9月4日から9日の6日間、ドイツ・ベルリンで世界最大の家電見本市「IFA 2015」が開催された。
会場のメッセベルリンはベルリン市内からも至近の距離
IFAは、調理器具から白物家電、IT製品、AV機器、スマホまで、非常に幅の広い製品が発表、展示される場だ。家電見本市という色合いが濃く、総合家電メーカーは冷蔵庫や洗濯機もここで披露することが多い。こうした機器をネットにつなぎ、利便性を高めるIoT、特にスマートホームの分野とは非常に相性のいい展示会とも言えるだろう。
ブースを回ってみると分かるが、総合家電メーカーなら必ずと言っていいほど、IoTに関連した製品を展示している。日本のメーカーとしては、パナソニックがスマートホーム関連の出展を行っていたし、フィリップスもスマホ経由でネットにつながる「スマートシェーバー」をアピールしていた。
ほかにも、中小様々なメーカーが、スマートホーム関連の製品を展示していた。ホームセキュリティやスマートメーター、スマートプラグ、家電の遠隔コントロールなど、内容は多岐に渡る。
中でもIoTに力を入れていたのが、韓国メーカーのサムスン電子だ。同社のブースの中心にあったのは、IoTのプラットフォームである「SmartThings」。昨年、サムスンが買収した企業で、すでに米国などでは製品をローンチしている。
IFAに合わせて発表されたのが、「SmartThings Hub」のアップデートバージョンだ。Hubという名称だけに、SmartThings Hub、様々なIoT製品をつなぐ中継機器の役割を果たす。新バージョンではZigbeeやZ-Wave、Bluetooth 4.0に対応しており、対応製品の幅がさらに広がりそうだ。
サムスン電子のブースでは、防犯センサーが反応すると電球が激しく点滅したり、家の鍵をスマホで開け閉めするというデモが行われていた。スマホとIoT製品をつないだり、IoT製品同士が自律的に連携できるのが、SmartThingsの特徴というわけだ。
日本ではまだなじみのないプラットフォームだが、サムスンはSmartThingsを北米にとどまらず、グローバル展開していく方針。IFAで展示されていたSmartThings Hubについても、イギリスやドイツでリリースしていくという。SmartThingsはオープンプラットフォームとして運営されており、開発言語にはJavaをベースとしたGroovyを使用する。IoT関連製品の国際展開を考えている企業は、対応を視野に入れておいてもよさそうだ。
また、サムスン電子はSmartThings Hubに加え、「SleepSense」も発表していた。SleepSenseは、眠りの状態を測るセンサーで、ベッドのマットレスに設置。目覚めた際に、スマホで眠りの質をチェックできる。それに加えて、サムスン製の白物家電とも連携する予定。睡眠中に自動的にエアコンの温度を調節したり、テレビの電源を自動で消してくれたりといった連携例が、同社のキーノートスピーチで紹介されていた。
IFAでスマートホームのプラットフォームを展示していたのは、サムスン電子だけではない。チップセットメーカーのクアルコムが主導する、「AllSeen Alliance」もブースを出展。同プラットフォームはWi-Fi、Bluetoothなどの通信レイヤーを問わず、機器同士がP2Pでダイレクトにやり取りできるのが特徴。ブースには、AllSeen Allianceに加盟する企業の家電製品や、それらをリモートコントロールするためのプラットフォームが展示されていた。
このほか、IoTに力を入れる韓国の通信事業者、SKテレコムもブースを出展。同社が韓国ですでに立ち上げているスマートホーム用のIoTプラットフォームを展示していた。同社のプラットフォームを使うと、対応する製品をスマホからコントロールすることができ、エアコンや鍵などがすでに発売されている。
一歩先の未来を見せる展示から、すでに市場投入されている製品まで、幅広い展示が行われていた。いずれも日本投入は未定だが、近未来の家電のあり方として注目しておきたい。
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