしていくというものだった。

「パートナー」がおすすめのレシピを教えてくれるという場面があったが、例えば、電球のイラストをモチーフとし可愛らしい表情を見せる「パートナー」ではなく、縦長の無機質な冷蔵庫が「今日のおすすめレシピはコレです」と話したらどうだろうか。会話をすることに違和感を覚える方も多いと思う。

リアルなロボットを作る人たちも、「人は話す時に、何か生き物のように見える対象が必要なのではないか」という。ペットを飼っている人は、ペットに話しかけることも多いと思うが、「パートナー」は賢いペットのようにも思えた。対話できるデバイスは増えてきているが、リアルなロボット型でもなく、シンプルなデザインのデバイスでもなく、「パートナー」を、必要な時にそばにポッと表れて話しかけてくれる“表情のある光”という形状にしたのは、Panasonicがそこに住む生活者のことを深く考えての結果だろう。

未来のくらしが実現されるという2020年~30年は、あと5~15年後だ。近い将来、このうちの幾つかのことが実現できているだけでも、我々の生活は劇的に変化する可能性を秘めていると感じた。

※Wonder Life-BOXの一般公開は、土曜日・日曜日・祝日のガイドツアーのみ

【関連リンク】
Wonder Life-BOX

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